星空案内はこちらのページと一緒にお読みください

 いよいよ3月。この事務所のある埼玉近辺では、梅がちょうど見頃となっています。右の写真は、埼玉県西部の越生町にある越生梅林の様子です。梅の花は紅梅・白梅といった色の違いから、花の咲き方や枝の広がり方など、実に様々なものがあります。どの花よりもいち早く、春の訪れを感じさせてくれる花ですね。

 星空の方も、3月になると冬の星座から春の星座へと移り変わっていきます。3月注目の天文現象として、23日に東方最大離角を迎える水星が、夕方の西の空で見やすくなっています。10日ごろから月末までの間、太陽が沈んだ30分後ごろに西の空の夕焼けの中に、明るく輝く水星を見つけることができるはずです。特に15日には、地球からの見かけ上木星のすぐ近くに見えるので、簡単に見つけることができるはずです。

 水星は太陽に最も近いところをまわっている惑星で、地球より内側をまわる水星と金星のことを内惑星といいます。内惑星は、地球と太陽との位置関係により、大きさと明るさが大きく変化します。その様子はこちらのページで解説しています。地球からの見かけ上、太陽に近いところに見えることが多く、夕方と明け方のわずかな時間しか見ることができない非常に見つけにくい惑星です。しかし、春の夕方の空に水星が見られるときは、地球の自転軸の傾きの関係で日本からは非常に見やすくなるのです。是非この機会に探してみてください。

 その水星より早く、夕焼け空の中にひときわ明るく見えてくるのが木星です。木星までの距離は光の速さで約40分かかりますが、木星は太陽系最大の惑星で、その直径は地球の11倍もあるため、望遠鏡でも表面の模様が良く見えます。木星をはじめとした太陽系の天体の大きさが解る図がこちらのページにあります。

 木星を望遠鏡で見ると、本体にある縞模様や、まわりをまわるガリレオ衛星と呼ばれる4つの衛星を見ることができます。これは、1610年にイタリアの天文学者ガリレオ・ガリレイが初めて望遠鏡で木星を見たときに発見した衛星で、イオエウロパガニメデカリストという名前が付けられています。木星はその明るさと大きさから大神ゼウスのローマ神話での呼び名ユピテル(Jupiter=英語でジュピター)と呼ばれており、そこをまわる衛星には、ゼウスに仕えていたニンフなどの名前が付けられているのです。

Meade LX200-25で見た木星
デジタルビデオカメラで撮影

 木星は、今月中旬ごろまでは夕方の西の空に見えていますが、そろそろ見納めになります。その木星が西の空に沈む午後9時ごろの空の様子を見ると、北西の空にはW字型の星が連なるカシオペヤ座が見えています。カシオペヤ座からもう少し空の高いところに、漢字の「人」という字を横にしたように星が連なるペルセウス座があります。この、ペルセウス座とカシオペヤ座の中間付近には、先月のこのページで紹介した二重星団です。地球から7600 光年にある2つの星団で、低倍率の望遠鏡や双眼鏡見ると、天の川のたくさんの星の中に見える様子は感動的です。

 一方、視線を空の高いところに向けると、明るい星が多くとてもにぎやかな冬の星座たちを見ることができます。北西の空の高いところに見える明るい一等星がぎょしゃ座カペラ(41光年)です。ぎょしゃ座には先月のこのページで紹介したM36・37・38の3つの散開星団があります。

 ぎょしゃ座の南にはおうし座があります。おうし座の一等星アルデバラン(65光年)の付近は、ヒアデス星団という散開星団Mel25の一部で、この付近を双眼鏡で見てみると、40個程度の星が広く散らばっているのを見ることができます。一方、もう少し空の高いところに見える数個の星がごちゃごちゃっと集まって見えるところが、2010年12月のこのページで紹介した「すばる」ことプレアデス星団M45です。双眼鏡で見てみると、いろいろな明るさの100個くらいの星が群れを成しているのがわかります。ヒアデス星団までは約150光年・プレアデス星団までは約440光年の距離があり、それぞれの大きさの差はこの距離の違いによるものです。しかし、プレアデス星団の星の輝きは、ヒアデスよりずっと明るく、高温で非常に高いエネルギーを放出していることがわかります。

 すばるやヒアデス星団より少し低いところには、冬の星座の代表冬の星座の王者オリオン座ベテルギウス(310光年)・全天で最も明るい恒星のシリウス(8.7光年)のあるおおいぬ座・そしてこいぬ座プロキオン(11.2光年)が冬の大三角を形作っています。おおいぬ座には、2004年の1月のこのページで紹介した散開星団M41があります。さらにその南には、1月のこのページで紹介したカノープス(310光年)も見えているはずです。

