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紫金山-アトラス彗星(C/2023 A3)が
太陽観測衛星の画像に写っています!

 2023年1月8日に中国の南京近郊にある紫金山天文台(Zijinshan Astronomical Observatory = 英語名ではPurple Mountain Observatoryとも訳される)の口径1.04m F/1.8シュミットカメラで撮影された画像に18.7等の彗星のような天体が写っているのを発見し、国際天文連合(International Astronomical Union = IAU)の小惑星センター(Minor Planet Center = MPC)の地球近傍天体確認ページ(NEO Confirmation Page)に登録されました。
 その後の観測がなく未確認天体となっていましたが、同年2月22日にアメリカNASAやハワイ大学が中心となって運営されている地球に接近する可能性のある天体を捜索するアトラス(ATLAS = Asteroid Terrestrial-Impact Last Alert System)プロジェクトが、南アフリカのサザーランド近郊にある南アフリカ天文台(South African Astronomical Observatory)の50cm F/2シュミットカメラで撮影された画像に彗星のような天体を検出し、その後の観測から先に紫金山天文台で発見されていた天体と同一であることが判明したため、この彗星はC/2023 A3 (Tsuchinshan-ATLAS) として登録されました。

 ちなみに、Tsuchinshanの名称は、紫金山天文台がつくられた1930年当時に中国語からアルファベットへの転記に使われていたウェード式での表記で、国際天文連合ではこの名前で天文台として登録されているため、この彗星もこの名前で登録されています。

 彗星は現在ろくぶんぎ座にあり、日本からは日の出とほぼ同時に上ってくるため見ることができない位置にありますが、オーストラリア南部ヴィクトリア州スワンヒル(Swan Hill)在住のマイケル マッティアッツォ(Michael Mattiazzo)氏によると、9月16日には明るさ4.3等くらいで肉眼でも見えるようになり、マッティアッツォ氏のWeb.サイトでは撮影した写真も公開されています。

 2024年6月5日の
紫金山-アトラス彗星(C/2023 A3)
Nexstar Evolution 6-J + HyperStar (300mmF/2)
マイクロフォーサーズミラーレスデジカメ
30秒露出 埼玉県刈場坂峠



 2024年7月4日の
紫金山-アトラス彗星(C/2023 A3)
CPC1100-J + HyperStar (560mmF/2)
マイクロフォーサーズミラーレスデジカメ
30秒露出 富士山須走口五合目

 現在の距離は、地球から約1.3AU・太陽から約0.47AUで、9月28日に太陽に約0.39AUまで接近し、その後10月12日に地球に約0.47AUまで接近します。日本からは、まず太陽に最接近する9月28日前後に、明け方の東の空の低いところに3〜4等級で見ることができそうです。但し、地球からは距離が離れているので、双眼鏡や天体望遠鏡での好対象になりそうです。その後、見かけ上太陽に接近したあと、10月中旬からはこんどは夕方の西の空で見えてきますが、地球からも太陽からも遠ざかっていくため、急速に暗くなっていくものと思われます。

(2024年9月19日)

 太陽に最も接近した9月28日の少し前から、北半球からも見えたという報告が入ってきていましたが、日本では全国的に天候の悪い状態で、晴れ間を探して出かけようかと思っていたところ、今朝予想に反して雲が早く切れてきていたので、市内の高台に行ってみました。雲の隙間から双眼鏡で彗星を探してみたのですが、残念ながら見ることはできませんでした。

 ただ、連続撮影した写真には、かすかながらも雲の間に彗星が写っていました!。比較できる星が周囲にないので、正確な明るさはわかりませんが、予想通り3等星程度で見えているようです。雲が切れて水平線が見える環境であれば、もっときれいに見えそうな気もします。

 まだ数日は明け方の東の空の低いところに見ることができそうですが、そのあと地球からの見かけ上太陽に接近してしまい、再び見えてくるのは12日からの夕方の空になります。このころが地球から最も近づいて見えるので、空の暗いところに行けば、もしかすると長い尾を引いた姿をみることができるかもしれません。

(2024年10月1日)

