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天体望遠鏡のスペックの読み方







口径/集光力
焦点距離/口径比(F値)
倍率(大きさ)/明るさ(RB)
見かけ視界/実視界
分解能
限界等級(極限等級)
屈折望遠鏡と反射望遠鏡
経緯台と赤道儀
モータードライブと自動導入
お問い合わせ・ご質問
●口径/集光力
 天体望遠鏡は、「大きく見よう」とするために倍率を高くすることと、「明るく見よう」とするために口径を大きくする2つの目的で設計がなされています。しかし、この2つの要求は相反するものでもあります。倍率を高くすると対象を大きく見ることができるので、いままで見えなかったものが見えてくると思われがちですが、口径を変えずに倍率を高くしても、目で見える像は暗くなってしまいます。ですから、月や惑星を倍率を高くしてみたり、肉眼では見えないような暗い天体を見る天体望遠鏡は、光を集める面積の広さ=口径の大きさが性能を比較する上で最も重要になります

 口径は、対物レンズや凹面鏡など、光を集める部分の直径を表す数値で、通常ミリメートル(mm)やセンチメートル(cm)で現されます。数値が大きい(直径が大きい)ほうが、よりたくさんの光を集めることできるので、同じ倍率で見たときには明るく見えることになります。

 集光力は、肉眼に対して何倍の光を集めることができるかを数値にしたものです。人間の瞳孔は、最も開いたときで直径約7mmであるとされていることから、その面積と比較して何倍の光を集められるかを現しています。具体的には、口径の数値(mm)の二乗÷50の数値で計算されています。この50は、人間の瞳孔の直径7mmの二乗(49)の近似値です。

 逆に言うと、同じ口径の望遠鏡ではどの望遠鏡も同じ数値が書かれていることになり、同じ仕様の望遠鏡どうしを比較するための数値としては使用できません。実際には、レンズの表面反射や透明度・鏡の反射率などによる差もありますし、反射望遠鏡は中央に副鏡による遮蔽があるので、実際にはこの数値より少なくなっているはずです。

口径70mmの天体望遠鏡は、直径7mmの瞳孔100個分の光を集めることができます
●焦点距離/口径比(F値)
 天体望遠鏡には、焦点距離という仕様が書かれています。これは、対物レンズや凹面鏡が集めた光を、どのくらいの距離で集めることができるかを現した数値で、通常ミリメートル(mm)で現されます。眼で天体望遠鏡を覗く場合、望遠鏡の焦点距離を使用するアイピース(接眼鏡)の焦点距離(mm)で除算すると、この後に書く倍率(大きさ)を知ることができます。

例 : Sky-watcher AZ-Go2 N130に、標準付属のK25mmアイピースを使用した場合
  650 (望遠鏡の焦点距離) ÷ 25 (アイピースの焦点距離) = 26 (倍)

 口径比は、この焦点距離と口径から計算される数値で、焦点距離(mm)÷口径(mm)で算出します。焦点距離が短いほど(かつ口径が大きいほど)数値が小さくなり、数値が小さいほうが「明るい」という表現をします。これは、写真撮影をする場合に、口径比が小さいほうが露出時間を短くすることができることから、このような表現をしています。

 このようなことから、写真撮影用には口径比が小さいほうが適しているとされています。また、眼で見る場合にも広い視野が簡単に得られることから、星雲星団など大きく広がった天体を見るのに適しています。

 望遠鏡の製造技術としては、焦点距離を伸ばす(倍率を上げる)ことより、焦点距離を短くする(倍率を低くする)ことのほうが、難易度が高くなります。短い焦点距離でしっかり見える望遠鏡を作るには、熟練した技術と高い調整能力が必要になります。逆に言うと、高い倍率でもコンスタントによい像を得るためには、口径比が大きい望遠鏡のほうが適しているとも言えます。

