日常生活でも、双眼鏡があるととても便利なときがあります。遠くの物を近くに引き寄せて見せてくれる双眼鏡は、家の近所にやってくる鳥たちや遠くの景色も手にとるように見せてくれます。
また、コンサートや芝居など舞台の上の芸術も、双眼鏡を使うことによって、役者や演奏者の表情などもっと迫力のあるシーンを見ることができるでしょう。
このように日常的に双眼鏡を使うためには、いつでも持ち歩けるよう軽くて小さいものである必要があります。従来の双眼鏡の設計では、プリズム部分がどうしても大きくなってしまい、持ち歩くにはとても不便でした。
そこで、プリズムの設計を大幅に変更し、従来と逆の光路にすることで小型で軽量な双眼鏡を作ることができるようになったわけです。
小型であるがゆえに、対物レンズの口径は小さくなり視野も若干狭くなりますから、天体用としてはやや不向きとなりますが、それでも肉眼で見るよりはるかに多くの星たちをみることができます。特にM8×24は、7.5度とコンパクト型としては最も広い視界を見ることができ、重量は250gとこのクラスの双眼鏡としては非常に軽い設計になっています。また、昼間の地上の風景や明るい舞台の上のでは充分に性能を発揮することができます。スポーツ観戦などには少し倍率の高めな10倍のものが適しています。
この種の小型双眼鏡では、安価な価格で「ズーム式」のものが多く売られています。ズーム式は、1台の双眼鏡で高倍率から低倍率までをカバーできる機構を持ったもので、一見万能タイプのように思えますが、実はズームタイプには大きな欠点があります。
それは、倍率を変化させるために多くのレンズを光学系の中に入れる必要があるため、どうしても像のコントラストが落ちてしまうのです。また、おなじ理由で同じ倍率でも固定倍率の機種に比べて視野が狭くなってしまいます。視野が狭くなるということは、せっかくの倍率を無駄にすることになりますから、あまりおすすめできるものでは無いのが実情です。
それを補うため、最新機種のME9〜22×27EDでは、対物レンズに低分散EDレンズを使用し口径を27mmと大きめにすることで、各種の収差を補正して明るくコントラストの良い美しい像を結ばせることに成功しました。また、低倍率側でも見かけ視界41.4゜と固定倍率双眼鏡と同程度の広い視界を実現しています。
ズーム式では、最高倍率側で20倍以上の高倍率となり、手持ちでの使用では手ブレのため安定して見ることができません。このため、ズーム機種にはすべてカメラ三脚取付アダプタを標準で付属しております。コンパクトシリーズとの組み合わせには、持ち運びに便利な一脚をおすすめします。
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