 冬の大三角の北には、ふたご座ポルックス(52光年)とカストル(32光年)も見えてきています。このふたごは、ギリシャ神話では大神ゼウスとスパルタ王妃レダとの間に生まれた双子の兄弟と言われています。ふたご座には、先月のこのページで紹介し散開星団M35があります。

 一方、ポルックスやカストルから東の方の空には、明るい星の少ない春の星座がおとなしく光っています。ふたご座より少し低いところに、かに座があります。かに座は最も明るい星でも3等星しかなく、街中の明るい空では残念ながらその姿をみることはできませんが、双眼鏡や望遠鏡で探してみると、そこには2003年の4月のこのページで紹介したプレセペという散開星団があります

M65・66のシミュレーション画像 クリックすると拡大します
20〜25cmクラスの望遠鏡で60倍くらいで見るとこのように見えます
上の細い銀河はNGC3628で、20cmクラス以上なら
同じ視野に見ることができます。

Meade オートスターでの導入方法

Deep Sky→Messierを選択して
65または66と入力
#494オートスターでは、キーパッド下側の上下キーで数値を入力します
双眼鏡や天体自動導入機の無い望遠鏡での見つけ方はこちら

 かに座からさらに東の空に目を移すと、春の夜空では数少ない一等星、しし座レグルスがあります。しし座というと、11月のしし座流星群で有名ですが、実際に宵の空に見えるのは春の季節になります。しし座をはじめとした春の星座は、「銀河ののぞき窓」とも言われるとおり、銀河系の外側のはるかかなたにある銀河が、数多く見られるところでもあります。

 そのうちのいくつかには、小望遠鏡でも見える明るい銀河があります。M65・66は、しし座の後ろ足のあたりにある10等級の銀河です。銀河系からそれぞれ2400万光年と2150万光年のかなたにある、それでも比較的近くにある銀河です。

 しし座から、今度は目を北東の空に向けてみると、暗い星が多い春の星座の中ではとても目立つ北斗七星があります。北斗七星はおおぐま座という星座の一部です。おおぐま座にも、2003年の4月のこのページで紹介したM81・M82をはじめとして、小望遠鏡でも見ることができる銀河がたくさんあります。是非宇宙を延々と旅してきた星たちの光をあなたの目で確かめてみてください。

 北斗七星は、北極星をさがす目印にもされますし、また、柄の部分のカーブをそのまま延ばして、春の星の中で最も明るいうしかい座アークトゥルスおとめ座スピカへと続く春の大曲線の一部としても使われます。その途中、春の大曲線の内側にあるりょうけん座という小さな星座には、2005年の5月のこのページで紹介したM3という球状星団があります。

 さらに、アークトゥルスの南の同じくらいの高さに、今年はもうひとつ黄色く光る明るい星が見えてきています。この星は土星です。土星までの距離は光の速さで約80分かかります。土星を望遠鏡で見ると、右の画像のようにくるっとドーナツ状の輪が取り巻いている様子を見ることができます。

 土星は4月5日に「衝」(太陽−地球−土星が一直線に並ぶ)を迎え、今が最も良く見える時期です。土星を望遠鏡で見ると、右の画像のようにくるっとドーナツ状の輪が取り巻いている様子を見ることができます。

 土星のすぐ下におとなしく光っている白い星は、春の夜空では数少ない一等星、おとめ座スピカ(270光年)です。


20cmクラスの望遠鏡で見た土星
デジタルカメラで撮影

???? さらに明け方午前4時ごろになると、金色に明るく輝く星が昇ってきます。この星が金星です。天体望遠鏡で見てみると、右の写真のように月のように欠けている様子がわかります。今月の金星までの距離は、光の早さで約9分で少しずつ地球から遠ざかっています。日に日に小さくなり、太陽に照らされている部分の形も変わっていきます。

 金星や木星・土星は、そのまわりの星座の星々と毎日少しずつ位置関係を変えています。その様子を毎日スケッチしていくと、私たちの地球やこれらの惑星が、太陽のまわりをまわっていることが理解できるようになります。15世紀ポーランドの天文学者コペルニクスがはじめて唱えた地動説以後、世界中の天文学者が現在まで宇宙を見つめ続けて、現在も様々な角度から研究が進められています。そして2006年には、冥王星が惑星から除外されました。その太陽系宇宙の変遷をこちらのページにまとめています。

 このページで紹介している星雲星団や土星の輪は、口径7cmクラスの望遠鏡から見ることができるようになります。当社オンラインショッピングで紹介している望遠鏡も、最も小さなもので口径7cmですから、充分見ることができます。是非あなたの目で確かめてください!。

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