5月7日(水)午後

4年ぶりの水星の日面通過

 日本では1999年11月16日以来4年ぶりとなる水星の日面通過が、5月7日(水)の午後に起こりました。

 この画像は埼玉県蓮田市の蓮田南中学校で当社がお手伝いをさせていただいた、生徒対象の観望会で撮影したものです。右の画像は14:20に撮影したもので、画面右の太陽のフチすれすれに見えるのが水星です(クリックすると拡大します)。左上の画像はを雲間を狙って撮影した日面通過の経過です。デジカメでの撮影で拡大率や回転方向がまちまちになってしまい見にくくなってしまっていますが、太陽面を移動していく水星の姿を確かめることができます。

 雲が通過する中での撮影で、全体にピントも甘く良い条件ではなかったため、この画像では解りにいですが、生徒用に用意した25cmシュミカセに金属皮膜フィルターを付けた望遠鏡を通してみると、黒点とは明らかに違う黒い「丸」が、太陽のずっと手前にある様子を、遠近感をもって見ることができました。「直接自分の目で見ること」はとても大切なことだと思います。

 来年6月8日には、122年ぶりの金星の日面通過も見られます。是非皆さんの目で確かめてみてください!。

●撮影データ
2003年5月7日14:20〜16:01
76mm屈折望遠鏡+Or25mmアイピース+サンプリズム+サングラス デジカメのコリメート法により撮影 
撮影地・撮影協力:埼玉県蓮田市立蓮田南中学校


 水星の日面通過は、太陽・水星・地球が一直線上に並び、見かけ上太陽の手前に水星が入り込んでくることにより、太陽面に水星が黒く現れる現象です。位置関係としては、水星の代わりに月が入り込む日食と同じですが、月は地球のまわりを約1カ月かかってまわっているのに対して、水星は地球と一緒に太陽のまわりをまわっていて、約4カ月ごとに地球の内側を通過していきますから、起こる確立は日食に対して単純計算で約1/4となる、たいへんめずらしい天文現象です。


今回の水星の日面通過が起こるしくみ
オレンジ・ピンク・黄緑の線はそれぞれ水星・金星・地球の軌道
太陽と各惑星の大きさは解りやすいように大きくしてあります
日面通過は、地球の軌道面と内惑星の軌道面が交差する昇交点・降交点付近で起こります
水星は5月9日前後と11月11日前後 金星は6月8日前後と12月10日前後
来年6月8日には実に
122年ぶりとなる金星の日面通過も起こります
金星は地球のすぐ内側をまわっていますから、肉眼でも解るほどの大きさになります


今回の水星の日面通過の様子
画像の上が天頂になります
日本では、時刻は1分前後の差はありますが
どこでもほぼ同じに見えます

 今回の水星の日面通過は、5月7日の午後2時過ぎ、太陽が少し西に傾いたころから起こります。水星の日面通過は日食に比べてずっと遠いところで起こっている現象ですので、日食のように地球上の場所による見えかたの差はほとんどありません。今回の日面通過の時間は下の表の通りです。

 また、今回は比較的太陽の中心に近いところに入る現象のため、太陽面を通過している時間も長く、日本では日面通過の途中で日没となってしまいます。ですから、観測場所はなるべく西の空の開けた場所を選ぶとよいでしょう。

 日没の時刻はこの時期は東京など関東地方が最も早く、西に行くほど遅くまで日面通過の様子をみることができます。

 水星の日面通過では、太陽面にある黒点白班など、太陽の模様の中を水星がゆっくりと動いていく様子を観察することができます。一見、太陽面を通過している水星は黒点と見間違えてしまいますが、良く見てみると輪郭がはっきりした「丸」として見えるため、黒点とは明らかに違うことがわかります。

 左の図はその様子をシミュレーションしたものです。水星の直径は4880km地球の約1/2.6しかありませんが、それを考えても、太陽がいかに大きな天体であるかがわかります。是非実際に目でみて確かめてみてください。

2003年5月7日の水星の日面通過の主な現象の時刻(日本時間)

