●安価で実用的な製品をめざして

双眼鏡を選ぶ上で重要なこととして、倍率より視野の「明るさ」を比較することが大切です。インターネットショッピングやホームセンター・ディスカウントショップ・新聞・テレビなどで見かける通信販売の商品には、「何十倍！」という倍率をうたい文句にしている製品が数多く売られていますが、実はいくら倍率が高くても、口径がその倍率に見合った大きさが無ければ、明るさも分解能も不足してしまい、鮮明な像を得ることはできません。

スターゲイズオリジナル FZ-RF双眼鏡 左が10倍50mm　右が8倍40MM

　いまから約6年前の2000年11月、市場にはこのような安価であまりにもひどい造りの双眼鏡があふれていました。常識的に考えられない高倍率の双眼鏡や、低倍率でも視野が広がらないズーム双眼鏡、レンズにいい加減なコーティングを施したものや、買った当時から光軸がずれている物、あるいは使っているうちに簡単に光軸がずれてしまう物など、実用にかなわない商品が横行し、その状況は惨憺たるものでした・・・。
　その当時はちょうどインターネットショッピングが流行り出したころ。実際に商品を手にとらなくても簡単に商品が買えるため、安い価格とWeb.上のスペックだけで商品を選んでしまい、粗悪な製品を手にしてしまった方々が多かった時代でした。
　そんな状況をなんとか打破しようと、メーカーと共同で安価で実用的にしっかりした製品を送り出そうと企画したのが、限定生産品ながらベストセラー双眼鏡となった7倍50mm双眼鏡BK-2000。その優れた性能は多くの方からご好評をいただき、マイナーチェンジを経て2年あまり継続生産を続けました。その後、設計を変更した新BKシリーズへと引き継がれ、これまで累計約600台を販売し、皆様にご好評をいただいてまいりました。

●直感的に「見える」双眼鏡

　これまでの実績をもとに、さらに新しいオリジナル双眼鏡の設計に着手したのは2006年の5月。これまでのシリーズの安価な価格はそのままに、より直感的に「見える」と実感できる双眼鏡にするために、中国の信頼できるメーカーと共同で半年間様々なテストを繰り返して完成したのが、新機種FZ-RFシリーズです。FZ-RFシリーズは、これまで天体観測用として最適とされてきた7倍50mmの仕様を見直し、１ランク倍率を高くした10倍50mmのものと、一回り小さく軽量な8倍40mmの２タイプをご用意しました。

●新設計「網膜焦点」という発想

　直感的に「見える」と感じるためにはどうすればよいか。これまでの製品でも、しっかりしたピントを出すことや、プリズムのズレにより発生する像の悪化を抑えるなど、基本的設計の中で様々な工夫がされてきました。しかし、それ以上に「見える」と感じさせるには何が必要か。そこで、新設計の双眼鏡では倍率を一段高い１０倍にすることにしました。しかし、それでは視野が狭くなってしまい、これまでの７倍で可能だった手持ちでの使用がしにくくなってしまいます。
　７倍と１０倍で同じ視野が見えるようにするためには、接眼レンズ(アイピース)の「見かけ視界」を広くする必要があります。これまでの双眼鏡では、人間の目が鮮明に像をとらえることができる範囲が約50度の視野角に限られるとされてきたため、これに合せた設計がされてきました。他社の双眼鏡の中にはこれを無視して、レンズを増やしたり非球面レンズを入れて見かけ視界を広くした双眼鏡も発売されていますが、実際に使ってみると、視野の周辺部の像を鮮明に見ることはほとんどできません。
　これを改善するために、FZ-RFシリーズには「網膜焦点」という設計思考を採用しました。人間の眼が光を感じる部分である網膜は、眼球の形に合せて湾曲しています。実際には、角膜と水晶体によって網膜にピントが合うように眼が受動的に反応して形を変えるため、網膜の形が湾曲してしても像を見ることができるのですが、広い見かけ視界を実現するために、あらかじめ標準的な眼球の形状や角膜・水晶体の屈折率をコンピュータでシミュレーションし、その曲率に合せた3次非球面レンズをアイピースに組み込むことにより、周辺部まですっきりと見えるアイピースを作ることに成功しました。
　これにより、見かけ視界を約70度まで広げ、従来の7倍50mmと同等またはそれ以上の実視界を実現しました。さらに、実際に覗いたときに網膜や角膜に負担がかからないため、眼球自身がもつピントを合せる能力も相乗効果となり、当初の目的であった直感的に「良く見える」双眼鏡にたどり着くことができました。ただ見かけ視界を広げるためだけに非球面レンズを入れた他社製双眼鏡とは、明らかに見え方が違います！。

