星空案内はこちらのページと一緒にお読みください
 ゆううつな梅雨空が毎日が続いていますね。東西に長い日本列島では、すでに沖縄地方ではすでに梅雨が開けていますが、当社の事務所のある埼玉では、今年はとても梅雨らしい毎日が続き、なかなか星空を見ることができません。

???? そんな梅雨空の日々でも、時折見られる晴れた夜空は、空気の汚れがすっかり洗われて、とてもきれいな星空が見られます。今年は夕焼けの残る西の空に、明るい2つの星がとても目だって見えているのをご覧になっている方も多いと思います。2つの星のうち、明るいほうの星は宵の明星金星です。金星を天体望遠鏡で見てみると、右の写真のように月のように欠けている様子がわかります。
 金星のように、地球より内側をまわる惑星のことを内惑星といいます。内惑星は、地球と太陽との位置関係により、見かけの大きさと明るさが変化します。その様子はこちらのページで解説しています。
 今月の金星までの距離は、光の早さで約4分で、急速に地球に近づいてきます。天体望遠鏡で見てみると、月のように欠けた姿が日に日に大きくなっていくのを見ることができます。
 そして、その金星にも負けじ劣らず、すぐ右隣に輝いているのが木星です。木星までの距離は光の速さで約40分かかりますが、木星は太陽系最大の惑星で、その直径は地球の11倍もあるため、望遠鏡で見ると、本体にある縞模様や、まわりをまわるガリレオ衛星と呼ばれる4つの衛星を見ることができます。これは、1610年にイタリアの天文学者ガリレオ・ガリレイが初めて望遠鏡で木星を見たときに発見した衛星で、イオエウロパガニメデカリストという名前が付けられています。木星はその明るさと大きさから大神ゼウスのローマ神話での呼び名ユピテル(Jupiter=英語でジュピター)と呼ばれており、そこをまわる衛星には、ゼウスに仕えていたニンフなどの名前が付けられているのです。

 金星も木星も、今月中ごろまで夕焼け空の中に見えていますが、金星は8月14日に太陽と地球の内側を通過する内合になり、木星は反対に太陽の向こう側を通過するになります。さらに9月からはこんどは明け方の東の空に見えるようになり、10月下旬には再び木星と金星の会合が見られます

Meade LX200-25で見た木星
デジタルビデオカメラで撮影
 その木星と金星が西の空に沈む午後9時ごろの星空のようすを見ると、西の空にはおとなしめに輝く春の星たちを見ることができます。暗い星が多い春の星座の中ですが、北西の空には北斗七星がよく目立って見えています。北斗七星という名前は星座ではなく、おおぐま座という星座の一部になります。おおぐま座には、3月のこのページで紹介したM81M82があります。北斗七星は、北極星をさがす目印にもされますし、また、柄の部分のカーブをそのまま延ばして、春の星の中で最も明るいうしかい座アークトゥルス(約37光年)・おとめ座スピカ(約260光年)へと続く春の大曲線の一部としても使われます。その途中、春の大曲線の内側にあるりょうけん座という小さな星座には、5月のこのページで紹介したM51という銀河や、昨年4月のこのページで紹介した球状星団M3ながあります。
 一方、南の空から空の高いところに向けると、明るい星が多い夏の星座が輝いています。この夏、南東の空に赤く光るさそり座の一等星アンタレス(550光年)と一緒に、土星が見えています。土星までの距離は光の速さで約80分かかります。土星を望遠鏡で見ると、右の画像のようにくるっとドーナツ状の輪が取り巻いている様子を見ることができます。

 金星や木星・土星などの惑星たちは、そのまわりの星座の星々と毎日少しずつ位置関係を変えています。その様子を毎日スケッチしていくと、私たちの地球やこれらの惑星が、太陽のまわりをまわっていることが理解できるようになります。15世紀ポーランドの天文学者コペルニクスがはじめて唱えた地動説以後、世界中の天文学者が現在まで宇宙を見つめ続けて、現在も様々な角度から研究が進められています。そして2006年には、冥王星が惑星から除外されました。その太陽系宇宙の変遷をこちらのページにまとめています。