地名

太陽面に一部が入る

太陽面に全部が入る

太陽面の一番内側を通過

日没

札幌

14:11:25ごろ

14:15:45ごろ

16:51:00ごろ

18:41

仙台

14:11:35ごろ

14:16:00ごろ

16:50:55ごろ

18:34

東京

14:11:40ごろ

14:16:10ごろ

16:50:55ごろ

18:32

大阪

14:11:45ごろ

14:16:15ごろ

16:50:55ごろ

18:48

福岡

14:11:55ごろ

14:16:20ごろ

16:50:55ごろ

19:04

鹿児島

14:12:05ごろ

14:16:30ごろ

16:50:55ごろ

19:04

那覇

14:12:15ごろ

14:16:40ごろ

16:50:55ごろ

19:04

●水星の日面通過を安全に楽しむには・・・

 太陽はとても明るくまぶしいため、肉眼でそのまま見ることは大変危険です。まして望遠鏡を使って直接のぞくのはもってのほかです。望遠鏡で直接太陽を見ることは、失明の危険もありますので絶対にしないでください。

 しかし、水星の日面通過の観測は、水星がとても小さく日食のように肉眼では見ることができないため、望遠鏡を使って倍率を上げて見る必要があります。そのためには、明るい太陽の光をフィルターなどで減光する必要があります。天体望遠鏡では、口径6cm以上の望遠鏡で、だいたい50倍〜100倍程度の倍率にするとちょうど良いでしょう。

 当社オンラインショッピングでは、太陽観測用のフィルターを用意しています。このページで紹介しているフィルターは全て水星の日面通過の観測にそのままご使用いただけます。この機会に是非お求めください。

商品は十分在庫をご用意しておりますが、現象の日時が近づくと、注文が殺到し品切れになることもあります。ご注文はお早めにお願い致します。


バーダープラネタリウム製アストロソーラーフィルターを
直接取りつけたビデオカメラとその画像
望遠鏡に取りつけた場合もほぼ同じように見えます

 また、これらのフィルターを使えば、カメラやデジカメ・ビデオカメラでの撮影も楽しめます。時間とともに変化して行く様子をデジカメやビデオカメラで連続撮影すれば、動画として楽しむこともできます。

 もちろん、望遠鏡にカメラやデジカメ・ビデオカメラなどを取りつけて撮影することもできます。月や惑星を撮影するときに使用しているカメラアダプタ等がそのまま使用できますから、この機会に是非チャレンジしてみてはいかがでしょう。


天体望遠鏡用サングラスで見た太陽

 このように、望遠鏡に安全なフィルターなどを取りつけて太陽観測を行うことは、決してむずかしいことではありません。是非この機会に太陽観測にもチャレンジしてみてはいかがでしょう。使用方法に十分注意して安全に観測をお楽しみください。

●Meade オートスターを使用するときのTips

 天体自動導入望遠鏡は、夜に星が見える状態でアライメントを行う必要がありますが、この水星の日面通過のような昼間の天文現象では、アライメントを行うことはできません。
 Meade オートスター(オートスター2も含む)を搭載した望遠鏡の場合は、以下の方法を使えば太陽を自動追尾することができます。但し正確な自動導入と追尾はできませんので、視野を見ながら適宜コントローラーを使って視野の中央に調節して使用してください。

1.望遠鏡に太陽観測フィルターを取りつける(必ず最初に行ってください)
2.望遠鏡をなるべく水平にセットする。水準器などがあればBest
3.方位磁針などを使ってなるべく正確に北の方角に向ける
4.電源を入れ、観測地・時刻を設定する。
5.「アライメント」で(アライメントをせずに)「MODE」キーを押してメニューに戻り、「テンタイ」→「タイヨウケイ」→「スイセイ(ワクセイ)」を選択して「GOTO」ボタンを押す。
6.望遠鏡が太陽の近くまで向くので、視野の中に太陽を導入する。このとき、若干北(東)よりにずれているはずですので、(コントローラーを使わず)クランプを緩めて太陽の方に向けてください。これでだいたいの追尾ができるようになります。

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