※焦点距離については、後述の屈折望遠鏡と反射望遠鏡の項目もご参照ください。
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●倍率(大きさ)/明るさ(RB)
 倍率(大きさ)は、望遠鏡などを使わずに肉眼でそのままその対象を見た場合に対して、どのくらいの大きさで見ることができるかを示した数値です。前述の焦点距離の項目でも書いたとおり、望遠鏡の焦点距離を使用するアイピース(接眼鏡)の焦点距離(mm)で除算すると、倍率(大きさ)になります。

 逆に言うと、焦点距離の短いアイピースと焦点距離を伸ばすためのバローレンズを併用すれば、計算上の倍率はいくらでも上げることができます。しかし、倍率ばかりを高くしても、望遠鏡の口径が小さくて暗ければ、対象も暗くなって見えなくなってしまいますし、実際には地球の表面を取り巻く大気の影響や後述する分解能の限界により、倍率を高くしても像がぼけるばかりになってしまいます

 明るさ(RB = Relative Brightness : 相対的明度)は、この倍率と口径から計算される数値で、明るさが明るいほど数値が大きくなります。上の項目で書いた口径比が「望遠鏡本体の明るさ」を示すのに対して、この明るさ(RB)はアイピースと組み合わせたときに「実際に眼に届く明るさ」を示す数値になります。同じ倍率であれば、口径が大きくなるほど値は大きくなります。もともとは双眼鏡の仕様として記載されている数値ですが、当社Web.では天体望遠鏡の仕様にもこの数値を記載しています。

 具体的な計算式は、口径の数値(mm)÷倍率の数値(射出瞳径)の二乗になります。人間の瞳が最も開いたときに約7mmであることから、7の二乗の近似値である50が最大で、計算上これより明るくしても、人間の網膜に届く光は、最大でも50の時と同じになります。

300倍で木星を見たときの口径の違いによる明るさのシミュレーション
左から口径10cm(RB=0.1)・20cm(RB=0.5)・30cm(RB=1)
●見かけ視界/実視界
 見かけ視界は、アイピース(接眼鏡)を覗いたときに、どのくらいの広さまで像が見えるかを表した数値で、角度(°)で表されます。数値が大きいほど、見える範囲が広くなります。同じ倍率(大きさ)の場合、見かけ視界が広いアイピースのほうが、実際に見える視野(実視界)が広くなります。具体的な計算式は、実視界=見かけ視界÷倍率になります。

※双眼鏡では、2007年にJIS B7121:2007にて見かけ視界の計算式が変更されていますが、当社Web.では引き続き単純計算で求められる従前の計算式での見かけ視界を表示しています。

 人間の眼の特性で、はっきりと像を見ることができる範囲が50度であることから、19世紀から20世紀に作られた伝統的なアイピースは、見かけ視界が50度程度で設計されたものが多いですが、最近はより広い範囲を見られるように設計されたものも多く出ており、中には見かけ視界100度というものも製品化されています。

 天体望遠鏡では、大きく広がった星雲や星団を見る場合、少し高めの倍率で、見かけ視界が広いアイピースのほうが迫力があると感じる方が多いようです。しかし、倍率を低くしたほうが明るさ(RB)は明るくなるため、倍率が高いときより良く見える場合もあります。必要に応じて倍率を変えられるよう、いくつかアイピースを用意しておくとよいでしょう。

同じ倍率で見かけ視界50度と80度のアイピースを使って
ペルセウス座二重星団を見たときのシミュレーション
見かけ視界が広いほうが、実視界も広くなります
●分解能
 天体望遠鏡のスペックとして、「分解能」を記載しているメーカー等がいくつかあります。分解能は、読んで字のごとく対象をどれだけ細かくみることができるかを現した数値で、角度の「秒」を単位にして表します。数値が小さいほど、細かいものを分解できることになります。

 この数値を見ると、一見、分解能が高い望遠鏡のほうが高性能だと考えてしまいがちですが、分解能を記載しているメーカーの仕様をよく見てみると、同じ口径の望遠鏡には、同じ数値が書かれていることに気がつくと思います。

