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7月21日(木)〜22日(金) 24年ぶりの火星食

●当日の様子

 今回の火星食では、潜入と出現の両方が見られる東北地方か北海道に行って見るつもりで準備をしていました。しかし、異常に早かった梅雨明けの影響で、逆にこの時期に東北地方は雲が多くなってしまい、北海道でも晴れない地域もある中、道東はかなり良い確率で晴れそうなので、前日に飛行機を予約していくことにしました。
 望遠鏡一式と撮影機材をスーツケースに詰め込み、空港からレンタカーを借りて少しでも晴れる確率の高い場所に車を走らせ、別海町の国後島の見える海沿いの場所を選びました。東の低いところには少し雲がありましたが、月出から食が終わるまでまったく曇ることはなく、じっくりと食を楽しむことができました。


出現直後の様子 北海道別海町にて撮影
セレストロン ASTRO Fi 5-J直焦点
マイクロフォーサーズミラーレスカメラ
クリックするとMP4動画(180MB)が開きます
 次に見られる火星食は、2024年5月5日の昼間にありますが、夜に見られるものは2042年3月4日の明け方に見られるものまでありません。夜間に見られる惑星食としては、2024年12月8日の土星食が良い条件で見られます。また、今年11月8日の皆既月食中には天王星食も見られます。次回も是非多くの方々に宇宙を見上げていただけれ幸いです。

 7月21日(木)深夜〜22日(金)未明にかけて、日本で夜に見られるものとしては1998年11月14日以来24年ぶりとなる火星食が見られます。
※右画像 : 2017年11月12日に見られたレグルス食
クリックするとその時の様子を見ることができます。
●星食とは?
 星食のお話をする前に、天文現象で言う「食」についてお話しておきましょう。文字通り、天体が「食べられる」現象のことをいいます。もちろん、誰かが星をパクパク食べてしまうわけではないので、何らかの自然現象が起きるわけです。

 有名なところでは、「日食」と「月食」があります。日食は、地球からの見かけ上太陽の前に月が入り込んでくることによって、太陽が月に直接隠される現象です。太陽と月と地球上での見る場所の位置関係により、太陽全体が隠されるものを皆既日食・見かけ上太陽の中に月がすっぽり収まってしまい、リング状に太陽の光が見える金環日食・太陽の一部だけが月に隠される部分日食の3種類があります。最近日本で見られた日食は、2020年6月21日に全国で部分日食が見られました。

 一方「月食」は、太陽の光によって照らされている月が、地球の影の中に入ることによって見えなくなる現象です。日食とは違って、直接月を何かの天体が隠しているわけではありません。しかし、ちょっと視点を変えると、月から見たときに、太陽が地球によって遮られている状態、つまり月での日食が起こっていると考えられるわけです。最近日本で見られた月食は2021年11月19日の皆既月食がありました。

 これらの「食」は、宇宙空間での天体の位置関係が相互に直線上に並ぶことによって、より遠方にある天体が隠されることを差しています。日食の場合は、太陽・月・地球の順に並んだ時に起こり、月食の場合は、太陽・地球・月の順に直線に並んだときに起こることになります。

 なぜ、このように天体と天体が一直線上に並び、日食や月食が起こるのでしょうか?。その理由は月の公転が大きく関係します。月は地球のまわりを約一カ月かけて一周しています。それは地球上から見ると、天球上を少しずつ移動しているように見えることになります。ですから、その日・その時間で月の見える場所は少しずつ違っているわけです。

 その天球上を移動している月が、私たちからの見かけ上その向こう側にある星の手前を通過するときに星食が起こります。今回の火星食は、火星・月・地球が一直線上に並び、見かけ上火星の手前に月が入り込んでくることにより、月が火星を隠す現象です。
●今回の火星食について
 今回の火星食は、7月21日(木)の深夜、東の空から昇ったばかりの月が、ほぼ同時に昇ってくる火星を隠します。火星食は、日食と同様に地球の周りを周っている月によってその向こう側にある火星が隠される現象なので、地球上の場所によって見えかたや時間が変わります。日本では、ちょうど月の出と火星が隠される時間が重なります。月の出の時間が早い東側の地方ほど、空の高いところで見ることができます
2022年7月21〜22日の火星食
札幌付近で東の空を見た様子のシミュレーション
月の位置の関係で、場所によって見え方が異なります。
より西の地方では月の出が遅れるため、低い空に見えることになります
Java scriptの関係で上の図が見られない場合はこちら
 具体的には、下の地図の赤い線より東(北)側では潜入(月の向こう側に隠される)と出現(月の向こう側から出る)の両方を見ることができます。赤い線と青い線の間の地方では、出現のみ見ることができます。青い線より西(南)では、月の出の時点ですでに火星食が終わっています(伊豆諸島では出現のみ見ることができ、小笠原諸島では食が起こりません)。
 世界的には、朝鮮半島の東側と中国北東部の一部・モンゴル東部の一部・ロシア極東地域の一部およびアラスカ・グリーンランドで見ることができますが、北極圏やその周辺では空が明るい時間帯のため条件が悪く、深夜に良い条件で見られる地域は日本とその周辺のみです。
今回の火星食が見える地域
赤い線は月出時に火星が潜入し、青い線は月出時に火星が出現する場所です。
それぞれの線は大気差(地球の大気の屈折により浮き上がる現象)を含めて計算していますが、
その時の気温や気圧による大気の屈折率の変化や、計算方法の違いによる誤差も含んでいます。

