アメリカMeade社の天体望遠鏡「ＤＳシリーズ」は、1999年の発売以来お求め安い価格の天体自動導入望遠鏡として好評をいただいてきました。特に2003年の火星大接近では爆発的な人気で在庫が無くなり、それ以来このシリーズは一時販売中止となっていました。

　今回、新しいラインナップとしてDS2000シリーズが日本初上陸となりました。DS2000シリーズは、これまでのDSシリーズのお求め安さと手軽さはそのままに、機能性と実用性を大幅にアップした魅力ある望遠鏡に生まれ変わりました！。

　日本で発売されるDS2000シリーズは、鏡筒部分のみが異なる２種類があり、70mmアクロマートレンズを使用した屈折望遠鏡DS-2070ATと114mmの反射望遠鏡DS-2114ATSがあります。

●大幅に強化された架台部

　天体望遠鏡の実用性を大きく左右する架台部の強度。DS2000シリーズは、旧DSシリーズの最大のネックでもあった架台部分の作りを大幅に改良。これまでは樹脂パーツが多用されていましたが、モーター内蔵経緯台部分を一体化して別部品とし、強度と精度の必要な部分にはアルミダイキャストを使用して、軽量ながら三脚部だけでも十分な強度と剛性を持っています。

　天体自動導入用モーターを内蔵した経緯台部は、片持ちフォーク型と呼ばれるシンプルでスタイリッシュな構造。モーターやギア部を完全に一体化することにより、これまでの望遠鏡のようにいろいろなハンドルなどが無く、機能と実用を兼ねたすっきりしたデザインになっています。

　また、強度と精度が必要な経緯台のメインフレームには、アルミダイキャストを使用。樹脂部品ばかりだったこれまでの廉価版望遠鏡とは一線を画した、がたつきの無いしっかりした架台に仕上がっています。

　三脚は伸縮可能な軽いアルミ三脚を採用しており、アイピースやコントローラーなどのアクセサリーを置くことができるトレーが標準でセットされています。

●軽量で分解・組立が簡単！

　DS2000シリーズは、主な部品をコンポーネント化することにより、鏡筒・経緯台・三脚の３つの部品に簡単に分離することができます。組立はとっても簡単！。三脚を広げ、上部にモーター内蔵経緯台ユニットをネジ１本で固定。あとは鏡筒をバンドで固定するだけ。観測場所に着いてから組立が終わるまでは数分もかかりません。１つずつの部品も軽量ですから、小学校中学年以上のお子様ならひとりで十分組み立てることができます。

　説明書は、本体の組立・オートスターの操作・天体望遠鏡の楽しみ方を紹介したガイドブックの３冊が付属しています。図やイラストを多用したわかりやすい構成で、はじめて望遠鏡を扱う人でも安心してお使いいただけます。

●新バージョンの天体自動導入コンピュータ

　天体自動導入コンピュータの#494オートスターは、DS2000シリーズでは標準で付属しており、モーター内蔵経緯台をこのコントローラーで制御します。表示はバックライト付の液晶画面で、日本語（カタカナ）で操作方法が説明されます。初期設定はオートスターが自動的に選んだ２つの星を視野の中心に入れるだけでＯＫ。その後は、コントローラーに目標の天体の名前を入力するだけで、その天体を自動的に視野の中に導いてくれます。導入精度も、付属のMA25mmアイピースの中に目標の天体が導入できる実用十分な精度です。

　また、専用のケーブルとソフトを使用することにより、パソコンに接続することもできます。パソコンの画面上から目標の天体をクリックするだけで、その天体を自動的に視野の中に導いてくれるわけです。

　これまで、望遠鏡を買っても天体が視野に導入できなくて苦労した方も多いことでしょう。このオートスターを使えば、そのような苦労もまったく不要になるわけです。

●DS2114ATS 114mm カタディオプトリック式反射鏡筒

　日本で発売されるDS2000シリーズには、２種類の鏡筒が用意されていますが、初心者向けの望遠鏡と言っても、望遠鏡専業メーカーの作った製品ですから、その性能は大変高いものです。この114mmカタディオプトリック式反射望遠鏡は、114mmのニュートン式反射望遠鏡を基本に、補正レンズの組み合わせでコンパクトで良好な像が得られるように設計されています。

　光学系は、研磨が簡単な球面の主鏡を使ってコストを下げるかわりに、接眼部直前に球面収差を補正するレンズを取り付け、収差の少ないシャープな像を結びます。

　鏡筒はアルミ製の巻き物で、鏡を収めるセルと先端のリングおよび接眼部は樹脂製ですが、光軸調整装置もついています。反射望遠鏡の短所のひとつである光軸修正の難しさも、主鏡が球面鏡で焦点距離も長めに設計されているため、それほどシビアではなく、コンスタントに良い像を得ることができます。

左上：月の全景　
デジカメのレンズとアイピースとの相性で若干月の縁側がぼけています

右上：月のクレーターのクローズアップ

左下：木星
実際にはこの画像よりもっと良く見えます！

●惑星の写真撮影は、月の撮影などに比べると露出時間がやや長くなり、その間に大気の揺らぎなどが発生するため、目で見た像よりもぼやけてしまいます。気流の状態の良い季節や場所を選べば、もっと良く写ります。

●DS2070AT 　70mmF10 アクロマート屈折鏡筒

　オーソドックスな70mmアクロマート屈折鏡筒をセットしたDS2070ATは、取り扱いが簡単でメンテナンスも容易なのが特徴。口径比(F)が大きく像がとても安定しているため、口径の大きなDS2114ATSにもひけを取らないシャープな像を得ることができます。

　対物レンズは70mmF10の２枚玉アクロマートレンズで、コストダウンのためモノコート（張り合わせ面コートなし）となっていますが、月などの明るい天体で多少気になる程度で、ほとんど像には影響はありません。

　鏡筒はアルミ製引き抜きパイプで、対物レンズセルと接眼部は樹脂製です。とても軽くできており、多少の衝撃にも十分耐えられますから、小さなお子さんがお使いいただいても安心です。

　DS2070ATのもうひとつの特徴は、別売の地上プリズムを併用することで地上用望遠鏡としても使用できる点です。70mmの大口径と700mmの長焦点で、多少高めの倍率でも十分に実用になる優れたスポッティングスコープになります。

　オートスターの電動機能を使うことにより、直接架台に触れることなく対象を変えることができるため、高倍率でもとてもスムーズな動作を実現できます。

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\49,800