マックホルツ彗星 (C/2004 Q2)が深夜の空で5〜6等級!

 アメリカ カリフォルニア州コルファクス在住のD. E. Machholz(マックホルツ)氏は、8月27日に15cmF8反射望遠鏡(30倍)で眼視により彗星探索中に、エリダヌス座北部付近に11.2等の彗星状天体を発見しました。Machholz氏による彗星発見は10度目です。

 その後、オーストラリアのサイディングスプリング天文台のG. Garradd氏・R. H. McNaught氏によって確認され、この彗星にはC/2004Q2の仮符号が付けられました。彗星は拡散状で、集光のある中心部の明るさは14.4等、尾は中心から南西側に伸びており、観測中に南東方向にわずかな移動が確認されています。(8/28記)


 発見後、世界各国の天文台やアマチュア天文家により同定観測がされ、この彗星はマックホルツ彗星(C/2004Q2)となりました。観測により得られた結果によると、現在彗星は地球から0.7AU付近にいて、1月24日に太陽に最も近づき(近日点通過)、現在少しずつ遠ざかっています。地球との位置も非常に条件が良く、北半球からはしばらく深夜の空に継続して見ることができそうです。


1月1日のマックホルツ彗星(C/2004Q2)
当社ベランダ(埼玉県杉戸町)にて撮影
デジカメ一眼レフ+300mmF4 30秒露出
Meade LXD75赤道儀に同架


1月2日のマックホルツ彗星(C/2004Q2)
栃木県日光戦場ヶ原にて撮影
デジカメ一眼レフ+50mmF1.2 30秒露出
Meade LXD75赤道儀に同架
●1月2日の写真(右上)について
 少し冬型の気圧配置がが緩んだ1月2日に日光戦場ヶ原まで出かけて撮影してきました。まだデジカメ一眼レフの扱いになれていないため、明るい星がにじんでしまったり大きくなってしまっているのはご容赦下さい(笑)。肉眼でも薄明中から確認でき、9×63mm双眼鏡では尾が2方向に広がっているのを確認できました。
 写真では、イオンの尾(太陽と反対方向に青色に長く細く見える)がヒアデス星団付近まで伸びているのがわかります。まだ太陽にこれから接近しますから、もっと尾が成長することが期待できますね!。
(右の写真はオマケです 彗星とは関係ありません)


1月5日のマックホルツ彗星(C/2004Q2)
栃木県日光戦場ヶ原にて撮影
デジカメ一眼レフ+85mmF2→F2.8 5分露出
Meade LXD75赤道儀に同架


1月5日のマックホルツ彗星(C/2004Q2)
栃木県日光戦場ヶ原にて撮影
デジカメ一眼レフ+300mmF4→5.6 2分露出
Meade LXD75赤道儀に同架
●1月5日の写真(上の2枚)について
 再び戦場ヶ原に出かけてきました。気温がかなり下がり、天然冷却CCD状態となったデジカメは、長時間露出してもノイズが少なく非常に良く写りました。古いレンズではどうしても色収差が激しく、左の広い範囲を撮った写真は明るい星の周辺がみんな紫になってしまいました。でも、彗星の尾は画面をはみ出しています。
双眼鏡でみた感じでは、あまり大きく変化した様子は感じ取れませんでした。


1月12日のマックホルツ彗星(C/2004Q2)
茨城県常陸太田市里美牧場にて撮影
デジカメ一眼レフ+50mmF1.2→F2.8 5分露出
Meade LXD75赤道儀に同架


1月12日のマックホルツ彗星(C/2004Q2)
茨城県常陸太田市里美牧場にて撮影
デジカメ一眼レフ+300mmF4→F5.6 5分露出
Meade LXD75赤道儀に同架
●1月12日の写真(上の2枚)について
 この日は冬型の気圧配置が強く、戦場ヶ原では雪雲が飛んできてしまうため、より東側の茨城県里美牧場に出かけてきました。肉眼ではまだ尾は確認できませんでしたが、
双眼鏡でみると尾がだいぶ発達しているのがわかります。近日点近くでもっと大きく変化するのを期待したいですね!。東京都世田谷区からも肉眼で見えたとの報告もいただいています。皆さんも是非見てみてくださいね。左の広い範囲を取った写真には、画面下のすばるとあわせてカルフォルニア星雲と呼ばれている赤い星雲も上の方に写っています。


2月1日のマックホルツ彗星(C/2004Q2)
茨城県常陸太田市里美牧場にて撮影
デジカメ一眼レフ+85mmF2→F2.8 5分露出
Meade LXD75赤道儀に同架