20cmクラスの望遠鏡で見た土星
デジタルカメラで撮影
 街中の夜空ではなかなか見ることができませんが、夏休みに都会から離れた山の上や海辺などで夜空を見上げると、夏の大三角を貫いて南の地平線にむかって、淡い光の帯を見ることができます。これが「天の川」です。実際に見たことが無いという方も多いと思いますが、夏の天の川は他の季節に比べて濃くはっきりと見えます。アウトドアやキャンプなどで昼間体を動かした後、食後のひとときに是非機会を作って夜空を見上げてみてください。

 その天の川が特に濃く明るく見えるのが、さそり座いて座のある方向。ちょうど今の時期の真夜中ごろに真南の空に見えてきます。この方角が、私達の天の川銀河の中心の方向になります。私達の地球がある太陽系は、天の川銀河の中心から少し離れたところにあります。このため、中心方向を見ると、たくさんの星が集まっている様子を見ることができるのです。


こと座の惑星状星雲M57のシミュレーション画像
80倍くらいの倍率で見るとこのように見えます
比較的明るく見つけやすい星雲で、小望遠鏡から十分楽しめます

セレストロン Nexstar+での導入方法
「3」(Deep Sky)キー→メシエ
→「57」をキーパッドから入力

Sky-watcher Gotoドブソニアンでの導入方法
「4」(メシエ)キー→
→「57」をキーパッドから入力

 さそり座には、アンタレスのすぐ東にある球状星団M4や、2013年7月のページで紹介したさそりのしっぽの毒針の先あたりにあるM6M7という2つの散開星団があり、いて座にも2008年7月のこのコーナーで紹介したM11M8など、たくさんの星雲星団があります。

 こんどはいて座から、天の川に沿ってさらに空の高いところに目を移すと、明るく輝く白い3つの一等星で作る大きな三角形を見つけることができます。こと座ベガ(25光年)・わし座のアルタイル(17光年)・はくちょう座デネブ(2000光年)で作られる「夏の大三角」です。中国から伝わった七夕伝説の「織り姫」「彦星」は、それぞれベガとアルタイルだと言われています

 その夏の大三角のひとつ、こと座の中には、M57と呼ばれる星雲があります。地球からの2150光年の距離にあり、今から約2000万年前に中心にある星が星の一生を終え、放出されたガスがリング状に広がっていく過程が見えているのです。中心にはこれからガスを放出しきって死んで行くであろう白色わい星も見ることができます。

 この種の、小さく円形に広がった星雲のことを、惑星のように見えることから「惑星状星雲」と呼んでいます。このM57は、その中でも比較的明るい星雲で、8cmクラスの望遠鏡でも簡単に見ることができます。50倍くらいからその形をとらえることができるようになり、100倍くらいでタバコの煙のわっかのようなかわいい姿をみることができます。

 もうひとつ、M57から少し離れた夏の大三角のほぼまん中、はくちょう座のくちばしにあたるところに、アルビレオという星があります。宮沢賢治の「銀河鉄道の夜」にも出てくる名前で、肉眼ではひとつの星に見えますが、望遠鏡で見ると2つの色の異なる星が寄り添って、とてもきれいな二重星です。地球から380光年の距離にあって、30万年という長い周期でゆっくりとまわりあっている星です。

 このアルビレオのすぐ近くにあるこぎつね座という星座の中にには、2013年8月のこのページで紹介したM27と呼ばれる星雲もあります。


はくちょう座β星アルビレオのシミュレーション画像
50倍くらいで見るとこのように見えます
色の対比のとてもきれいな二重星です

セレストロン Nexstar+での導入方法
「2」(STARS)キー→名前のついた星
→「アルビレオ」を選択

Sky-watcher Gotoドブソニアンでの導入方法
「8」(カタログ)キー→「恒星」
→「はくちょう座ベータ星」を選択

 このページで紹介している星雲星団や惑星の様子は、口径7cmクラスの望遠鏡から見ることができるようになります。当社オンラインショッピングで紹介している望遠鏡も、最も小さなもので口径7cmですから、充分見ることができます。是非あなたの目で確かめてください!。

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