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宵空に見える2つの彗星(C/2025 A6・C/2025 R2)

 いま、宵空にちょっと明るめの2つの彗星が見えています。ひとつめは、C/2025 A6 Lemmon 彗星です。今年1月3日にアメリカのアリゾナ大学の運営するレモン山天文台 Mount Lemmon Observatory (果物のLemonではありません)で行われている地球近傍天体捜索プログラムによって発見された彗星で、今月21日に地球に約0.6AUまで接近し、11月8日に太陽に約0.5AUまで接近します。現在は地球に最も近づいている時期なので、明るく大きく見えていることになります。ただ、太陽からの離角はあまり大きくありません。一部メディアで最近よく取り上げられている彗星で、いままでは明け方の北東の空の対象でしたが、これからは夕方の北西の空のほうが見やすくなります。

 ふたつめは、C/2025 R2 SWAN彗星です。9月11日、ウクライナのドニプロ在住のアマチュア天文家、ウラジミール ベズグリ(Володимир Безуглий / Vladimir Bezugly)氏が、ヨーロッパ天文連合ESAとアメリカNASAなどが打ち上げた太陽観測衛星SOHOに搭載しているSWAN(Solar Wind Anisotropies=太陽風原子逆回帰現象)の観測画像に、9月4日から彗星らしい天体が写っているのを発見しました。その後の継続的な観測や、それ以前の彗星の画像がSTEREO衛星の8月13日以後の画像にも写っていたことがわかり、それらのデータから、ほぼ黄道面を公転する軌道傾斜角約4.5度の順行彗星(太陽系の天体と同じ公転方向)で、現在地球から約0.9AU・太陽から約0.5AUの距離にあり、発見直後の9月12日に太陽に最も近づき、10月20日には地球に約0.26AUまで近づくことがわかりました。

 どちらの彗星も、現在地球に最接近している時期なので明るく見えていますが、地球から彗星までの距離がやや遠く、彗星そのものも比較的小さいこともあり、肉眼でみることはむずかしく、昨年10月の紫金山-アトラス彗星(C/2023 A3) のように、肉眼で簡単に見える彗星ではありません。現在は双眼鏡での良い対象ですが、尾を引いている様子を見るには、空の暗いところまで出かける必要があります。写真撮影には良い対象で、中望遠レンズから望遠鏡での撮影の好対象です。ただ、マニアの方々が撮影して高度な画像処理をした写真のような尾は、残念ながら簡単には写りません。




2025年10月17日のLemmon彗星(C/2025 A6)
埼玉県秩父市大滝にて撮影
左上 : 135mmF/2.5 + APS-C一眼レフ 30秒露出
右上 :
Nexstar Evolution 6-J + HyperStar (300mmF/2) APS-Cミラーレス 30秒露出
下 : 25mmF/1.8 + マイクロフォーサーズミラーレス 4秒露出



2025年10月17日のSWAN彗星(C/2025 R2)
埼玉県秩父市大滝にて撮影
左上 : 135mmF/2.5 + APS-C一眼レフ 15秒露出
右上 :
Nexstar Evolution 6-J + HyperStar (300mmF/2) APS-Cミラーレス 30秒露出
下 : 25mmF/1.8 + マイクロフォーサーズミラーレス 4秒露出

 関東地方ではなかなか良い天候にならなかったのですが、昨晩久しぶりに良く晴れたので、埼玉県西部の奥秩父まで行って、明るくなっている2つの彗星を見てきました。いままでC/2025 A6は明け方の北東の空の対象でしたが、これからは夕方の北西の空のほうが見やすくなります。どちらの彗星も肉眼では確認できませんでしたが、FH842K7C双眼鏡では比較的容易に見つけることができ、C/2025 A6(Lemmon)彗星は、短いながらも尾が確認できました。

(2025年10月17日)


2025年10月23日のLemmon彗星(C/2025 A6)
埼玉県飯能市 狩場坂峠にて撮影
AZ-GTi架台 + PV80E55鏡筒(440mm F5.5)
APS-Cミラーレス 30秒露出


2025年10月23日のLemmon彗星(C/2025 A6)
埼玉県飯能市 狩場坂峠にて撮影
25mmF/1.8 + マイクロフォーサーズミラーレス
4秒露出 彗星は中央やや下の木の上


2025年10月23日のLemmon彗星(C/2025 A6)
埼玉県飯能市 狩場坂峠にて撮影
FH842K7C双眼鏡の右の鏡胴に
スマートフォン to スコープアダプタeasy
スマートフォンを取り付け、
右目で左の鏡胴を覗いて彗星を視野に入れ、
スマートフォン内蔵カメラの夜景モードで撮影

2025年10月23日のSWAN彗星(C/2025 R2)
埼玉県飯能市 狩場坂峠にて撮影
AZ-GTi架台 + PV80E55鏡筒(440mm F5.5)
APS-Cミラーレス 15秒露出
 昨晩は天候が良くなったので、仕事を終わらせてから当社からほど近い山の上に彗星を見に行ってきました。この場所は標高は800mとそこそこあるものの、東京方面の街明かりの影響は大きく、昨日はなんとか天頂付近の4等星が肉眼で見える程度で、けして良い条件ではありませんでしたが、どちらの彗星もFH842K7C双眼鏡を使えば見つけることができました。

 C/2025 A6 Lemmon彗星は、地球からはゆっくり遠ざかりますが、これから太陽に接近していくので、まだまだ大きな変化が期待できます。昨日は、目印になる恒星が近くにあったため比較的見つけやすく、FH842K7C双眼鏡で簡単に彗星を見つけることができました。前回よりも尾がはっきりと見えたような気がします。