 天体望遠鏡の分解能は、「口径が大きくなると分解能が高くなる」という原則があります。19世紀のイギリスの天文学者W. R. ドーズ(William Rutter Dawes 1799-1868) は、離角の異なるいろいろな二重星をいろいろな口径の天体望遠鏡で観測することで、分解能(角度の秒)=115.8÷口径(mm)という公式を導き出しました。この公式によると、口径20cmの望遠鏡の分解能は、115.8÷200≒0.58秒となります。

 「ドーズの限界」とよばれているこの公式は、長らく天体望遠鏡の分解能を表す数値として使われています。しかし、実際には望遠鏡個々の性能は設計やレンズの素材・製作精度などによって固有の分解能の差があります。同じ口径でも、安価なアクロマートレンズを使用したもの・高価なEDレンズやフローライトレンズを使用しているもの・凹面鏡を使った反射望遠鏡を実際に比較してみると、当然その分解能はそれぞれ異なります。つまり、分解能の数値は口径から算出した計算上の分解能であって、実際にその望遠鏡で観測して得られた数値ではないわけです。

 このような理由から、当社Web.では天体望遠鏡の分解能は仕様として記載していません。もし分解能を仕様として記載するのであれば、19世紀に作られた公式に代わる、21世紀にふさわしい新たな分解能の表示方法を考えなければならないと思います。
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●限界等級(極限等級)
 分解能と並んで、天体望遠鏡のスペックとしてよく記載されているものに「限界等級」や「極限等級」があります。これは、その望遠鏡を眼で覗いたときに、どのくらい暗い星まで見えるかを示した数値です。

 この数値を見ると、数値が大きい望遠鏡のほうが暗い星まで見えるので高性能だと考えてしまいがちですが、限界等級を記載しているメーカーの仕様をよく見てみると、同じ口径の望遠鏡には、同じ数値が書かれていることに気がつくと思います。

 上の集光力のところでも書いたように、天体望遠鏡は口径が大きくなるほどたくさんの光を集めることができるため、像が明るくなり暗い星も見えてくることになります。天体望遠鏡の限界等級を数式化したものとしては、アメリカの光学設計士で天文学者のJ. G. ベイカー(James Gilbert Baker 1914-2005)とG. Z. ドミトロフ(George Zakharieff Dimitroff 1902-1968)によって1945年に導き出された、m = N + 5 log D という公式があります。Nは星の明るさ(等級)を表す定数で、この当時は8.8を代入していました。Dは望遠鏡の口径をインチで代入します。この公式で、口径20cm(8インチ)の望遠鏡の限界等級を計算すると、13.3等になります。
 その後、肉眼で見える限界等級が6等星であることと、瞳孔の直径が7mmであることを定数にした公式として、m = N + 5 log (D1/D0) という公式が使われるようになりました。この公式では、Nには肉眼で見える限界等級の6を代入し、D1に望遠鏡の口径(mm)・D0には肉眼の瞳孔径7を代入します。この2つの公式の結果は、どちらもほぼ同じ数値になります。スペックに限界等級として掲載している数値は、ほとんどがこれらの公式で計算したものです。つまり、望遠鏡メーカー等が記載している限界等級は、口径から算出した計算上の数値であって、実際にその望遠鏡で観測して得られた数値ではないわけです。

 しかし、実際には、望遠鏡個々の性能は設計やレンズの素材・製作精度などによる固有の差や、使用するアイピースとの組み合わせによる差もあります。また、その後の光学技術の向上などにより様々な設計の天体望遠鏡が現れたことや、人間の視覚細胞の研究が進んでくると、この公式で導き出した等級より暗い星が見えることもわかり、年々この公式の明るさの定数は変わっています。

 このような理由から、当社Web.では天体望遠鏡の限界等級は仕様として記載していません。もし限界等級を仕様として記載するのであれば、使用する波長を考慮するなど、実際に見える星の等級を表示する方法を考えなければならないと思います。
●屈折望遠鏡と反射望遠鏡
 天体望遠鏡のスペックには、私たちの眼の代わりに宇宙からのかすかな光を集めてくれる鏡筒部分の種類として、屈折望遠鏡と反射望遠鏡という名称が出てきます。

