Pan-STARRS彗星(C/2013 X1)が明け方の東の空で6〜7等級

 アメリカ ハワイ大学天文学研究所が主体となって、太陽系小天体の探索等を目的として進められているパンスターズ(Pan-STARRS = Panoramic Survey Telescope And Rapid Response System)プロジェクトが、2013年12月4日に発見したC/2013 X1彗星が、明け方の東の空に見えるようになってきました。
 この彗星は、2月ごろまで夕方の西の空に9〜10等くらいで見えていたのですが、一旦太陽の向こう側に行って見えなくなり、今月に入ってから再び明け方の東の空に見えるようになってきました。そろそろ太陽からも大きく離れてきたので、見えるかな?と山に登ってみたのですが、残念ながら双眼鏡はでは見つけることができませんでした。
 しかし、天体自動導入機で座標にあわせると、写真では簡単に捉えることができました。機材のテストを兼ねていたので、約1600mm + APS-Cデジカメで大きく拡大しすぎたのと、まだ低い空で薄雲も多い空だったため、、彗星の全容はわかりませんが、緑色のイオンに包まれている姿を見ることができます。この写真からは10〜11等程度に見え、条件の良い南半球の観測者たちの報告よりはだいぶ暗いように感じますが、もう少し空の条件が良くなってくると、彗星全体としてはもう少し明るいのかもしれません。

 2016年5月5日のPan-STARRS彗星(C/2013 X1)
28cmシュミットカセグレン + F6.3レデューサー
APS-Cミラーレスデジカメ
30秒露出 埼玉県堂平山
 現在、彗星は地球から約1.7AU・太陽から約1.3AUの位置にありますが、この後6月22日に地球に約0.64AUまで接近します。但し、太陽からは遠ざかっていくため、これから劇的な変化は起こらないかもしれませんが、まだしばらくは双眼鏡や望遠鏡で見ることができる明るさを維持します。是非注目していきましょう。

(2016年5月6日)

 機材のテストのために富士山まででかけて、東の空の彗星を狙ってみました。前回より1週間経って高度も上がってきていることや、約2000mの標高もあり、今回はFH-842RF双眼鏡で簡単にその存在を確認できました。
 今回は600mmで撮影しているので、彗星の全体像をぼんやりと確認できます。この焦点距離だと、明るさは7等くらいかもしれません。南半球の観測者からの写真を見ても、ほぼ同じくらいの明るさに見えます。
 今週から来週にかけては、明け方に月明の影響が残るため、条件はあまり良くありません。次に月周りが良くなる来月はじめから2週間程度が、最も良く見える時期になりそうです。今からしっかり準備しておきましょう!。

(2016年5月14日)

 2016年5月13日のPan-STARRS彗星(C/2013 X1
セレストロンNexstar Evolution-J + PV102E61屈折望遠鏡
APS-Cミラーレスデジカメ
30秒露出 富士山須走口五合目

 明け方の月明がなくなった今朝、機材テストを兼ねて出かけてきました。寒気が流れ込み強い風と最悪の気流ではありましたが、反面透明度は良く、思ったよりよく写ってくれました。今回もFH-842RF双眼鏡で簡単にその存在を確認できました。
 今回は望遠鏡が変わっているのですが、焦点距離は前回とほぼ同じ560mmで、前回より地球に近づいた分、大きく見えています。この写真から見ると6〜7等程度でしょうか?。
 今週から来週にかけては、月明の影響がなく良い条件になります。これから彗星は地球には近づいてきますが、太陽からは遠ざかり、さらに南にどんどん下がっていってしまうため、日本からはこれから2週間程度が、最も良く見える時期になりそうです

(2016年6月2日)

 2016年6月2日のPan-STARRS彗星(C/2013 X1
セレストロンCPC1100-J + HyperStarIII (560mmF2)
APS-Cミラーレスデジカメ
15秒露出 埼玉県堂平山