2月1日のマックホルツ彗星(C/2004Q2)
茨城県常陸太田市里美牧場にて撮影
デジカメ一眼レフ+300mmF4→F5.6 5分露出
Meade LXD75赤道儀に同架
●2月1日の写真(上の2枚)について
 宵空に月が無くなるのを待って、再び撮影にでかけました。この冬いちばんの寒気が入り込み、上空には常時北から雪雲が飛んでくる状態でしたが、雲間を狙って数カット撮影することができました。1月12日に比べて彗星がずっと遠くにあるので、同じレンズで撮影しても少し迫力が無くなった感じがしますが、彗星のコマ周辺のイオンの光が本体に比べて大きく印象的です。
 写真の広い方では、左下に二重星団をいれてあります。この付近は天の川の中ですので、非常にたくさんの星が写っていますね。彗星と二重星団の間には、IC1805・IC1848といった淡いHα領域(水素が電離して赤く光る星雲)があるのもわかります。

■彗星のみつけかた

●2月19日〜3月21日の20時ごろの北の空


カラー版


プリントアウト用

 このファインディングチャートは東京での午後8時00分ごろの北の空を正面にして見上げたときの図です。彗星はこの時期北極星のすぐ近くを移動していて、一晩中見ることができます。観測する時間が遅くなる場合は、チャートを左に回転させて、まわりの星座と照合しながら探してみてください。チャートの●は2日おきの位置を示します。

 彗星を見つけるときは、7倍50mm9倍63mmの双眼鏡など、なるべく視野の広く(倍率の低く)口径の大きな双眼鏡や、2インチ広視界アイピース焦点距離の長いアイピースを使って倍率を低くした望遠鏡で探してください。望遠鏡の場合は、彗星はファインダーでも十分見つけられる明るさですから、チャートを参考にその周囲を探してみてください。

 現在彗星は5〜6等級で観測されており、山の上など夜空の暗いところで見れば、肉眼でも見える明るさになっています。彗星は北極星のすぐ近くを移動しているため、ひと晩中北の空にみることができます。今週末(19〜20日)宵空に月があるため空が明るくなってしまい、暗い彗星を見つけにくくなりますから、彗星を見つけるには月が沈んだあとの夜半すぎが良いでしょう。逆に、満月を過ぎる来週末(26〜27日)以後は、月が出る前のほうが見つけやすいでしょう。

彗星の座標(日本時間午後8時00分の位置)
日付 赤経(R.A.) 赤緯(Dec.)
2/19 03h07m.5 +77゜29'
2/20 03h10m.9 +78゜05'
2/21 03h14m.8 +78゜40'
2/22 03h19m.3 +79゜14'
2/23 03h24m.4 +79゜47'
2/24 03h30m.2 +80゜20'
2/25 03h36m.9 +80゜51'
2/26 03h44m.4 +81゜20'
2/27 03h52m.8 +81゜49'
2/28 04h02m.6 +82゜16'
3/1 04h13m.5 +82゜42'
3/2 04h25m.9 +83゜07'
3/3 04h39m.8 +83゜29'
3/4 04h55m.5 +83゜49'
3/5 05h12m.8 +84゜07'
3/6 05h31m.9 +84゜23'

彗星の座標(日本時間午後8時00分の位置)
日付 赤経(R.A.) 赤緯(Dec.)
3/7 05h52m.6 +84゜35'
3/8 06h14m.7 +84゜44'
3/9 06h38m.0 +84゜49'
3/10 07h01m.7 +84゜52'
3/11 07h25m.5 +84゜50'
3/12 07h48m.7 +84゜45'
3/13 08h10m.9 +84゜36'
3/14 08h31m.6 +84゜25'
3/15 08h50m.8 +84゜11'
3/16 09h08m.2 +84゜54'
3/17 09h24m.1 +83゜35'
3/18 09h38m.2 +83゜15'
3/19 09h51m.0 +82゜52'
3/20 10h02m.4 +82゜29'
3/21 10h12m.6 +82゜05'

 天体自動導入望遠鏡をお使いの方は、上の表から、各日付の座標を入力してください。彗星は徐々に地球から遠ざかっており、毎日の移動も少なくなっていますので、観測する時間による位置の差はほとんど考慮しなくても良いでしょう。

●Meade オートスターの場合
テンタイ→ユーザーテンタイ→ツイカで右の座標を入力してから、その追加したデータを「センタク」して自動導入
※#497オートスターVer.2.3以前および#494オートスターVer.1.1以前のモデルでは、タイヨウケイ→スイセイ(コメット)で軌道要素を入力する方法では、正確な位置を計算できません。上の方法でその日ごとに入力してください。


Machholtz 彗星(C/2004 Q2) 軌道要素

元期       = 2005/01/30.0 (TT)

近日点通過 = 2005/01/24.9146 (TT)
近日点距離 = 1.205088 AU
近日点引数 =   19.5023
昇交点黄経 =   93.6269 (2000.0)
軌道傾斜角 =   38.5891
離心率     = 0.999502

(from MPC 52905)


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