 2024年10月1日の
紫金山-アトラス彗星(C/2023 A3)
85mmF/2.8 + マイクロフォーサーズ 4秒露出
4枚の画像を加算平均合成 埼玉県日高市



 2024年10月1日の
紫金山-アトラス彗星(C/2023 A3)
30mmF/2.8 + APS-C一眼レフ 2秒露出
埼玉県日高市



2024年10月2日の紫金山-アトラス彗星(C/2023 A3)
35mmF/0.95 + APS-Cミラーレス 1秒露出
長野県/群馬県 
毛無峠にて撮影
左の写真は右の写真の7分前 尾の部分が先に見え始めている
この画像をタイムラプスムービーにしたMP4動画(21.8MB)はこちら


2024年10月2日の紫金山-アトラス彗星(C/2023 A3)
85mmF/2.8 + APS-C一眼レフ 4秒露出
長野県/群馬県 
毛無峠にて撮影
左の写真は右の写真の8分前 尾の部分が先に見え始めている
この画像をタイムラプスムービーにしたMP4動画(6.4MB)はこちら

 昨日、地元でなんとか彗星をとらえることができたので、もっと空のきれいなところで晴れそうなところを探して、長野県と群馬県の県境にある、標高1823mの毛無峠に行ってきました。明け方4時から彗星の昇ってくる方角にカメラをセットして撮影したのが上の4枚です。彗星本体が昇ってくる前に、すでに尾の部分が写り始めていました!。
 彗星が山の端から昇ってくる様子は、FH842K7C双眼鏡ではっきりと確認できましたが、肉眼ではギリギリという感じで、残念ながら肉眼で尾を引く彗星の姿を見ることはできませんでした。でも、双眼鏡があれば十分に楽しむことができます。上の2組の写真のうち、上が肉眼で見た感じ・下が双眼鏡で見た感じに近いと思います。

Nexstar Evolution 6-J
+ HyperStar (300mmF/2)
マイクロフォーサーズミラーレス 4秒露出
長野県/群馬県 
毛無峠にて撮影
この画像をタイムラプスムービーにした
MP4動画(1.5MB)はこちら

 まだ数日は明け方の東の空の低いところに見ることができそうですが、そのあと太陽と地球の間を通り抜けるため、地球からの見かけ上太陽に接近してしまい、再び見えてくるのは12日からの夕方の空になります。現在この明るさで見えているので、12日以後もかなり期待して良いのではないかと思います!。ファインディングチャートは、後日このページで公開します。

(2024年10月2日)

●太陽観測衛星の画像で彗星が見える

 10月5〜11日は、彗星が太陽と地球の間を通過していくため、地球から彗星を見るのはむずかしくなりますが、その間、太陽観測のために宇宙空間にある人工衛星の画像に、彗星が写るのを見ることができるはずです。
 右の画像は、アメリカNASAとヨーロッパ宇宙機関ESAが共同で1995年に打ち上げた太陽観測衛星SOHO(Solar and Heliospheric Observatory)(NASAサイトESAサイト)に取り付けられている、太陽の上層大気であるコロナを観測するためのカメラLASCO-C3(Large Angle and Spectrometric Coronagraph-C3)から送られてくる、ほぼリアルタイム(1〜2時間程度のタイムラグがあります)の画像です。この画像には、日本時間で10月7日の夕方くらいから、彗星が右のほうに写り始める予定です。

Courtesy of SOHO/LASCO consortium.
SOHO is a project of international cooperation between ESA and NASA.
※リアルタイム画像は、上記NASAサイトでも見ることができます。
※リアルタイム画像に表示されている時刻は世界時(UT)です。表示されている時刻に+9時間すると、日本時間になります。

(10月3日)

 上記画像に彗星が写り始めました。この画像を生成している元データから比較すると、彗星は太陽の左に写っている水星と同じくらいの明るさで見えているようです。水星も彗星も明るすぎて、カメラ上でデータが飽和してしまっているため、正確な明るさはわかりませんが、現在の水星は-1.0等程度であることから、彗星もかなり明るく見えていることになります。12日以後に期待したいですね!。

(10月8日)