 屈折望遠鏡は、ガラスの特性である光の屈折を使って、ガラスで作ったレンズで宇宙から来た光を集める方法を用いた望遠鏡です。1609年にはじめて宇宙に望遠鏡を向けたとされるイタリアの天文学者ガリレオ ガリレイ(Galileo Galilei 1564〜1642)の望遠鏡もこの屈折望遠鏡のルーツですが、現在の天体用の屈折望遠鏡と同じように凸レンズと凸レンズを組み合わせた望遠鏡を考案したのは、ドイツの天文学者ヨハネス ケプラー(Johannes Kepler 1571〜1630)だといわれています。

ケプラー式屈折望遠鏡の構造
対物レンズも接眼レンズも凸レンズ
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 屈折望遠鏡のレンズは、ガラスが光を屈折させる性質を利用して作りますが、光の波長(色)によって屈折率が違うため、波長(色)によってピントの合う位置が少しずれてしまいます。この現象は「色収差」と呼ばれ、ピントをあわせても星の光が点にならずに色が付いたように見えてしまいます。また別の欠点として、ガラスの製造技術やガラスそのものの重さの関係で、作ることができる大きさにも限界があります。
 このようなことから、屈折望遠鏡のような色収差をなくし、よりたくさんの光を集めるために、凹面に磨いた金属板を使った天体望遠鏡が、17世紀中ごろに現れます。様々な方法による望遠鏡が考案された中で、実際に作りやすく実用的だったのが、イギリスの天文学者アイザック ニュートン(Isaac Newton 1643〜1727)の作った望遠鏡でした。ニュートンは、宇宙から来た光を凹面鏡で集光し、45度に傾けた平面鏡で光軸の直角方向に反射させ、そこに接眼レンズを置く方法で、反射望遠鏡を実用化しました。この方式の望遠鏡が、後にニュートン式反射望遠鏡と呼ばれるようになります。

ニュートン式反射望遠鏡の構造
対物鏡は凹面鏡 副鏡は45度傾けた平面鏡 接眼レンズは凸レンズ
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 もうひとつ、このころに発明されたものにカセグレン式反射望遠鏡があります。凹面鏡で集めた光を、凸面鏡を使ってもう一度光軸と同じ方向に反射させ、凹面鏡の中心に開けた穴を通して見る方法で、屈折望遠鏡と同じように覗く方向と光軸が一致することと、長い焦点距離を短い鏡筒で実現できるのが大きな特徴です。しかしこの方法はまだこの時代の技術では実用化されず、考案者の「カセグレン」の名前だけが後世に残りましした。

カセグレン式反射望遠鏡の構造
対物鏡は凹面鏡 副鏡は反対向きの凸面鏡 接眼レンズは凸レンズ
凸面鏡で光軸を折り返すので、計算上の合成焦点距離は薄い線の分になる。
 一方ニュートン等は、屈折望遠鏡の色収差を改善する方法も研究していました。ガラスの色の屈折率は、製造方法や素材の種類によって違うことは知られていましたが、その性質を利用して屈折率の違う2枚のレンズを組み合わせて、眼で見たときにその収差を打ち消すように設計されたレンズを、1750年にイギリスの光学技師ジョン ドロンド(John Dollond 1706〜1761)が「アクロマートレンズ」と名づけて特許を取得します。ドロンドの特許が切れるころになると、ガラスの屈折率の研究はさらに進み、それぞれのレンズの曲率を変えたり、貼り合わせ方を変えることにより、より色収差の少ないアクロマートレンズが作られるようになり、この時期に現在のアクロマートレンズと同じ技術が確立されます。
 さらに、ドイツの光学技師エルンスト アッベ(Ernst Karl Abbe 1840〜1905)などによってガラスの屈折率について研究が進むと、2枚のレンズでは修正できなかったそのほかの収差も修正できるようになり、3枚のレンズを使ったアポクロマートレンズや、鉱石の蛍石(フローライト)などの屈折率(分散率)が低いガラスを使うことで、色収差がほとんど無いレンズも現れるようになり、反射望遠鏡にも劣らない性能の屈折望遠鏡も出回るようになります。

