7月28日現在、LINEAR彗星(C/1999S4)は7等級で観測されています。最近世界各地で撮影されたLINEAR彗星(C/1999S4)の画像は「スタークリック!BBS」にて紹介しております。以下のリンクをご参照下さい。また、LINEAR彗星(C/1999S4)の見え方については、「スタークリック!」「この夏の天文現象」にてご紹介しております。是非ご覧ください。

  スタークリック!BBS LINEAR彗星(C/1999S4)関連画像
   
分裂後のLINEAR彗星(S/1999S4)
   
リニア彗星消滅??(7/31)
   
7月22日 雲の中のLINEAR彗星(C/1999S4)
   LINEAR彗星 ただいま7〜8等級 (7/5)
   LINEAR彗星(C/1999S4)の5/31の画像


 当社ベランダから、LINEAR彗星を狙ってみました。この画像ではギリギリの明るさでなんとか写っています(左よりの白線の中央に写っています)。明るさとしては15等くらいでしょうか。画面ほぼ中央にいる小宇宙が15.1等です。それでも、発見時からくらべると順調に明るくなっているようです。
 現在掲載している軌道要素は、中野主一氏が計算した12/10発表のもので、これによると当初の軌道に比べると若干近日点通過が遅くなり、地球との距離も少しばかり遠くなっています。それでも、条件的には文句のないものです。是非美しい姿を見せて欲しいものですね。

日時 :1999年12月26日 20:10
架台 :Meade LXD600
光学系:タカハシFC76 + レデューサー(480mm)
カメラ:武藤工業 CV-04 3×3ビニング
フィルター:なし
露出 :30秒
撮影地:当社ベランダ


 アメリカ・リンカーン研究所の地球接近小惑星(LINEAR = Lincoln Laboratory Near-Earth Asteroid Research)プロジェクトチームは、9/27にぎょしゃ座に17等の移動天体を発見。最初は小惑星状の天体でしたが、世界各地からの観測によりこの天体が彗星であることがわかり、仮符号C/1998S4が付けられています。
 発見から10/4までの観測データから
マースデン氏が計算した軌道によると、彗星は現在まだ4天文単位(火星軌道と木星軌道のあいだ)付近にいて、来年7月24日に近日点通過し、地球からも0.37天文単位まで接近し3等程度まで明るくなる可能性があります。日本からは太陽に近づく4月ごろは見ることができませんが、その前後は継続して良い条件ですることができます。
 以下にマースデン氏が計算した軌道要素を掲げます。また、これにより計算した7月から8月の宵の空での動きをシミュレーションした画像を掲載します。この画像は東京で薄明がほぼ終了する20:30ごろの北西の空の様子を5日おきに表示しています。近日点通過時ごろの彗星の明るさや尾の長さは、それぞれの彗星によりかなり異なるため、この彗星が実際にどのような姿を見せるかはまだわかりませんが、これから大変期待ができることは確かです。日本からは継続した観測ができますので、皆さんも是非追いかけてみてはいかがでしょうか。

LINEAR 彗星 (C/1999S4) 軌道要素 (放物線)

近日点通過 = 2000/07/26.1053 (TT)
近日点距離 = 0.763984 AU
近日点引数 =  151.0719
昇交点黄経 =   83.1520 (2000.0)
軌道傾斜角 =  149.3583 

(Calcurated S.Nakano from MPEC 37026)


7月〜8月の東京での午後8時30分ごろの予想図 正面が北西 薄いブルーの線は彗星の尾が延びる方向

ちょっと期待を持たせる話し(笑)

 この彗星の軌道を見てみると、1996年春に地球に大接近して美しい姿を見せてくれた百武彗星(C/1996B2)に似ていることに気がつきます。百武彗星は、発見されたときすでに10等級で地球にかなり近づいた位置で発見されましたが、今回のLINEAR彗星(C/1999S4)はまだ4AU付近にいることになります。遠い分明るさも17等級と暗いわけですが、百武彗星が発見された約2AU付近のときのこの彗星の明るさは、現在のままを保てば百武彗星と同じ10等くらいで観測されるはずです。

 百武彗星は、近日点通過の前に地球に約0.1AUまで接近しました。このときの彗星を見た方は、すばらしく細く長く延びた尾を見たことと思います。今回のLINEAR彗星はこれほどまでには接近しませんが、それでも0.3AUまで接近することがわかっています。さらに、近日点(最も太陽に近づいたとき)の通過とも重なり、この頃最も長い尾をたなびかせると考えられます。

 このときの地球と彗星の位置関係は、太陽からの距離が約0.7AU、地球から約0.3AUとなり、百武彗星の4月上旬ごろの位置関係に非常に良く似ています。見える方角もほぼ同じです。あの百武彗星の感動をもういちど見ることができるとしたら、やはり期待せざるにはいられませんね!。

 1996年4月6日の百武彗星(C/1996B2) 200mmF4にて撮影
 このときの位置は地球から0.49AU 太陽から0.71AUでした。


最近の天文現象・新天体情報等へ戻る