カタリナ彗星(C/2013 US10) 
遠ざかりながら北の空で7〜8等級

 2013年10月31日に、アメリカ アリゾナ大学理学部付属月惑星研究所が運用する、地球接近小天体捜索プロジェクト カタリナスカイサーヴェイ(Catalina Sky Survey)の27インチ(68cm)シュミットカセグレン望遠鏡によって発見されたカタリナ彗星(C/2013 US10)が、明け方の東の空で見え始めました。
 右の写真は、11月27日朝に撮影したカタリナ彗星(C/2013 US10)です。高い空に満月が輝き、低いところには濃い水蒸気のある非常に悪い条件でしたが、それでも高度10度くらいになる日の出1時間前に、FH-842RF双眼鏡で確認することができました。明るさは、双眼鏡で見た感じでは5〜6等級くらい・右の写真からは6等後半くらいではないかと思います。地球から太陽と彗星の位置関係により、彗星の尾は太陽と反対方向だけではなく、大きく扇型に広がって見えているようです。

 現在、彗星は地球から約1.6AU・太陽から約0.8AUの位置にありますが、この後1月17日前後に地球から約0.72AUまで接近し、日本を始めとした北半球で大変良い条件となります。12月〜1月まで明け方の空に6〜7等くらいで見ることができそうです

 2015年11月27日のカタリナ彗星(C/2013 US10)
セレストロンNexstar Evolution-J + PV80E55屈折望遠鏡
APS-Cデジカメ一眼レフ
15秒露出 埼玉県堂平山
 彗星は11月15日に近日点(太陽に最も近づいたとき)を過ぎており、少しずつ太陽から遠ざかっているため、これから劇的な変化は起こらないかもしれませんが、まだしばらくは双眼鏡や望遠鏡で見ることができる明るさを維持します。是非注目していきましょう。

(2015年11月27日)


 2015年12月7日のカタリナ彗星(C/2013 US10)
30mmF1.4レンズ→F2.5 固定撮影
APS-Cデジカメ一眼レフ
4秒露出 埼玉県川越市


 2015年12月7日のカタリナ彗星(C/2013 US10)
セレストロンNexstar Evolution-J + PV80E55屈折望遠鏡
APS-Cデジカメ一眼レフ
30秒露出 埼玉県川越市

 前回から10日経ち、月が細くなってきたので、ちょっと早起きして事務所近くの河川敷で狙ってみました。周囲は市街地なので空は明るいのですが、それでも日の出1時間前に、FH-842RF双眼鏡で確認することができました。30mmの写真の高いところにあるのは月で、中央は金星です
 明日は、この月と金星がすぐ近くに並び、さらにその近くにカタリナ彗星(C/2013 US10)が見えるとことになります。空が明るくて彗星が見つけにくい場所でも、ここ数日は金星と彗星が見かけ上すぐ横に見えるので、双眼鏡や望遠鏡で見つけることができるはずです。是非見てみてください。

(2015年12月7日)


 2015年12月8日のカタリナ彗星(C/2013 US10)
セレストロンNexstar Evolution-J + 135mmF2.5レンズ→F4 
APS-Cデジカメ一眼レフ
30秒露出 埼玉県堂平山

 2015年12月8日のカタリナ彗星(C/2013 US10)
セレストロンNexstar Evolution-J + PV80E55屈折望遠鏡
APS-Cデジカメ一眼レフ
30秒露出 埼玉県堂平山
 昨日に引き続いてよい天気で、他に撮りたい天体もあったので、堂平山まで出かけてみました。彗星そのものは月が近くにあるので簡単に見つかったのですが、ちょっと月が近すぎて、存在しか確認できませんでした。上の写真では、月のゴーストの右下に見えています。
 これからは彗星より月のほうが後に昇ってくるので、影響はほとんどなくなります。近くに金星がありますので、それを目印に彗星を探せば、すぐに見つかると思います。是非見てみてください。

(2015年12月8日)

 日常業務や天候の都合でなかなか彗星を見に行くことができなかったのですが、明け方に月が回ってきてしまう前に時間を作って山に登ってみました。彗星の明るさはほとんど変わっていないようですが、月初よりずっと高いところ見えるようになり、観測場所に着いた4:00にはFH-842RF双眼鏡で確認することができました。写真に撮ると、地球に近づいた分大きく明るく写ります。
 24日からは、明け方の空に月が回りこんでしまうため、しばらく条件が悪くなりますが、月が細くなってくる1月中旬ごろから、再び条件が良くなります。彗星の再接近はその後の17日ですから、今からしっかり準備しておきましょうね。

(2015年12月22日)

 2015年12月22日のカタリナ彗星(C/2013 US10)
セレストロンAdvanced VX赤道儀
+ PV102E61屈折望遠鏡+ Meade F6.3レデューサー
APS-Cデジカメ一眼レフ
30秒露出 埼玉県堂平山

 年末年始をはさんで、月明の影響がなくなった頃合で山に登ってみました。地球にだいぶ近づいたので、見掛けの大きさはとても大きくなり、明るさもほとんど変わっていないので、FH-842RF双眼鏡で簡単に確認することができました。明け方にはとても空の高いところに来るので、カメラのファインダーをのぞくのがけっこう大変です(苦笑)
 これからしばらくは月明の影響も無く良い条件になります。再接近の17日にはM101との接近も見られます。今からしっかり準備しておきましょうね。

(2015年1月10日)

