2015年4月4日(土)の皆既月食についてはこちら

◆月食当日の様子

 当日は、日本列島を前線が横断し、特に関東地方では寒冷前線の通過で絶望的な天気となったため、雲の上にでることができる山の上に行こうと、早めに富士山の須走口五合目に向かいました。夕方着いたときには富士山は雲の中で、西側に向かって山を昇ってくる風から発生する雲が通過する中で、ときどき青空が見えるという天気。日が沈み空気が冷えてくると、吹き上げる風はやみ、やがて雲が切れて天頂付近は美しい星空になったのですが、東側は発達した積乱雲が高いところまで達し、ピカピカと稲光が見える。月出の18:15はまだ濃い雲の中。しかし南側の雲は少しずつ消え、19:20ごろからようやく皆既中の月が見えはじめました。
 最初に見た印象は、「明るい!」ということ。都会の明るい空では見つけるのが難しかったかもしれませんが、ここ富士山の暗い空では、肉眼で簡単にその存在がわかりました。皆既中の月の明るさは毎回微妙に異なり、その原因は大気中の微粒子が原因とされていますが、まだはっきりとした定説がありません。
 皆既中のみずがめ座σ星の潜入と、皆既終了後の出現もしっかり見ることができ、本影から出現するまで見届けたところで再び雲がではじめたので、機材を片付けて富士山を後にしました。

撮影地:富士山須走口五合目 月の拡大写真はMeade ETX-90とデジカメ一眼レフによる直焦点撮影


夕暮れの富士山に沈む春の星座


みずがめ座σ星の潜入直前


皆既中の夜景


皆既中の夜景


本影に最も入った頃

皆既中後半

皆既食の終了

みずがめ座σ星の出現

部分食が進む

半分でてきました

本影から全て出現

 次回の月食は、2008年8月17日の朝に、西の空の月がわずかに欠ける部分月食があり、皆既月食は2010年12月21日に、今回と同じように部分食の状態の月が東の空から昇り、そのあと皆既となる月食があります。




 夏休みも終わりに近づいた8月28日(火)の宵空で、日本全国で見られるものとしては2001年1月10日の皆既月食以来約6年半ぶりとなる皆既月食が見られます。
左写真:2000年7月16日の皆既月食の様子

●月食はどうしておこるの?

 月食のお話をする前に、天文現象で言う「食」についてお話しておきましょう。文字通り、天体が「食べられる」現象のことをいいます。もちろん、誰かが星をパクパク食べてしまうわけではないので、何らかの自然現象が起きるわけです。

 有名なところでは、「日食」があります。日食は、地球からの見かけ上太陽の前に月が入り込んでくることによって、太陽が月に直接隠される現象です。太陽と月と地球上での見る場所の位置関係により、太陽全体が隠されるものを皆既日食・見かけ上太陽の中に月がすっぽり収まってしまい、リング上に太陽の光が見える金環日食・太陽の一部だけが月に隠される部分日食の3種類があり、最近日本で見られた現象では、2004年10月14日に部分日食が見られました。
 一方「月食」は、太陽の光によって照らされている月が、地球の影の中に入ることによって見えなくなる現象です。日食とは違って、直接月を何かの天体が隠しているわけではありません。しかし、ちょっと視点を変えると、月から見たときに、太陽が地球によって遮られている状態、つまり月での日食が起こっていると考えられるわけです。
 これらの「食」は、宇宙空間での天体の位置関係が相互に直線上に並ぶことによって、より遠方にある天体が隠されることを差しています。月食の場合は、太陽・地球・月の順に直線に並んだときに起こり、日食の場合は、太陽・月・地球の順に並んだ時に起こることになります。

 なぜ、このように天体と天体が一直線上に並び、日食や月食が起こるのでしょうか?。その理由は月の公転が大きく関係します。月は地球のまわりを約一カ月かけて一周しています。それは地球上から見ると、天球上を少しずつ移動しているように見えることになります。ですから、その日・その時間で月の見える場所は少しずつ違っているわけです。
 その天球上を移動している月が、ちょうど太陽の反対側を通過するときに月食が起こります。ですから、月食は必ず満月の日に起こります。また、月食の中でも「皆既月食」と呼ばれる現象は、月が地球の影にすっぽりと入ってしまう現象で、反対にすべてを隠しきることができない月食のことを「部分月食」と呼んでいます。

