Pan-STARRSが発見した新彗星
2013年3月に近日点通過 大彗星になるか?!

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 アメリカ ハワイ大学天文学研究所が主体となって、太陽系小天体の探索等を目的として進められているパンスターズ(Pan-STARRS = Panoramic Survey Telescope And Rapid Response System)プロジェクトが、マウイ島ハレアカラ山に設置した口径1.8mのPS1望遠鏡で、6月6日にへびつかい座とさそり座の境界付近を撮影した4枚の画像に、19.4〜19.6等の移動する彗星のような天体があるのを検出しました。

 この発見を受け、翌日の7日および8日に各国の天文台等により確認観測がされました。また、5月24日に同じハワイのハワイ島マウナケア山にあるカナダ・フランス・ハワイ望遠鏡(3.6m)が撮影した画像にもこの天体が写っていたことがわかり、この天体は新彗星であることが確認され、確定符号C/2011L4(2011年6月前半に発見された4番目の彗星)がつけられました。

 世界各国の確認観測では、18.5等から19.9等と明るさにばらつきがあり、まだ太陽から8.15AUと遠いところにあるため、現時点ではこの彗星がどの程度の大きさがあるかはわかりません。しかし、5月24日から昨日までの観測データから、2013年4月17日に太陽に約0.36AUまで接近し、その前の3月下旬に地球から約0.95AUまで接近することがわかりました。この前後には、現在見えている明るさから予想した場合、2〜4等と肉眼でも見えるほどに明るくなるかもしれません。但し、地球と太陽・彗星の位置関係があまり良くないため、日本でこの彗星が見えるのは、近日点通過後の5月中旬くらいになってしまうかもしれません。

(2011年6月9日 10:00)

●コラム● 「AU」ってなに?

 上の解説文の中に「AU」という単位が何度か出てきますね。これは、「天文単位」(Astronimical Unit)という距離を示す単位です。1AUは、太陽と地球の平均距離(149,597,870.7km)で、主に太陽系天体の距離を現すときに使用します。光はこの距離を約8.3分で到達します。つまり、私たちが受けている太陽の光は、約8.3分前に太陽から発せられた光ということになります。


 その後、この世界各国の天文台やアマチュア観測家により継続的な観測が行われており、彗星の軌道も観測結果によって随時更新されています。まだ2年後の正確な状況をシミュレーションできる状態ではありませんが、近日点距離が0.3AU以下であることはほぼ確実で、かなり明るくなることが期待されます。但し、地球との位置関係はあまり良くなく、最も接近するときで1.0AU程度になってしまうかもしれません。

(2011年6月22日 15:00)


 その後の観測で、ほぼ軌道が確定しつつあります。この軌道によると、2013年3月11日ごろに近日点を通過しますが、そのころの日没後の西の空に見ることができそうです。日没時の高度は10度前後で、以後日に日に高度は高くなり条件は良くなりますが、地球からも太陽からも離れていくため、急速に暗くなることが予想されます。近日点通過時の地球からの距離は1.1AU程度とかなり遠いため、見た目の姿は小さめになりそうです。明るさは、まだだいぶ先のことになるため見積もりは難しいですが、夕焼け空の中でも肉眼で見える程度の明るさにはなるのではないかと期待しています。

(2011年7月10日 21:30)


 近日点通過まであと半年となりました。彗星は現在てんびん座にあり、日本からは宵空に低いため捉えるのは難しくなっていますが、南半球ではまだ比較的良い条件で見ることができます。

 イギリスの実業家Dr Martin C. Faulkes氏が 、イギリスをはじめ各国の学校や研究機関と提携して運営しているFaulkes Telescope Projectに参加している学校の学生たちが、オーストラリアのサイディングスプリングにあるFaulkes Telescope South 2m反射望遠鏡を遠隔操作して、9月10日にこの彗星を撮影しました。

 彗星はまだ太陽から3.3AU付近にいるため、像はまだまだ小さいですが、すでに彗星らしい形に見えています。明るさも当初の予想より少し明るく観測されているようで、核光度で13.4等・全光度では11等くらいと観測されています。彗星の光度予想は非常に難しく、必ずしも予想通りには明るくならないこともありますが、最高に見積もると近日点通過ごろは-6等(金星より明るい)になる計算になります。そこまで行かないにせよ、これは大彗星になりそうですよ!。

 地球からの見かけ上、北半球で再び彗星が見えるようになるのは、近日点を通過したあとになります。反対に、南半球では近日点通過前に最高の条件になります。果たしてどんな姿を見せてくれるでしょうか?。これから楽しみです!。

(2012年9月16日)

●コラム● 「彗星」ってどんな天体?