●10月12日〜10月18日の午後5時30分ごろの西の空


カラー版



プリントアウト用


 このファインディングチャートは東京での午後5時30分ごろの西の空の図です。大阪では約20分後・福岡では約40分後がほぼ同じ空になります。チャートには5等星までの星を載せています。日付のある水色の●が、その日の彗星の位置を示します。金星の位置は3日おきに記載しています。

 紫金山-アトラス彗星(C/2023 A3)は、この時期太陽が沈んだ後の西の空に見えていて、おとめ座からへび座の方角に東に移動していきます。太陽が沈んでから彗星が沈むまでのわずかな時間で彗星を見つけなければならないので、西側に開けた海や山の上など、なるべく西の空が水平線近くまで開けた場所で探してください。日没と前後して、太陽が沈んだ位置の左斜め上に金星が見えてくるはずです。そこからさらに右のほうに見えるアークトゥルスを見つけて、その位置関係と上のチャートを参考に、双眼鏡などで彗星を探してみてください。彗星は日に日に高度が高くなって見つけやすくなっていきますが、最も明るいのは12日ですので、なるべく早い日に見つけたほうが、きれいな彗星が見られるかもしれません。

 彗星を見つけるときは、当社オリジナル双眼鏡など、なるべく視野の広く(倍率の低く)口径の大きな双眼鏡や、2インチ広視界アイピース焦点距離の長いアイピースを使って倍率を低くした望遠鏡で探してください。望遠鏡の場合は、天体自動導入装置があると大変便利です。

 天体自動導入望遠鏡をお持ちの方は、右の座標を入力すると自動導入ができます。

●Celestron NexStar+(日本語版)の場合
Menuキー(7キー)を押して、「マニュアルにて赤経 赤緯を設定・移動」を選択して座標を入力し、Enterキーを押して自動導入します。

Celestron SkyPortal appの場合
左下の「探索」から「最も明るい彗星」→C/2023 A3 Tsuchinshan-ATLASを選び「導入」をタップすると自動導入します。

紫金山-アトラス彗星
(C/2023 A3)の座標
(日本時間17時30分)

日付 赤経(R.A.) 赤緯(Dec.)
10/12 14h00m.9 -01゜15'
10/13 14h23m.2 -00゜39'
10/14 14h45m.0 -00゜04'
10/15 15h05m.9 +00゜29'
10/16 15h25m.5 +00゜58'
10/17 15h43m.7 +01゜25'
10/18 16h00m.4 +01゜48'
●Sky-Watcher / Sky Explorer SE-GT SynScan(日本語版)の場合
カタログの選択モードでユーザーキー(9キー)を押し、「座標の入力」を選択→「1)RA-Dec」で1キーを押して座標入力→任意の番号に保存してから、その番号のデータを「座標の取得」で呼び出し、確認キーを押して自動導入します。

●SynScan appの場合
「天体」→「Comet」を選び、「C/2023 A3 (Tsuchinshan-ATLAS)」をタップすると、彗星の座標を自動計算しますので、「導入」をタップすると自動導入します。

●Meade AutoStarおよびAutoStar IIの場合
Object→User Object→addで座標を入力してデータを追加してから、その追加したデータを「Select」すると自動導入します。

●Meade AutoStar III(LSシリーズ)の場合
Objectモード(天体の選択モード)でコントローラの一番下にある「MODE」キーを押して現在の座標を表示してから「GOTO」キーを押し、目標の座標を入力してから「ENTER」キーを押すと、目標の座標を自動導入します。

※夕方の空で天体自動導入機を使用する場合、架台の水平と経緯度および時刻をなるべく正確に設定したうえで、惑星アライメント(Nexstar+)または昼間アライメント(SynScan)で金星を基準にしてアライメントを行えば、必要十分な導入精度が得られます。Celestron SkyPortal appやSynScan appの場合も、金星を使用して1スターアライメントをすることで、必要十分な導入精度が得られます。

紫金山-アトラス彗星(C/2023 A3)軌道要素

近日点通過 = 2024/09/27.74082(TT)
近日点距離 = 0.3914102 AU
近日点引数 = 308.49353
昇交点黄経 = 21.55948 (2000.0)
軌道傾斜角 = 139.11045
離心率 = 1.0000922

(Ephemeris from IAU Minor Planet Center)

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