2022年7月21〜22日の火星食の時刻(日本時間)

地名

月の出

火星が月縁に隠される(潜入)

火星が月縁から出る(出現)

札幌

23:18

23:43 00:32

仙台

23:28

23:37 00:21

東京

23:37

月出時に隠されている 00:15

大阪

23:56

月出時に隠されている 00:15
広島

00:09

月出時に隠されている 00:16

福岡

00:18

月出時に食が終わっている

鹿児島

00:21

月出時に食が終わっている

那覇

00:40

月出時に食が終わっている
※月の出の時刻は、天体の中心が水平線から昇る時刻を計算しているため、この時刻より早く月の一部が見え始める場合があります。また、大気差(地球の大気の屈折により浮き上がる現象)による補正も加えてあり、その時の気温や気圧によって大気による屈折の影響が変わるため、時刻は多少前後する場合があります。
※火星は大きさ(視直径約4秒)があるため、月縁に隠されたり出たりするのに20秒前後の時間がかかります。

2022年7月21日深夜(22日未明)の火星食の各地での潜入と出現の位置
月面の傾きは、東京で00時15分ごろに東の空を見たときの角度に合わせてあります。
時間と場所によって多少月面の傾きが変わりますが、
出現の位置は月面座標に対してマッピングしています。
●どこで、どうやって見える?
 今回の火星食では、月は東の水平線近くの空で見られますから、東の空が水平線近くまで開けている場所を選んで観察してください。月が昇って来る前に、おひつじ座α星・β星・γ星(上のシミュレーション画像のαAri・βAri・γAri)の星の並びを探しておけば、その真下付近から月が昇ってくるはずです。望遠鏡や双眼鏡を使う場合は、月が昇ってきたら、すぐに月に向けて観察をはじめましょう。

 潜入が見られる地域では、月につづいて左下から火星が昇ってきます。火星が見え始めてから月に隠されるまでの時間は短いので、月の縁に隠れる瞬間を見逃さないようにしましょう。
 出現のときは、上記の表に記載している時間の5分くらい前から、上の図を参考にその付近を注意深く観察してください。
 今回は月齢23と月が比較的細いため、肉眼でも火星が出現する瞬間を見ることができそうです。さらに、望遠鏡双眼鏡を使えば、その変化をじっくりと観察することができます。この時、火星は光の速さで約10分(約1.2AU)の距離にあり、望遠鏡で倍率を上げて見てみると、火星が約20秒かけて少しずつ月の向こう側から出てくる様子をじっくりと見ることができます。

2021年11月8日の見られた金星食の様子
この時と同じように、火星はじんわりと
出現してくることになります
 この月齢では、空の状態が良ければ、天体望遠鏡を月に向け、月の輝いている部分を視野から外して見てみると、月の輝いていない側の縁がうっすらと見え(このページの一番上のレグルス食の画像を参照)、その縁から火星がゆっくりと姿を現す様子を見ることができます。これは、天体望遠鏡でなければ見ることができないものです。是非チャレンジしてみてください。

 また、火星が月に隠されない地域でも、東の空から昇ってきた月のすぐ右に赤い火星が輝く様子を地上の風景といっしょに写真に収めると、印象的な画像になるのではないでしょうか。

 星食をはじめとした「食」は、とてもライヴ感覚のある天文現象なので、一度見てみるととても感動するものです。当社の毎月の星空案内のコーナーでは、火星食はもちろん、星空を気軽に楽しむことができる双眼鏡や望遠鏡を用意しています。この機会に是非お求めいただき、ご自身の目で宇宙の星々が繰り広げるショーをお楽しみください。

商品は十分在庫をご用意しておりますが、現象の日時が近づくと、注文が殺到し品切れになることもあります。ご注文はお早めにお願い致します。

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