従来の7倍50mm双眼鏡と10倍50mmRF双眼鏡の視野を比較したシミュレーション画像 約1.5倍高い倍率ながらほぼ同じ広さの視野で対象を見ることができる

●基本性能はそのままに

　これまでのシリーズで高い評価を受けていた基本性能は、新しいFZ-RFシリーズにも引き継がれます。レンズには全面マルチコートを施し、視野を広くするためにひとまわり大きくなったプリズムには、硝材にBaK4を使用。高いコントラストの像を見ることができます。ボディーもこれまでと同様しっかりしたアルミ合金ダイキャスト製です。
　接眼レンズも、眼鏡をかけた方の多い日本人に合せて、レンズから瞳までの距離が長いハイアイポイント仕様になっており、ゴム見口により眼鏡を掛けた方でも掛けていない方でも、非常に見やすい設計になっています。ピント合わせも、接眼部上部にある大型のピントリングを回転するだけで両眼のピントが同時に動くセンターフォーカス式ですから、近距離から遠距離まで素早くピント合わせができます。

　新たに10倍50mmとなったFZ-1050RFは、従来の7倍50mmモデルより広い実視界7.1度を実現。天体観測の用途においては、もっとも多くの星の光を一度に見ることができるスペックと言ってよいでしょう。肉眼の50倍もの光を集めることができますから、目では見ることができない暗い星たちや星雲星団も見ることができます。秋のカシオペヤ座・ペルセウス座付近の天の川や、冬のぎょしゃ座付近をはじめ、夏の濃く太い天の川をこの双眼鏡で見れば、まるで宝石箱のような美しい眺めを見ることができるでしょう。

対物レンズ・接眼レンズは全面マルチコート

一方、従来と同じ倍率のFZ-840RFは、FZ-1050RFより一回り小さな双眼鏡です。子どもや女性でも片手で楽に持つことができる小型軽量なのが特徴です。重い双眼鏡では、アウトドアでの使用で持ち歩くときに負担になるばかりでなく、長い時間眺めていると腕が疲れてしまいます。プリズムとアイピースはFZ-1050RFと共通の設計のものを使用し、実視界はなんと8.6度にもなります。サッカーなど動きの速いスポーツ観戦にも最適です！。 　どちらの機種も手持ちで使用できる倍率ですから、気軽に外に持ち出して観察することができます。大口径の双眼鏡は、昼間の明るい屋外はもちろん、ちょっと薄暗い朝夕や、演劇やコンサートなどの舞台鑑賞にも適しています。

●品質管理は当社が責任を持って行います

　中国製品というと、品質に疑問を持たれる方も多いと思います。しかし、まじめに良い製品を作り続けているメーカーも数多くあります。スターゲイズオリジナルFZ-RBシリーズは、実際に工場を視察し、品質管理のしっかりしたメーカーと契約を結び製造しております。

　製品は出荷前に当社にて１台ずつ厳重な検査を行った上で発送し、１年間の品質保証もおつけいたしますので、末長く安心して御使いいただけます。是非一度お手にとって、その品質をお確かめください。きっとご満足いただけるものと思います。