西洋占星術での惑星の中心はもちろん太陽です。太陽は、個人の意思そのものを表し、一方、黄道12宮のひとつひとつはそれぞれに個性的な性格をもっています。この黄道12宮に裏打ちされることで、乙女座の性格をもった太陽、天秤座の性格をもった太陽などというふうに、各星座宮の個性をもつ太陽となります。
また、他の惑星は、行動や言動、好みや苦手なものなどの動的な方向性を意味します。これらは太陽と同様に、星座に裏打ちされた個性をもって太陽の意志をそれぞれの役割で表現するものです。

占いは幸運不運を占うものとのイメージがあります。一般的に西洋占星術でも、星の吉凶が区別されていますが、実態は吉凶を単純にいえるようなものではありません。
ひとつのホロスコープには、太陽系の惑星がすべて誕生時にその場所からみたままの位置で記されています。吉星、凶星共に誰でも平等に記され、その後の運行も平等です。
たとえば、土星は一般に忍耐と努力を要する厳しい障害や、物事の進行を遅らせる冷たく厳しい憂鬱な凶星といわれていますが、土星の忍耐努力はこの世に生きている以上、何をするにも時間が必要であり、一兆一有にことが無し得ない現実を表します。このことを不運と考えてしまえばそれまでですが、努力をするからこそ発展もあり楽しみも生れ、得るものもあると考えることもできるでしょう。
また、木星は一般に、気高い理想や意識の向上、楽観や期待、物事の発展、成功を表す吉星といわれていますが、本来は、その時の問題の種が大きく成長することを示す星。前向きな努力に対しては良い意味で追い風となりますが、良くない状況があれば悪い方への追い風となり、良し悪しに関係なく問題を膨張させます。このように吉凶をいわれる星の示すものは状況によって多様で、惑星を安易に吉凶で区別することは意味のないことといえるでしょう。
恋愛、仕事、お金などの運についても同じことがいえます。現実的な価値観は、個人の資質よりも環境に影響されるところが大きく、人それぞれです。ホロスコープに配置される惑星の特徴や方向性は、あくまでも本人自身の範囲。現実的な環境や遺伝的要素など、本人以外に起因する事柄については記されていません。つまり、職業選択や結婚、病気や死などの具体的な運命を暗示するものではないと考えられます。