1994年11月30日 スピカの接食


 少し時期が経ってしまいましたが、1994年11月30日未明に起こったおとめ座α星のスピカの接食の模様をビデオにて撮影したものを、デジタル映像として公開します。
 この映像を見て、接食マニアになった方が大勢いらっしゃいます(^_^)。興味のある方は是非見てみてください。
※この映像は、月刊天文'95年5月号「ASTRO VIDEO CLIP」に紹介されています。

接食について

 接食のお話をする前に、天文現象で言う「食」についてお話しておきましょう。文字通り、天体が「食べられる」現象のことをいいます。もちろん、誰かが星を食べてしまうわけではないので、何らかの自然現象が起きるわけです。
 有名なところでは、「日食」や「月食」があります。日食は、地球上から見かけ上太陽の方向に月が入り込んでくることによって、太陽が月に隠される現象ですね。月食は、太陽の光によって照らされている月が、地球の陰の中に入ることによって見えなくなる現象です。これらは、宇宙空間での位置関係が相互に直線上に並ぶことによって起こります。
 一方、「星食」と呼ばれる現象があります。別名「掩蔽」(えんぺい)とも呼ばれるこの現象は、日食と同じ仕組みで月がその向こう側にある星を隠す現象を言います。もっと広い意味では、月以外の太陽系の天体にも適応されます。ですから、惑星や小惑星などによる「掩蔽」もあるわけですね。月は毎日位置を変えますから、その時間ごとに少しずつ天空上を動いています。その時に、その後ろ側にある星たちが月によって隠されるわけです。「接食」は、この星食の延長にある現象で、月の縁をかすめていくものです。月は表面がクレーターなどにより凹凸があるため、ギリギリのところをかすめた場合、その星は凹凸に隠されたり出てきたりして点滅をするわけです
 この映像は、おとめ座の1等星「スピカ」が、月すれすれのところをかすめていく現象のハイライトシーンです。緊張と興奮の3分18秒を是非お楽しみください(^_^)。

☆Macintosh QuickTime版・・・・QuickTime 2.0以上が必要
QuickTime付属の「QuickTime Player」を起動し、ファイルを再生してください。

☆MS-Windows AVI版・・・・MS-Windows標準付属の「メディアプレーヤー」が必要
「Windowsメディアプレーヤー」を起動し、ファイルを再生してください。

ファイルサイズを抑えるために解像度と画像サイズを抑えさせていただきました。そのかわり点滅の全過程を見ることができます。ファイルは圧縮してありますので、それぞれ解凍ツールで解凍してからご覧ください。

撮影機材は以下のとおりです。

撮影日時 1994年11月30日 午前4時12分10秒−15分28秒
撮影地  茨城県猿島郡三和町
望遠鏡  セレストロンC−8(直焦点)
架台   Meade LXD−600
カメラ  アトムオリジナルVA−10S
録画   SONY CCD−TR705をデッキとして使用

デジタイズ Macintosh LC-630 + Appleビデオシステム
MS-Windows AVIは、Video For Windows付属の変換プログラムで変換

 映像はスタートから約9秒で1回目の潜入・すぐに出現します。2回の潜入・出現の後長い潜入に入ります。約1分後一度だけ約1秒出現し、再び潜入・さらに1分後に出現し、細かい点滅を繰り返します。最終的に8D8Rの潜入・出現 を見ることができます。低空での現象のため、大気のゆらぎが大きいのも解ると思います。
 接食という現象がどれほどおもしろくすばらしい現象であるかを、この映像で伝えられればうれしいです。
 
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