 彗星(すいせい)は、地球や他の惑星たちと同じ、太陽系天体のひとつです。太陽系の周囲にあると考えられている「カイパーベルト」や「オールトの雲」から、太陽の重力に導かれて太陽に接近すると考えられています。太陽に近づいた後は、再び宇宙のかなたに去っていってしまうため、ほとんどの彗星は1回しか私たちの前に姿を現しません。

 彗星の構造は、都会で雪が降ったときに作る「汚れた雪だるま」とよく似ていて、氷(水)の中にたくさんの粒子(ダスト)が含まれた状態になっていると考えられています。これが太陽に近づいて、太陽からの放射で表面が溶け出すことにより、その成分が太陽と反対方向に飛ばされて、私たちが見える「尾」として見えるわけです。

◆彗星について詳しくは、こちら(スタークリック2000年夏号)もご参照ください。13年前の記事なので、内容に多少古い記述も含まれますが、より詳しく彗星について記載しています。

 もうひとつ、彗星とよく間違われるのが、流れ星(流星)です。彗星は地球から遠く放れたところを動いていくので、見かけ上ほとんど動いているようには見えません。それに対して流星は、私たちが見上げている空を突然ひゅっと流れます。つまり、とても近いところで起こっている現象です。

 流星は、太陽の周りをまわっている地球に、たまたまその方向にあった宇宙空間の小さな粒子(ダスト)が重力に導かれて地球上に落下してくる現象で、地上から50〜200kmくらいの高さで地球の大気と反応を起こすことで光っています。宇宙の規模から考えると、ほぼ私たちの地球上で起こっていると考えても良い現象です。

 ただ、流星と彗星がまったく無関係であるかというと、そうでもありません。「流星群」と呼ばれるものは、彗星の放出した粒子(ダスト)の中に、偶然地球が入り込んでいくことにより起こります。このようにして、立体的に宇宙を考えてみると、宇宙がとても面白いものに感じられてくるのではないかと思います。


 12月までは地球からの見かけ上太陽の方向にあり観測できませんでしたが、1月に入ってから南半球の観測者から写真が届くようになりました。

 オーストラリアのアマチュア天文家ロバート コーフマン(Robert Kauffman)氏が、オーストラリア南部のビクトリア州ブライトで1月19日に114mmF8反射望遠鏡にAPS-Cデジカメを取り付けて撮影したのが、右の写真です。入門者向けの望遠鏡でも、すでに彗星らしい姿で見えるようになっています。コーフマン氏によると、彗星の核光度は8.2等とのことで、この写真に写っている周辺の星と比較しても、この見積もりは間違いないと思われます。

 彗星は現在みなみのかんむり座(いて座の南)にあり、日本からは見ることができません。太陽からの距離は約1.2AU付近・地球からは約2AUにあります。太陽に最も近づく3月11日には、太陽から約0.3AU・地球からは1.1AUまで近づき、現在の明るさからそのころの明るさを推定すると、核光度で-2等程度になる計算になります。しかし、彗星の光度予想は非常に難しく、必ずしも予想通りには明るくならないこともありますが、これから注目していきたいですね。

 日本からは、この近日点通過の3月11日から10日程度が、最もよく見える時期になりそうです。

(2013年1月21日)


 日に日に太陽にだんだん近づいてきて、明るさや見え方がどうなるか、南半球から届く写真を楽しみに待っているところです。。

 オーストラリアのアマチュア天文家マイケル マッティアッツォ(Michael Mattiazzo氏が、オーストラリア南部のアデレード近郊で2月8日に300mmF5.6ズームレンズとAPS-Cデジカメで撮影(2分露出×5枚合成)したのが、右の写真です。マッティアッツォ氏によると、彗星の光度は5.9等とのことです。現在の明るさから最も明るくなるころの明るさを推定すると、核光度で0等程度になる計算になります。しかし、彗星の光度予想は非常に難しく、これより明るくなるか暗くなるかは、現時点ではわかりません。引き続き注目していきたいですね。