 このように、現在の屈折望遠鏡や反射望遠鏡の技術は、20世紀はじめまでにほぼ確立されます。現在の反射望遠鏡では、鏡の研磨技術や反射率の向上などは以前よりかなり進歩していますが、安価な望遠鏡ではまだ鏡の研磨精度が低いものもあることや、反射による光の位相の変化による影響もあり、さらに光軸の中央を副鏡で遮っていることから、同じ口径で比較すると、口径分の光をほぼすべて集めることができる屈折望遠鏡より集光力や解像度が劣ってしまうことがあります。
 一方屈折望遠鏡では、これまで書いてきた色収差の問題は、現在でも避けて通れません。フローライトや異常分散ガラス(EDガラス)などを使用して収差を改善することはできますが、これらのガラスは生産や加工が難しいため、どうしても価格が高くなります。また、線膨張率がガラスごとに異なるため、温度により特性が変化してしまい、設計どおりの性能にならないことも良くあります。

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 20世紀後半になってくると、この反射望遠鏡と屈折望遠鏡のメリットを両立するべく、新たな工夫がされるようになります。主に天文台の大口径望遠鏡で実用化されてきたカセグレン式反射望遠鏡をベースにして、副鏡の前に「補正板」というレンズを付けて構造を簡単にしたのが、シュミットカセグレンマクストフカセグレン等の複合型望遠鏡です。どちらもコンパクトながら大口径で安定した像が得られることが特徴で、構造を簡単にすることで製造コストを抑え、価格を下げることができることも大きなメリットです。これらの複合型望遠鏡は、現在も各望遠鏡メーカーや技術者が研究を重ね、さらに性能の高い望遠鏡を開発し続けています。

※前述の焦点距離倍率の項目も参照してください。
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●経緯台と赤道儀
 天体望遠鏡のスペックには、「経緯台」や「赤道儀」という名称が出てきます。これは、望遠鏡の本体部分である鏡筒を載せて、目的の対象に向けるための架台部分の名称です。

経緯台の例(左 セレストロンNexstar Evolution-J)と赤道儀の例(右 セレストロン Advanced VX) 
赤の矢印は回転方向を示します。経緯台は単純な水平と仰角の回転方向
赤道儀は、地軸と平行に傾けた赤経軸(極軸)と、それに直交する赤緯軸からなる。
 経緯台は、私たちが立っている地面を基準にして、水平と上下(仰角)の2つの方向に回転する軸を持った架台です。地面を基準にしているので、構造が単純なのが最も大きな特徴です。天文台で口径1mを越えるような大きな望遠鏡が作られるようになった17世後半から18世紀末ごろまでは、ほとんどの望遠鏡がこのような経緯台式でした。
 しかし経緯台式では、地球の自転により動いていく星を、水平と仰角の両方の軸を少しずつ動かしながら追尾する必要があります。口径の大きな望遠鏡では、観測者の指示をたくさんの人が伝達しながら、人の手を使って少しずつ動かしていたため、対象を見失ってしまうこともよくありました。

 そこで、回転軸のうちの一つを地球の自転軸と平行になるように傾斜させ、一つの軸を回転させるだけで簡単に天体を追尾できるように考え出されたのが赤道儀です。世界ではじめて赤道儀を実用化したのは、1795年に北アイルランドのイギリス王立アーマー天文台に設置された5cmF18屈折望遠鏡と言われています。この方式は後にイギリス式赤道儀と呼ばれるようになりますが、焦点距離(鏡筒の長さ)に比例して架台が大きくなってしまい、大掛かりな構造物を作る必要がありました。それをドイツの光学技師J. v. フラウンホーファー(Joseph von Fraunhofer 1787〜1826)が改良して、1824年にロシア帝国が現在のエストニアのタルトゥ近郊に建設したドルパット天文台(現在のタルトゥ天文台)に設置した24cmF15屈折望遠鏡の赤道儀は、長い焦点距離の望遠鏡でも少ないスペースで設置することができ、さらに振り子による自動追尾も可能にしていました。これが、現在ドイツ型赤道儀と呼ばれている形の原型です。

