おおぐま座銀河M101に超新星出現(SN2011fe)
10等まで増光中

 アメリカ カリフォルニア工科大学(Caltech)天文学研究所が主体となって運営している、系外銀河に出現する超新星を早期に発見するための全自動掃天システムPTF(Palomar Transient Factory)プロジェクトが、カリフォルニア州のパロマ山天文台にある口径1.5m望遠鏡で、8月24日におおぐま座のM101に、17.2等の超新星が出現しているのを検出しました。下の写真は、PTFプロジェクトが同じパロマ山にある1.2m望遠鏡で、8月23日から3日連続して撮影した画像で、23日には何も写っていない領域に、24日に星が現れ、25日にはさらに明るくなっている様子を見ることができます。


(C)BJ Fulton, LCOGT; Peter Nugent and the Palomar Transient Factory

 世界各国の天文台やアマチュア天文家の観測では、この超新星が徐々に増光していることが確認され、分光観測により典型的なIa型超新星らしいことが解っています。M101は、私たちの天の川銀河から比較的近い(2700万光年)銀河なので、このように出現から早い段階で検出に成功することができ、距離が近い分明るく精密な分光観測ができるため、これから各国の天文台で精密な観測が行われることでしょう。

 この3枚の画像は、北天の撮影に有利なフィンランドのロシア国境に近い、イマトラにあるペッレルヴォ観測所のアマチュア天文家ラウノ パイヴィネン(Rauno Paivinen)氏が、25cmニュートン式反射望遠鏡とデジカメ一眼レフにより撮影した画像です。発見直後の8月25日と26日そして30日の画像を公開しています。この画像でも、日に日に明るくなっていることがわかります。

 典型的なIa型超新星は、爆発後2週間程度で最も明るくなるため、まだしばらくは明るくなる可能性があります。現在10〜11等程度で、小型望遠鏡でも見つけることができる明るさですので、興味のある方は是非見てみてください。

 M101のファインディングチャートは、こちらのページにあります。M101は日本からは一晩中沈まずに北の空に見えますが、日本からは宵空で見たほうが高い位置で見ることができます。

(9月4日 17:00)


 その後、予想通りIa型超新星として明るくなり、昨晩時点でも可視光・分光ともに10等級で見え続けています。通常であればそろそろ暗くなり始めると思いますが、月明の影響が少なくなる今週末までこの明るさが持てば、小望遠鏡でも十分確認できると思います。

 超新星爆発について興味を持たれた方は、9月27日(火) 18:30〜から、東京丸の内の自然環境情報ひろば 丸の内さえずり館にて開催されているまるのうち宇宙塾にて、「超新星ニュートリノで探る星の最後の姿〜超新星爆発〜」という演題の一般向け講演があります。まだ定員に余裕がありますので、是非ご参加ください。

(9月15日 14:30)


●ちょっと解説

◇超新星  「新星」という字なので、新しく生まれた星のように思われるかもしれませんが、新しい星ではなく、原子核融合反応でエネルギーを放出している恒星が、その反応を起こすための質量と重力のバランスが不安定になり、最終的に爆発を起こして明るく輝く、いわば「星の最期」の状態になる現象の一つです。
 今回のSN2011feのようなIa型超新星は、経過を精密に分光観測することにより、銀河までの距離を正確に測ることができるため、宇宙の研究において非常に重要な役割があります。このため、世界各国の天文台でも重要な観測対象とされています。
 参考までに「超」がつかない「新星」は、急に明るくなるという点では超新星と同じですが、爆発する原理が異なり、明るさの変化も小さいのが特徴です。新星は主に私たちの天の川銀河の中で見られますが、超新星は他の銀河での現象であることがほとんどです。かつては、他の銀河に現れた新星はすべて「超新星」と呼ばれていましたが、現在ではその原理によって分類されています。
◇M101  1781年に、フランス・パリ天文台の天文学者ピエール メシャン(Pierre Mechain 1744-1804)が発見した、おおぐま座の北斗七星の近くにある系外銀河(私たちの天の川銀河の外にある銀河)。当時盛んだった彗星の研究のため、彗星と見間違えやすい星雲星団のリストを作るため、シャルル メシエ(Charles Messier 1730-1817)と共同で作成していた星雲星団のリスト(メシエカタログ)の101番目の天体。円盤状に渦を巻いている銀河の中でも、特に大きな渦を持つSc型銀河の代表として有名で、「回転花火銀河」とも呼ばれています。2700万光年と、系外銀河としては比較的近いため、双眼鏡や低倍率の望遠鏡でも見ることができますが、距離が近い分大きく淡く広がって見えるため、口径が大きな望遠鏡でも倍率を高くすると見えにくくなってしまいます。

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