 マッティアッツォ氏のHomePageには、この彗星以外にも、現在南天で同じくらいの明るさになっているLemon彗星(C/2012F6)の写真も掲載されています。現在の地球からの距離はほとんど同じなのですが、こちらは水イオンの色がとてもよく出ていて、ダストの多いPan-STARRS彗星(C/2011L4)との対比が面白いです。

(2013年2月9日)


 近日点通過まで1ヶ月を切り、南半球でも緯度の低い地方では、日の入り後や日の出前のわずかな時間しか観測ができなくなってきています。

 オーストラリア北部ケアンズ在住のアマチュア天文家ジョセフ ブリマカム(Joseph Brimacombe)氏が、2月17日の日の出前に600mmF4カメラレンズ+1.4倍テレコンバータとライカフォーマット(35mmフルサイズ)デジカメで撮影(4秒露出)したのが、右の写真です。

 時間的に日の出40分前の明るい空のため、彗星の姿も小さめですが、それでもはっきりと見ることができます。わずか4秒の露出ですから、肉眼でも十分に見えているものと思います。

 また、1月19日にも写真を提供していただいたロバート コーフマン(Robert Kauffman)氏も、同じ17日の夕方に134mm相当のズームレンズとAPS-Cデジカメ一眼レフで撮影した写真をいただきました。このような手軽なカメラでも、十分に撮影できる明るさになっています。

 2月8日の写真を提供していただいたマッティアッツォ氏も15日の写真を撮影していて、明るさを5.0等と見積もっています。この明るさから最も明るくなるころの明るさを推定すると、核光度で0等程度になる計算になります。しかし、彗星の光度予想は非常に難しく、これより明るくなるか暗くなるかは、現時点ではわかりません。しかし、実際に彗星を見た観測者たちからは、現在明るくなっているLemon彗星(C/2012F6)よりも、Pan-STARRS彗星(C/2011L4)のほうが「彗星らしく見える」という報告も入っています

 現在の彗星までの地球や太陽からの距離は、近日点通過後の3月下旬の位置とほとんど同じになります。このころには、日本からもかなり高い空に見えることになりますから、同じような彗星の姿を見ることができる可能性が高いと言えます。その時期に備えて、早めにに準備をすすめたいですね!。

(2013年2月18日)


 近日点通過まであと2週間。南半球の観測者からは、ギリギリの条件ながらも引き続き彗星の観測報告や写真が公開されています。

 オーストラリア南部メルボルン在住のアマチュア天文家アラン ワトソン(Alan Watson)氏が、2月23日の日没後に75mmF4レンズとAPS-Cデジカメで撮影(10秒露出)したのが、右の写真です。短めの焦点距離のレンズですので、彗星の姿も小さめですが、それでもはっきりと見ることができます。一緒に写っているフォーマルハウトの明るさから推測すると、3等くらいでしょうか?。上記のリンクからワトソン氏のブログを見ると、彗星の部分を拡大してコンポジット(合成)した画像も見ることができます。

 2007年の1月に急増光して大ブレークしたマクノート彗星(C/2006P1)のように、このくらいの太陽の距離から急激に明るくなる彗星も多く見られます。引き続き南半球からのリポートを心待ちにしています。

(2013年2月26日)


 日本で待っていられず、ニュージーランド北島のファカマルダム(Whakamaru Dam)で捉えてみました。APS-Cデジカメ一眼レフと300mmF4レンズで、20秒露出しています。

 ここ数日で急に明るくなったようで、ダストの尾がとても美しく輝いています。夕暮れからちょうど彗星の高さに雲が掛かってしまい、なかなか見えずにやきもきしたのですが、雲間から長い尾と頭部が分かれて見えてきたときは、とても感動しました!。ダムの照明が入り込んでしまって、空が明るくなってしまいました・・・。

 今日のニュージーランドでの太陽との位置関係は、日本での3月11日ごろとほぼ同じです。そのころには今より明るくなっているはずですので、日本でもほぼ同じかこれ以上に良く見えるはずです!。

(2013年3月1日)


 引き続きニュージーランドからの写真です。一昨日の北島からさらに南に向かって、南島のスターウォッチングポイントとして有名なテカポ湖にきました。夕方一時雲が掛かり心配しましたが、夜には快晴になりました。見ての通り、すばらしい眺めなっています!。まだ近日点通過までは7日ありますので、まだまだ大きく変わっていくものと思います。日本では、近日点通過の10日からが見ごろになります。是非注目してくださいね!。