●6月1日〜6月15日の午前3時00分ごろの東の空


カラー版


プリントアウト用

 このファインディングチャートは東京での明け方3時00分ごろの東の空の図です。大阪では約20分後・福岡では約40分後がほぼ同じ空になります。これより早い時間や遅い時間に見るときには、チャートを見えている星と対照するように回転して使用してください。チャートには4等星までの星を載せています。日付のある水色の●が、その日の彗星の位置を示します。現在、彗星は地球に少しずつ近づいているため、毎日の移動量は少しずつ大きくなっていきます。
 Pan-STARRS彗星(C/2013 X1)は、4月20日に太陽に接近し、このあと6月22日に地球に最接近します。この時期彗星はみずがめ座を南に向かって移動していて、朝焼けが始まる前の明け方3時ごろの空で最も高いところに見えます。比較的明るい星が少ない領域なので、ちょっと見つけるのが難しいかもしれませんが、わし座のアルタイルペガスス座の四辺形の位置からみずがめ座の三ツ矢やぎ座の逆三角形の星の並びを見つけて、そこから視野を下に降ろしていくと見つけられると思います。

 彗星を見つけるときは、下に掲載した当社オリジナル双眼鏡など、なるべく視野の広く(倍率の低く)口径の大きな双眼鏡や、2インチ広視界アイピース焦点距離の長いアイピースを使って倍率を低くした望遠鏡で探してください。望遠鏡の場合は、天体自動導入装置があると大変便利です。

 天体自動導入望遠鏡をお持ちの方は、右の座標を入力すると自動導入ができます。

●Meade AutoStarおよびAutoStar IIの場合
Object→User Object→addで座標を入力してデータを追加してから、その追加したデータを「Select」すると自動導入します。

●Meade AutoStar III(LSシリーズ)の場合
Objectモード(天体の選択モード)でコントローラの一番下にある「MODE」キーを押して現在の座標を表示してから「GOTO」キーを押し、目標の座標を入力してから「ENTER」キーを押すと、目標の座標を自動導入します。

●Sky-Watcher SynScan(日本語版)の場合
カタログの選択モードでユーザーキー(9キー)を押し、「座標の入力」を選択→「1)RA-Dec」で1キーを押して座標入力→任意の番号に保存してから、その番号のデータを「座標の取得」で呼び出し、確認キーを押して自動導入します。

●NexStar+(日本語版)の場合
Menuキー(7キー)を押して、「マニュアルにて赤経 赤緯を設定・移動」を選択して座標を入力し、Enterキーを押して自動導入します。

●NexStar Evolution・COSMOS 90 Wifiの場合
Celestron SkyPortalのSearchからComet→C/2013 X1(Pan-STARRS)[ABC順に並んでいます]を選び「Goto」をタップすると自動導入します。

Pan-STARRS彗星
(C/2013 X1)
の座標
(日本時間3時00分)

日付 赤経(R.A.) 赤緯(Dec.)
6/1 22h45m.4 -17゜06'
6/2 22h42m.0 -18゜04'
6/3 22h38m.3 -19゜05'
6/4 22h34m.3 -20゜09'
6/5 22h30m.0 -21゜17'
6/6 22h25m.4 -22゜28'
6/7 22h20m.3 -23゜42'
6/8 22h14m.9 -25゜00'
6/9 22h08m.9 -26゜22'
6/10 22h02m.4 -27゜47'
6/11 21h55m.4 -29゜15'
6/12 21h47m.7 -30゜46'
6/13 21h39m.4 -32゜20'
6/14 21h30m.3 -33゜56'
6/15 21h20m.4 -35゜33'

Pan-STARRS彗星(C/2013 X1)軌道要素

近日点通過 = 2016/04/20.72773(TT)
近日点距離 = 1.3142499 AU
近日点引数 = 164.46044
昇交点黄経 = 130.95548 (2000.0)
軌道傾斜角 = 163.23162
離心率 = 1.0010279
(Ephemeris from M.P.E.C. 2016-H35  Culculated by G. V. Williams )

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