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●観測・計算・理論・検証・そして技術の向上
これらの仮説を理論として打ち立てたのが、イギリスの天文学者デビッド・アッシャー氏と、オーストラリア サイディングスプリング天文台のロバート・マクノート氏です。アッシャー氏は、前回しし座流星群が大出現した1966年生まれの若手の研究者です。ケンブリッジ・オックスフォードなど一流の大学で太陽系天体の研究を続け、最近は地球に衝突する可能性のある天体の研究のため、イギリス国内ではアイルランドにアーマー天文台に所属するほか、日本スペースガード協会(本部 岡山県美星町)にも研究者として来日しています。
アーマー天文台のサイトには、両氏が発表した論文といっしょに、1966年と1999年に大出現が見られ、1998年に見られなかったことに対する仮説と、その理論について解説図とともに説明されています。この理論は、これまで偶発的にダストトレイルの濃い部分が地球に接近すると起こるとされていた流星雨を、精細な観測と高精度な計算により事前に予想できるという画期的な理論だったのです。
前回しし座流星群が出現した1966年から今回の大出現までに、天体観測の技術は飛躍的に向上しました。特に大きく発達したのが計算能力です。太陽系の天体の運行は、太陽を中心にそれぞれの天体の質量と重力により互いに干渉し、干渉されながら長い年月を経てきています。コンピュータが発達する以前の天文学では、これらの天体の運行による影響は、全て研究者が計算しなければなりませんでした。しかし、今では高速な計算能力を持つコンピュータを駆使して、膨大な量の観測データを使ってシミュレーションをすることができるようになったのです。
また、実際に天体を観測する機材の能力の向上も大きな意味を持ちます。以前は天文台の大望遠鏡で撮影した写真から位置を測定して天体の運行を計算していたものが、CCDなどの受光素子を用いた撮像により短時間で大量の観測データの収拾が可能となり、さらに天文台の大望遠鏡でなくともその撮像が可能になったことは、これまで時間と予算にしばられていた研究者にとって、非常に大きな助力となったと言えると思います。
この理論は、こうした技術を駆使して過去のテンペル・タットル彗星の軌道を、他の惑星などの動きによる影響も含めて精密にシミュレーションし、その時に残していった流星物質が作るダストトレイルが地球の軌道と交わる時間を計算した結果、日本時間で2001年11月19日未明の2:31と3:19にその交点があることを導き出したのです。
2001年11月19日未明。私たちは日本で、その出現をほぼ予想通り見ることができました。横浜こども科学館のスタッフが観測したデータ(「宇宙・天文ニュース」から見ることができます)によると、ほぼこの理論が示すのと同じ時間に流星のピークを認めることができます。つまり、しし座流星群を自分の目で見た私たちは、この理論の検証を行ったことになるのです。
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