85mm F2 8秒露出
APS-Cデジカメ一眼レフ

300mm F4 30秒露出 nano tracker使用
APS-Cデジカメ一眼レフ

(2013年3月3日)


 昨日ニュージーランドから帰国しましたが、帰国途中のクライストチャーチからオークランドへの飛行機の中からも、彗星を容易に確認できました。右の写真は、機内から窓越しに手持ちでシャッターを切って撮影した写真です(右下のぼけた像は機内の映り込みです)。標準レンズ(30mmレンズ+APS-C一眼レフカメラ)で撮影していますので、肉眼で見た感じとほぼ同じと考えて良いと思います。彗星の右上にある星が、2等星のくじら座α星(デネブカイトス)ですので、彗星の明るさはそれと同じくらいかもう少し明るいのではないかと思います。

 最も太陽に近づくのは3月10日で、このときが最も明るく見えるはずです。この日以後、日本をはじめとした北半球でも、夕方の西空に見え始めるはずです。是非ご自身の目で彗星の姿を確かめてみてください!。

(2013年3月8日)


 昨日は、当社企画スターライトキャラバンのため岡山に行っていました。良い天気に恵まれ、西の空の良く開けた展望台から、参加者の子どもたちと一緒に双眼鏡を使って彗星を20分ほど探してみましたが、残念ながら見ることはできませんでした。

 一方、アメリカやヨーロッパなど他の北半球の観測者からは、日本時間3月10日未明から、次々と観測報告が上がってきており、肉眼で確認できたとする方や、双眼鏡では見えたが肉眼では見えなかったという方もいます。アメリカの宇宙天気の情報サイトSpaceWeather.com内にあるリアルタイム画像集には、世界各地で撮影されたこの彗星の画像が次々にアップロードされています。
※上記サイトの画像に記載されている日時は、それぞれの投稿者の現地時間で記載されているので、注意してください。
 
日本でも条件的には捉えることができるはずですが、雲や黄砂等の影響で、見つけるのが厳しい状況であることは確かです。引き続き太陽が沈んだ後の西の空に注目しましょう!。

(2013年3月11日)


 帰国してからはじめて、8日ぶりに彗星の姿をはっきりと確認できました!。今日は風向きが変わり、黄砂の影響がほとんどなくなったのですが、遠出する時間が取れなかったため、当社3階の作業場の窓に三脚をすえつけて、日没約30分後の18:20ごろからFH-842RFで彗星を探し始め、18:26に彗星の姿を確認しました。この写真は日没約50分後に300mmレンズ+APS-Cデジカメで撮影したのもので、このあとすぐに低い雲に隠れてしまいました。下に赤く光って見えるのは、街灯に照らされた電線です。

 双眼鏡では容易に確認できましたが、肉眼では見えませんでした。もうちょっと空が暗くなれば、肉眼でも確認できると思います。彗星のまでの距離を考えると、今週末あたりが最も条件が良いのではないかと思います。

(2013年3月14日)


 上の写真の翌日(3月15日)までは事務所3階から彗星を見つけることができたのですが、その後は透明度の悪い空と天候に阻まれて、なかなか彗星を見ることができませんでした。今週からは明け方の空でも見えるようになり、嵐の去った今朝、少し離れた山の上まで出かけて、ようやく久しぶりに彗星を見ることができました。低いところには雨上がりの水蒸気が多く透明度が今ひとつで、さらに下弦の月が空の高いところにあり、けして条件はよくありませんでしたが、薄明が始まる前に彗星を見つけることができました。

 レンズは今までとおなじ300mmですので、だいぶ小さくなって遠ざかった感じはしますが、相変わらずダストの尾が明るく立派な彗星に見えます。左下に見えるのはアンドロメダ大銀河M31ですが、M31よりかなり早い段階で見えてきましたので、まだ明るさは全光度で3〜4等程度をキープしているのではないかと思います。

 これから距離はどんどん離れていきますが、日に日に北の空の高いところに移動していきますので、見つけやすくなってきます。是非明け方の北東の空に注目してみてください。

(2013年4月4日)


 昨日写真を撮ったばかりでしたが、明日・明後日と天候が悪くなるため、最もM31に近づいたところを写真に収めるためにちょっと遠征して、長野県小海町の標高1700mの山の上まで行ってきました。ここまでくれば春霞の影響はかなり抑えられますが、それでも低いところは霞んでいて、彗星が確認できたのは、計算上彗星が水平線から昇って30分後でした。さらに月明もあって、この程度の写真が限界でしたが、それでも太陽の重力に導かれて大きく扇状に開いた尾が、きれいに輝いているところを映し撮ることができました。

