アメリカ・リンカーン研究所の地球接近小惑星(LINEAR = Lincoln Laboratory Near-Earth Asteroid Research)プロジェクトチームは、11/16にカシオぺヤ座に18等の移動天体を発見。続く18日にも移動しているのが観測され、小惑星としての登録符号2000WM1が付けられました。その後12/20にアメリカ・ホプキンス山にあるスミソニアン天体物理観測所の1.2m反射望遠鏡によりスパー(T. B. Spahr)氏が観測した画像に、この天体が彗星状に写っていたことから、彗星としての仮符号C/2000WM1が付けられてました。
 発見から12/20までの49個の観測データから、IAU天文電報局のB.G
マースデン氏が計算した軌道によると、彗星は現在まだ5天文単位(木星軌道付近)にいて、再来年の2002年1月22日に近日点通過し、その前の2001年12月上旬に地球からも0.33天文単位まで接近し4等程度まで明るくなる可能性があります。日本からは、地球に最も近づく2001年12月ごろは一晩中見ることができる好条件になりますが、その後南に急速に移動して、見ることができなくなります。
 以下にマースデン氏が計算した軌道要素を掲げます。近日点通過時ごろの彗星の明るさや尾の長さは、それぞれの彗星によりかなり異なるため、この彗星が実際にどのような姿を見せるかはまだわかりませんが、これから大変期待ができることは確かです。日本からは継続した観測ができますので、皆さんも是非追いかけてみてはいかがでしょうか。


 南半球でしか見ることができなかったこの彗星が、2月下旬から日本でも観測可能になってきました。1月下旬から2月上旬にかけて、何回もアウトバーストを繰り返して2〜3等級にまで明るくなり、南半球の観測者からの報告を指をくわえて(?)みていたのですが、明け方の東の空に見えるようになり、これから日に日に高度が高くなってきます。現在地球から1.2AUの距離で少しずつ離れて行っていますが、まだ5〜6等級で観測されています。これまでにも数回のアウトバーストで増光していますので、まだしばらくは注目の彗星です。夕方の西空の池谷-Zhang彗星と合せて、是非観測してみてください。


LINEAR 彗星 (C/2000WM1) 軌道要素

近日点通過 = 2002/01/22.6731 (TT)
離心率     = 1.000271
近日点距離 = 0.5548085343 AU
近日点引数 =  276.7719
昇交点黄経 =  237.8958 (2000.0)
軌道傾斜角 =   72.5501 

(Calcurated Brian G. Marsden from MPC 44182)


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