 C/2025 R2 SWAN彗星は、地球からも太陽からも急速に遠ざかっていくので、見かけの大きさも明るさもどんどん小さく暗くなっていきます。水イオンによるプラズマの緑色の輝きは、写真に撮るととてもよく見えます。

 これから月が宵空にまわってきて、来週に入ると月明かりの影響が大きくなります。この週末には、是非空の暗い場所に出かけて彗星を探してみてください。

(2025年10月24日)

●10月23日〜29日の午後6時30分ごろの北西の低い空(C/2025 A6)


カラー版



プリントアウト用


●10月23日〜29日の午後6時30分ごろの南南西の中ほどの空(C/2025 R2)


カラー版



プリントアウト用


 このファインディングチャートは東京での午後6時30分ごろの北西の空と南南西の空の図です。大阪では約20分後・福岡では約40分後がほぼ同じ空になります。チャートには4等星までの星を載せています。日付のある水色の●が、その日の彗星の位置を示します。

 どちらの彗星も、この明るさならこの週末は双眼鏡〜低倍率での望遠鏡での良い対象になるはずです。これから宵空の月が大きくなってきますから、なるべく早い日のほうがよく見えるでしょう。是非空の暗い場所に出かけて、夕方の空に注目してみてください。

 Lemmon彗星(C/2025 A6)は、この時期宵の北西の低い空に見えていて、うしかい座からへび座(頭部)の方角に東に移動していきます。日周運動で時間とともに見かけ上右下にどんどん低くなっていきますから、なるべく北西の空が水平線近くまで開けている場所で、なるべく早い時間に見つけるようにしましょう。空の低いところに見えるアークトゥルスと高いところに見えているベガを見つけて、その中間にあるかんむり座α星アルフェッカ(αCrB)を見つけ、それらの位置関係と上のチャートを参考に、彗星を探してみてください。

 SWAN彗星(C/2025 R2)は、この時期宵の南の空の中ほどに見えていて、やぎ座からみずがめ座の方角に東に移動していきます。南西の空高くに見える夏の大三角のひとつアルタイルと東の空のペガスス座を見つけ、それより低いところに見えているやぎ座の逆三角形の星の連なりを探し、それらの位置関係と上のチャートを参考に、彗星を探してみてください。

 彗星を見つけるときは、当社オリジナル双眼鏡など、なるべく視野の広く(倍率の低く)口径の大きな双眼鏡や、2インチ広視界アイピース焦点距離の長いアイピースを使って倍率を低くした望遠鏡で探してください。望遠鏡の場合は、天体自動導入装置があると大変便利です。

 天体自動導入望遠鏡をお持ちの方は、下の座標を入力すると自動導入ができます。

●Celestron NexStar+(日本語版)の場合
Menuキー(7キー)を押して、「マニュアルにて赤経 赤緯を設定・移動」を選択して座標を入力し、Enterキーを押して自動導入します。

Celestron SkyPortal appの場合
左下の「探索」から「最も明るい彗星」→「C/2025 A6 (Lemmon)」または「C/2025 R2(SWAN)」を選び「導入」をタップすると自動導入します。

Lemmon彗星
(C/2025 A6)の座標
(日本時間18時30分)

日付 赤経(R.A.) 赤緯(Dec.)
10/23 14h55m.7 +24゜16'
10/24 15h09m.8 +21゜33'
10/25 15h22m.8 +18゜50'
10/26 15h34m.7 +16゜08'
10/27 15h45m.5 +13゜30'
10/28 15h55m.4 +10゜58'
10/29 16h04m.3 +08゜33'

SWAN彗星
(C/2025 R2)の座標
(日本時間18時30分)

日付 赤経(R.A.) 赤緯(Dec.)
10/23 19h56m.5 -09゜38'
10/24 20h13m.7 -08゜34'
10/25 20h29m.9 -07゜31'
10/26 20h45m.2 -06゜30'
10/27 20h59m.6 -05゜31'
10/28 21h12m.9 -04゜34'
10/29 21h25m.3 -03゜41'
●Sky-Watcher / Sky Explorer SE-GT SynScan(日本語版)の場合
カタログの選択モードでユーザーキー(9キー)を押し、「座標の入力」を選択→「1)RA-Dec」で1キーを押して座標入力→任意の番号に保存してから、その番号のデータを「座標の取得」で呼び出し、確認キーを押して自動導入します。

●SynScan appの場合
「天体」→「Comet」を選び、「C/2025 A6 (Lemmon)」または「C/2025 R2(SWAN)」をタップすると、彗星の座標を自動計算しますので、「導入」をタップすると自動導入します。

●Meade AutoStarおよびAutoStar IIの場合
Object→User Object→addで座標を入力してデータを追加してから、その追加したデータを「Select」すると自動導入します。

●Meade AutoStar III(LSシリーズ)の場合
Objectモード(天体の選択モード)でコントローラの一番下にある「MODE」キーを押して現在の座標を表示してから「GOTO」キーを押し、目標の座標を入力してから「ENTER」キーを押すと、目標の座標を自動導入します。

Lemmon彗星(C/2025 A6)軌道要素

近日点通過 = 2025/11/08.53838(TT)
近日点距離 = 0.529880 AU
近日点引数 = 132.97023
昇交点黄経 = 108.09803 (2000.0)
軌道傾斜角 = 143.66355
離心率 = 0.9956339

周期 = 1337年

(Ephemeris from IAU Minor Planet Center)

SWAN彗星(C/2025 R2)軌道要素

近日点通過 = 2025/09/12.83133(TT)
近日点距離 = 0.5040665 AU
近日点引数 = 308.32284
昇交点黄経 = 335.34417 (2000.0)
軌道傾斜角 = 4.47345
離心率 = 0.9934200

周期 = 670年

(Ephemeris from IAU Minor Planet Center)

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