 今週末になるとM31からは離れていきますが、月明の影響が少なくなりますから、もっときれいな彗星の姿を見ることができるはずです。日の出1時間半前からの30分間が、彗星の観察に最も適した時間になります。是非明け方の北東の空に注目してください!。

(2013年4月5日)



Meade LS-15 + F6.3レデューサ 30秒露出
APS-Cデジカメ一眼レフ

 4月6日〜8日にかけて、日本列島を「爆弾低気圧」が通過していきましたが、その低気圧が春霞や黄砂など持って行った直後を狙って、4月8日朝に再び長野まで行ってきました。

 予想通り、低空まですっきりと晴れ渡り、今月に入ってからこれまで影響が強かった月明もほぼ無くなり、彗星が水平線から昇って15分後にはFZ-856GRF双眼鏡で確認でき、30分後には肉眼でも尾をたなびかせる姿をはっきりと見つけることができました。ニュージーランドから追いかけ始めて、今回が最もきれいに彗星を見ることができたと思います

 Meade LS-15FZ-1170GFQ双眼鏡でも彗星を見てみましたが、LS-15では上空の気流が激しく、上の写真のように星像が大きくぼけてしまいました。それでも、口径の大きな望遠鏡では、頭部から尾がたなびく様子が迫力ある像として見ることができました。最も「彗星らしく」見ることができたのは、やはり明るさと倍率を兼ね備えたFZ-1170GFQでした。

 彗星からの距離は遠ざかっていますので、確かに暗くなってきているのですが、彗星そのものはとてもダストが多く、それが太陽の光を反射しているため、距離のわりに明るい状態が続いています。さらに、北半球では高度が日に日に高くなっているため、どんどん見やすくなっています。まだしばらくは楽しめるはずです。


300mm F4 60秒露出 nano tracker使用
APS-Cデジカメ一眼レフ

135mm F4 30秒露出 nano tracker使用
APS-Cデジカメ一眼レフ

 今月中は月明の影響が少ないですから、引き続ききれいな彗星の姿を見ることができるはずです。日の出1時間半前からの30分間が、彗星の観察に最も適した時間になります。是非明け方の北東の空に注目してください!。

(2013年4月9日)



30mmF2 30秒露出 固定撮影
APS-Cデジカメ一眼レフ

 前回の写真を撮ってから1ヶ月あまり、スケジュールや天候の都合でなかなか彗星を見に出かけることができなかったのですが、今日を過ぎると月明の影響が出てしまうので、なんとか都合をつけて長野県の標高2000mの峠へ行ってきました。高速を走っている間は小雨もぱらつく天気でしたが、2000mともなれば雲の上に出られるので、満天の星空を見ることができました。

 しかし、山を越えてくる風が容赦なく吹きつけ、三脚に固定したカメラもブルブル震えてしまって、300mmではなかなか星が点になってくれません。さらに、中望遠のレンズをことごとく忘れてきてしまい(笑)、30mmと300mmの写真の比較になってしまいました。上の30mmの写真は、北極星から伸びる「小北斗」と彗星を一緒に入れてみたのですが、彗星がどこにあるかわかりますか?。

 300mmでの写真は、ご覧のようにコマの前後に細長い尾がまっすぐに伸びているのがわかります。すでに地球から1.73AU・太陽から1.67AUまで遠ざかっていますので、日本から最もよく見えた3月中旬から約1.5倍の距離になり、だいぶ暗くなっています。しかし、たくさんのダストを撒き散らしながら、まだまだ望遠鏡や双眼鏡では十分に見える明るさ保っています。


300mm F4 15秒露出 固定撮影
APS-Cデジカメ一眼レフ

Lemon彗星 (C/2012 F6)
30mm F2 8秒露出 固定撮影
APS-Cデジカメ一眼レフ

 南半球でPan-STARRS彗星(C/2011 L4)と一緒に見えていたLemon彗星(C/2012 F6)も、今月に入り日本からも東の空に見えるようになりました。一応30mmで撮ってみましたが、Pan-STARRS彗星(C/2011 L4)と比較すると、だいぶ小さく見えますね。地球からの距離はどちらもほぼ同じであることを考えると、Pan-STARRS彗星(C/2011 L4)彗星は実はけっこう大きく明るい彗星だったことがわかります。地球との位置関係の問題なので、仕方ありませんね。今年11月以後に接近するISON彗星(C/2012 S4)に期待しましょう。