 前回日本で見られた月食は今年3月4日に西日本のごく一部で若干ながら隠れた部分月食が見られましたが、その前の2006年9月8日は天候が悪く、全国的に見ることができたのは2005年10月17日の部分月食で、さらに皆既月食となると2000年7月16日まで遡ることになります。

●今回の月食について

 今回の月食は、日本からは夕方月が昇る前にすでに月食がはじまっているため、東の地平線から月が昇ってくるときには、すでに月が隠された状態で昇ってくる「月出帯食」となりますが、皆既月食の間は日本全国でみることができます。

2007年8月28日(火)の月食の主な現象の時刻(日本時間)

半影食のはじまり

16時52分
※下記参照 札幌の月出 18時14分
東京の月出 18時11分
大阪の月出 18時28分
福岡の月出 18時48分
那覇の月出 18時51分

本影食のはじまり

17時50分
月が地球の影に入りはじめる

皆既食のはじまり

18時52分
月全体が地球の影に入る

食の最大(148%)

19時37分
月が地球の影に最も入り込む

皆既食のおわり

20時22分
月の一部が地球の影から抜ける

本影食のおわり

21時23分
月全体が地球の影から抜ける

半影食のおわり

22時22分
※下記参照
※半影食とは、太陽の光の一部だけが地球に遮られることにより、月が少し暗くなる影のことを言います。肉眼でははっきりとわからないかもしれませんが、望遠鏡でフィルターなどをかけて月の光を少し暗くしてみると、一部が薄暗くなっているのがわかります。

 今回の月食の起こる時間は上の表の通りです。表の右に各地での月の出の時刻を書いてありますので、その時間に東の空から昇ってくる月を探して見ましよう。その時にはすでに月は欠けた状態で昇ってきます。右の画像は東京での月の欠け方のシミュレーション画像です。他の地方でも、時間と欠けかたはほとんどおなじように見られます。

●どこで、どうやって見える?

 今回の月食は皆既月食ですので、その変化は肉眼でも十分確認できます。但し、月食は、月が昇ってくる時にはすでに月食がはじまっているので、なるべく東の空が地平線近くまで開けた場所で観測すると良いでしょう。都会の住宅地などでは、東に開けたベランダなどでも充分見ることができる現象です。但し、特に中国・四国地方より西の地域では、月が昇ってから皆既食になるまでの時間が短いため、月が完全に隠されるより前に月を見つけるようにしましょう。



東京での月食の起こる様子のシミュレーション
より西の地方では、この図より少し低い空で現象が起こります。

 完全に地球の影に入ってしまう皆既中は、肉眼ではその姿を見ることができないかもしれません。しかし、望遠鏡や双眼鏡を使用すると、皆既中に地球を取り巻く大気を通過した光によって赤銅色に光る月を見ることができるはずです。皆既中の月を見るには、それほど大きな望遠鏡は必要としませんし、双眼鏡でも十分に楽しむことができます。当社オンラインショッピングSummer Sale!2007では、月食の観測にも最適な双眼鏡や望遠鏡を揃えております。是非この機会にお買い求めいただき、宇宙で繰り広げられる天体ドラマを、ご自身の目でごゆっくりお楽しみください。
 また、皆既食になる前後の月は、大口径の望遠鏡で見ると非常にまぶしいため、ムーングラスを使って減光すると、長時間継続して観測することができます。各望遠鏡のオプションとして用意されていますので、この機会に是非お求めください。


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双眼鏡や望遠鏡を使って見たときの月食の見え方のシミュレーション
 上が部分食 下が皆既食中

FZ-1050RF等10倍50mm双眼鏡で見た場合

ETX90PE等、50倍の望遠鏡で見た場合

●おまけ● 月食中に起こる掩蔽を見てみよう!

 日本では、この月食の最中に掩蔽(星食)という現象も起こります。月食中の月も、ふだんと同じように星座の中をゆっくり移動してゆきます。その時に月の向こう側にある星を隠していく現象のことを「掩蔽(えんぺい)」と呼んでいます。

 隠される星はみずがめ座σ星(4.8等星)で、皆既食になったあと、双眼鏡や望遠鏡を使用して見てみると、月のすぐ近くにいるこの星が見つかるはずです。その後月の縁がこの星に近づいていき、「ふっ」と隠されて消える様子や、終了直後にふたたび月の反対側の縁から現れる現象をみることができるでしょう。

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