 そして、さらに大口径の反射望遠鏡が作られるようになると、より構造を簡略化した架台も現れるようになます。1908年にアメリカのカリフォルニア州ロサンゼルス近郊にあるウイルソン山天文台に設置された1.5m反射望遠鏡は、光学系にカセグレン式反射望遠鏡を採用し、太く短い鏡筒をU字型の枠で支持し、イギリス式と同じように不動点を望遠鏡の中に置くことで全体を小型化した赤道議を採用しました。これが後にその形からフォーク型赤道儀と呼ばれるようになります。1948年にアメリカのカリフォルニア州サンディエゴ近郊のパロマ天文台に設置されたフォーク型をベースにしたホースシュー型赤道儀の5m反射望遠鏡まで、多くの天文台がフォーク型赤道儀を採用していました。



赤道儀の極軸を地軸と平行にし
地球の自転と反対に回転させることで
天体を1つの軸を回すだけで追尾できます

※不動点 : 天体望遠鏡の不動点とは、2つの軸(赤道儀では赤経軸と赤緯軸・経緯台では仰角軸と水平軸)の交点のことで、望遠鏡がどの方向を向いたときにも位置が変わらない場所です。不動点からの距離が遠くなるほど、重量による影響を受けやすくなり、追尾精度や導入精度が悪くなったり、バランスを崩しやすくなります。経緯台やフォーク型赤道儀は、通常不動点が望遠鏡の鏡筒の中に位置するので、重量やバランスの影響を受けにくいのが特徴です。

 しかし、構造を簡単にしたフォーク型赤道儀でも、傾斜した極軸では重量のバランスが不安定になることなどから、それより大きな口径の望遠鏡は作られませんでした。そんな中、1974年にロシア南西部のコーカサス地方にあるカラチャイ・チェルケス共和国に作られた6m反射望遠鏡BTA(Big Telescope Alt-azimuth)は、架台を構造の簡単な経緯台式に戻して各部を電子化し、大口径化することに成功します。その後各国の天文台も経緯台式の大口径望遠鏡を次々と建設するようになり、日本でも、岡山県の3.8mせいめい望遠鏡や、ハワイのマウナケア山に建設したすばる望遠鏡で、高度に電子化された経緯台式の架台を採用しています。

 但し、経緯台式にもいくつかの問題点があります。その一つに、時間とともに視野(写野)が回転してしまうことが上げられます。経緯台式では、2つの軸を連続してまわすことで天体を正確に追尾することができますが、写真撮影などで長時間天体を追尾していくと、その周辺の天体が視野(写野)の中で回転してしまいます。眼で見る場合はあまり大きな問題ではありませんが、写真撮影をする場合は、これが大きな問題になる場合があります。


ドイツ型赤道儀(セレストロン Advanced VX)と
経緯台(セレストロン Nexstar 4SE-J)の比較
同じ口径でもここまで大きさが違う

 



はくちょう座のデネブを経緯台(セレストロンNexstar Evolution-J)で20分間自動追尾した画像
中心のデネブは正確に追尾していますが、周辺の星が少しずつ回転しているのがわかります。
下の画像は、それを比較明合成したものです。
 このような長時間連続して露出する撮影方法では、写野が回転して、まるで北極星を中心に固定撮影をしたような状態になってしまいます。しかし、最近のデジカメは大変感度が高く、わずか数十秒〜1分程度でかなり暗い天体まで撮影ができます。その程度の露出時間であれば、回転は気づかない程度のレベルですし、もっと長い露出時間をかける場合は、架台を赤道儀に変えることができる機種や、別売りのオプションで赤道儀になるものを選択するのも一つの方法です。