 このあと、今月中は月明の影響がありますが、6月に入ると月が細くなり影響が少なくなります。現在彗星は天の北極付近を通過しているため、固定撮影でも十分彗星の姿を写し出すことができます。去り行く彗星の姿を、是非見つけてみてください。

(2013年5月22日)


■彗星のみつけかた

 Pan-STARRS(パンスターズ)彗星(C/2011L4)は3月10日に太陽に最も近づき、地球からもそのころ最も近づきました。その後、彗星は太陽から遠ざかり、地球からの見かけ上も太陽から離れるため、見つけやすくなります。しかし、地球からの距離も遠くなるため、だんだんと暗くなっていってしまいます。

●5月15日〜31日の午前3時ごろの北の空

 この期間になると、彗星は一晩中見えますが、明け方の東の空のほうが良い条件で見られます。このファインディングチャートは東京での日の出約1時間30分前になる3時ごろの北の空の図です。大阪では約20分後・福岡では約40分後がほぼ同じ空になります。右下に日付のある水色の●が、その日の彗星の位置を示します。●印は2日おきに書き込んでありますので、その間の日に見るときは、該当する日の中間付近を探してください。これより遅い時間に見るときには、チャートを反時計回りに回転して使用してください。空の低いところに見えている、カシオペヤ座の星の並びを目印に北極星を見つけて、その周囲の星の位置関係を見ながら探してみてください。チャートには4等星までの星を載せています。

 彗星を見つけるときは、下に掲載した当社オリジナル双眼鏡など、なるべく視野の広く(倍率の低く)口径の大きな双眼鏡や、2インチ広視界アイピース焦点距離の長いアイピースを使って倍率を低くした望遠鏡で探してください。望遠鏡の場合は、彗星はファインダーでも十分見つけられる明るさですから、チャートを参考にその周囲を探してみてください。

彗星の座標(日本時間3時の位置)

日付 赤経(R.A.) 赤緯(Dec.)
5/15 23h30m.8 +78゜20'
5/16 23h24m.5 +79゜04'
5/17 23h17m.2 +79゜47'
5/18 23h08m.9 +80゜29'
5/19 22h59m.1 +81゜10'
5/20 22h47m.8 +81゜50'
5/21 22h34m.5 +82゜27'
5/22 22h18m.8 +83゜03'
5/23 22h00m.4 +83゜35'
5/24 21h38m.8 +84゜05'
5/25 21h13m.5 +84゜30'
5/26 20h44m.6 +84゜51'
5/27 20h12m.4 +85゜05'
5/28 19h37m.8 +85゜13'
5/29 19h02m.4 +85゜14'
5/30 18h27m.9 +85゜08'
5/31 17h55m.8 +84゜55'

 天体自動導入望遠鏡をお使いの方は、左の表から、各日付の座標を入力してください。

●Meade オートスターの場合
Object→Solar System→Comet→C/2011L4を選択するか、Object→User Object→addで右の座標を入力してから、その追加したデータを「Select」して自動導入

※#497オートスターVer.2.3以前および#494オートスターVer.1.1以前のモデルでは、タイヨウケイ→スイセイ(コメット)で軌道要素を入力する方法では、正確な位置を計算できません。その日ごとにユーザー天体を指定して座標を入力してください。


パンスターズ彗星(C/2011L4) 軌道要素

近日点通過 = 2013/03/10.16755 (TT)
近日点距離 = 0.3015432 AU
近日点引数 = 333.65151
昇交点黄経 = 65.66583 (2000.0)
軌道傾斜角 = 84.20688
離心率 = 1.0000134

(Ephemeris from M.P.E.C. 2012-Y30  Culculated by G. V. Williams )

●ただいまこのコーナーに掲載の双眼鏡は、全機種在庫がございます。ご注文確定の当日または翌日には発送しております。彗星が見える期間は限られていますので、なるべくお早めにご注文いただきますようお願い致します。

●このコーナーより商品をお申し込みの場合、代金のお支払いはクレジットカードでの決済または代金引換・銀行振込・郵便振替・コンビニ決済(NP後払い)がお選びいただけます。はじめてご利用の方や、決済方法など詳しいことをお知りになりたい方は、こちらのページをご覧ください。

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