 2015年1月10日のカタリナ彗星(C/2013 US10)
セレストロンNexstar Evolution-J
+ PV102E61屈折望遠鏡+ Meade F6.3レデューサー
APS-Cデジカメ一眼レフ
30秒露出 埼玉県堂平山

 地球最接近とM101への見かけ上の接近にあわせて山に登ってみました。このページの一番初めの写真の時より2倍以上近いので、ほぼ同じ焦点距離でもさすがに大きく写ります。FH-842RF双眼鏡で簡単に確認することができました。できるだけ空の高いところで狙おうと欲張りすぎてしまい、南中近くで狙ったら、わずか30秒の露出でも視野の周辺がくるっと回転してしまいました。経緯台自動追尾ならではの失敗です(苦笑)
 今週中は、まだ明け方には月は回ってきませんが、来週に入ると大きな月が回ってきてしまいます。さらに、地球からも急速に遠ざかり、暗く小さくなってしまいますので、まだ見ていない方は今週中に是非捉えてみてください

(2015年1月17日)

 2015年1月17日のカタリナ彗星(C/2013 US10)
セレストロンNexstar Evolution-J
+ PV102E61屈折望遠鏡+ Meade F6.3レデューサー
APS-Cデジカメ一眼レフ
30秒露出 埼玉県堂平山

■彗星のみつけかた

●2月9日〜2月23日の午後8時00分ごろの北の空


カラー版


プリントアウト用

 このファインディングチャートは東京での夜8時00分ごろの北西の空の図です。大阪では約20分後・福岡では約40分後がほぼ同じ空になります。これより早い時間や遅い時間に見るときには、チャートを見えている星と対照するように回転して使用してください。チャートには4等星までの星を載せています。日付のある水色の●が、その日の彗星の位置を示します。地球からの距離が遠くなり、毎日の移動が少なくなりましたので、今回から2日おきの位置を書き込んでいます。
 カタリナ彗星(C/2013 US10)は、1月17日に地球に最接近し、急速に地球からも太陽からも遠ざかって行きます。この時期彗星は北極星の近くを移動していて、一晩中見ることができますが、宵空のほうが空の高いところにあります。しかし、2月14日以後は宵空に明るい月がありますので、月が沈んだ後のほうが条件が良いかもしれません。彗星の明るさは、7等から8等へと少しずつ暗くなっていきますが、まだしばらくは双眼鏡や小望遠鏡で十分に捉えられるはずです。

 彗星を見つけるときは、下に掲載した当社オリジナル双眼鏡など、なるべく視野の広く(倍率の低く)口径の大きな双眼鏡や、2インチ広視界アイピース焦点距離の長いアイピースを使って倍率を低くした望遠鏡で探してください。望遠鏡の場合は、天体自動導入装置があると大変便利です。

 天体自動導入望遠鏡をお持ちの方は、右の座標を入力すると自動導入ができます。

●Meade AutoStarおよびAutoStar IIの場合
Object→User Object→addで座標を入力してデータを追加してから、その追加したデータを「Select」すると自動導入します。

●Meade AutoStar III(LSシリーズ)の場合
Objectモード(天体の選択モード)でコントローラの一番下にある「MODE」キーを押して現在の座標を表示してから「GOTO」キーを押し、目標の座標を入力してから「ENTER」キーを押すと、目標の座標を自動導入します。

●Sky-Watcher SynScan(日本語版)の場合
カタログの選択モードでユーザーキー(9キー)を押し、「座標の入力」を選択→「1)RA-Dec」で1キーを押して座標入力→任意の番号に保存してから、その番号のデータを「座標の取得」で呼び出し、確認キーを押して自動導入します。

●NexStar+(日本語版)の場合
Menuキー(7キー)を押して、「マニュアルにて赤経 赤緯を設定・移動」を選択して座標を入力し、Enterキーを押して自動導入します。

●NexStar Evolution・COSMOS 90 Wifiの場合
Celestron SkyPortalのSearchからComet→C/2013 US10(Catalina)[ABC順に並んでいます]を選び「Goto」をタップすると自動導入します。

カタリナ彗星(C/2013 US10)の座標
(日本時間20時00分)

日付 赤経(R.A.) 赤緯(Dec.)
2/9 04h53m.6 +73゜28'
2/10 04h46m.3 +72゜25'
2/11 04h40m.1 +71゜23'
2/12 04h35m.1 +70゜24'
2/13 04h30m.7 +69゜27'
2/14 04h27m.1 +68゜32'
2/15 04h24m.1 +67゜39'
2/16 04h21m.4 +66゜49'
2/17 04h19m.2 +66゜01'
2/18 04h17m.3 +65゜14'
2/19 04h15m.7 +64゜30'
2/20 04h14m.3 +63゜47'
2/21 04h13m.1 +63゜07'
2/22 04h12m.1 +62゜28'
2/23 04h11m.3 +61゜50'

カタリナ彗星(C/2013 US10)軌道要素

近日点通過 = 2015/11/15.72127(TT)
近日点距離 = 0.8229614 AU
近日点引数 = 340.36026
昇交点黄経 = 186.14480 (2000.0)
軌道傾斜角 = 148.87847
離心率 = 1.0003178
(Ephemeris from M.P.E.C. 2015-S97  Culculated by G. V. Williams )

●このコーナーより商品をお申し込みの場合、代金のお支払いはクレジットカードでの決済または代金引換・銀行振込・郵便振替・コンビニ決済(NP後払い)・ショッピングクレジット(分割払い)がお選びいただけます。はじめてご利用の方や、決済方法など詳しいことをお知りになりたい方は、こちらのページをご覧ください。

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