 このように、天体望遠鏡の歴史の中では、経緯台から赤道儀を経て、再び経緯台に戻るという変遷をたどってきていることから、当社では構造が簡単で取り扱いしやすい経緯台と天体自動導入装置を組み合わせた望遠鏡を強く推奨しています。
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●モータードライブと天体自動導入
 天体望遠鏡のスペックには、「自動追尾」や「自動導入」という名称が出てきます。これは、望遠鏡の架台部分に取り付けられたモータードライブの機能を表す名称です。

 天体は、地球の自転により見かけ上少しずつ空を移動しているように見えます。この地球の自転による天体の動きを日周運動といいます。下の画像は、100倍くらいで木星を見たときに、日周運動がどのくらいの速さなのかをシミュレーションした画像です。モータードライブが無い望遠鏡では、これを手で追いかけていく必要があります。モータードライブや微動装置の無い望遠鏡では、実際に追いかけるのはとても難しいことです。

実視界0.5度(100倍で見かけ視界50度)の視野で、
自動追尾しなかった場合の移動速度のシミュレーション
天の赤道付近の天体は、1分でおよそ0.5度移動しますから、
この視野だと1分で端から端に移動してしまいます。
 上の赤道儀と経緯台の項目で書いたように、この日周運動により動く天体を追いかけるには、経緯台式では2つの軸を少しずつ回転しながら天体を追いかける必要があります。それをより簡単にするため、赤道儀では1つの軸だけを回転すれば、天体を追いかけられるようになっています。
 19世紀前半にフラウンホーファーが改良したドイツ型赤道儀には、すでに時計と同じしくみの振り子を利用した自動追尾装置がついていました。19世紀後半には電気を使ったモーターが実用化されますが、モーターの回転速度を地球の自転速度にぴったりとあわせることは技術的に難しく、20世紀になっても、電源の要らない振り子式追尾装置は、小口径から大口径まで様々な望遠鏡で使われていました。しかし、振り子式追尾装置は、定期的に振り子を振りなおす必要があることや、装置を大きくすると1回分の振り幅の時間が長くなってしまい、その間に天体が移動してしまうのが欠点でした。
 一方で、発電所から送られてくる交流電源の周波数を利用して、モーターを一定の回転数で維持するシンクロナスモーターが実用化されると、大型の天体望遠鏡の駆動装置として使用されるようになります。モーターが小型化されてからは市販の赤道儀にも装備され、1980年ごろまでシンクロナスモーターを使った自動追尾装置が販売されていました。
 1970年代に入ると、シンクロナスモーターよりさらに回転精度の高いステッピングモーターも実用化され、天体望遠鏡のモータードライブはそちらに移行します。ステッピングモーターは、決められたパルス数だけ正確に角度を回転させることができるため、それを応用した天体自動導入装置も開発され、1980年代ごろからは小口径の天体望遠鏡でも天体自動導入装置を装備した望遠鏡が現れ始めます。
 一方で、ステッピングモーターは価格が高いことや、高速での駆動が難しいこと、さらに消費電力も大きいため、より安価で消費電力の少ない駆動方式として、直流モーターエンコーダー(回転角検知素子)を組み合わせて回転を制御する方法も開発されました。この方法では、電圧を変えることで制御できる回転数の幅が広くなり、経緯台式の2つの軸にモーターを組み込むことで、2つの軸を同時に回転させて天体を自動追尾することも可能になりました。さらに、エンコーダーの精度やソフトウェア次第で、高速で実用的な天体自動導入装置の構築が可能になりました。

 現在発売されている天体望遠鏡では、自動追尾のためだけに従来からのステッピングモーターを赤道儀の赤径軸だけに取り付けたシンプルなものや、両軸に高速回転可能なマイクロステップモーターを使った高精度な天体自動導入や自動追尾ができる赤道儀がある一方で、比較的安価で実用性重視の直流モーターを使った赤道儀や天体自動導入経緯台も発売されています。当社では、構造が簡単で消費電力が少なく取り扱いしやすい直流モーターとエンコーダーを使用した天体自動導入経緯台を強く推奨しています。

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