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 もう今年も残るところ2ヶ月。夏の猛暑から急に冷え込むようになった先月は、月末の秋台風が過ぎると、ようやく高い空に秋らしい雲がみらるようになってきました。

 右の写真は、その秋の空に見えた昼間の金星。9月までは太陽が沈んだ後の西の空に煌々と輝いていた金星ですが、10月はほとんど見ることができなかったことに、このページをいつもご覧いただいている皆さんは、お気づきの方も多かったことと思います。
 金星のように、地球より内側をまわる惑星のことを内惑星といいます。内惑星は、地球と太陽との位置関係により、見かけの大きさと明るさが変化します。その様子はこちらのページで解説しています。
 10月中の金星は、地球を追いかけるように急速に接近して、10月28日に太陽の内側を回りこむ「内合」になりました。内合前後の金星は、地球からの距離が近いため、昼間の空でも見ることができるのですが、太陽と同じ方角に見えるため、肉眼ではなかなか見つけることができません。しかし、天体自動導入装置がついた望遠鏡を使うと、容易にその存在を確認することができます。内合の前後は、この写真のように三日月よりさらに細い尖った形をしているのを見ることができます。
 内合を過ぎた今月からは、明け方の東の空で、太陽が昇る前に見られる「明けの明星」となります。今月の金星までの距離は、光の早さで約2〜3分で、今月中旬以後になると、日に日に空の高いところに見られるようになります。


雲間に見えている金星
どこに見えているかわかりますか?(笑)

 さて、秋の夕焼けはとても美しいものですが、その夕焼けが終わり空がすっかり暗くなった午後9時ごろの星空のようすを見ると、南の空の高いところに、金色にひときわ明るく輝いている星が見えます。この星が木星です。木星までの距離は光の速さで約40分かかりますが、木星は太陽系最大の惑星で、その直径は地球の11倍もあるため、望遠鏡でも表面の模様が良く見えます。木星をはじめとした太陽系の天体の大きさが解る図がこちらのページにあります。

 木星を望遠鏡で見ると、本体にある縞模様や、まわりをまわるガリレオ衛星と呼ばれる4つの衛星を見ることができます。これは、1610年にイタリアの天文学者ガリレオ・ガリレイが初めて望遠鏡で木星を見たときに発見した衛星で、イオエウロパガニメデカリストという名前が付けられています。木星はその明るさと大きさから大神ゼウスのローマ神話での呼び名ユピテル(Jupiter=英語でジュピター)と呼ばれており、そこをまわる衛星には、ゼウスに仕えていたニンフなどの名前が付けられているのです。

 一方、西の空に視線を向けると、まだ夏のなごりの星座が見えています。空の中ほどには、明るく輝く白い3つの一等星で作る大きな三角形を見つけることができます。こと座ベガ(25光年)・わし座のアルタイル(17光年)・はくちょう座デネブ(1500光年)で作られる「夏の大三角」です。中国から伝わった七夕伝説の「織り姫」「彦星」は、それぞれベガとアルタイルだと言われています。こと座の中には、8月のこのコーナーで紹介したM57と呼ばれる星雲があります。また、夏の大三角のほぼまん中、はくちょう座のくちばしにあたるところには、アルビレオというとてもきれいな二重星や、9月のこのページで紹介したM27と呼ばれる星雲・さらに先月のこのページで紹介した散開星団M39もあります。

Meade LX200-25で見た木星
デジタルビデオカメラで撮影

 西の空の夏の星座たちにくらべて、少しおとなしめに輝くのが、天頂から南の空に見える秋の星座たちです。「馬肥ゆる秋」のごとく、天頂付近に見えているのは、天馬ペガススの姿です。ペガススの四辺形は、おとなしめな秋の星たちの中では比較的わかりやすい星の並びです。ペガスス座には、先月のこのページで紹介した球状星団M15があります。

 このペガススの四辺形を手がかりに、他の星座たちも探してみましょう。四辺形の西側(右側)の縦の辺をまっすぐ南のほうに延ばして、木星よりさらに下に伸ばしていくと、まわりに明るい星がないところにひとつだけ1等星を見つけることができます。この星がみなみのうお座フォーマルハウト(22光年)です。日本ではその名の通り「みなみのひとつぼし」などと呼ぶ地方もあります。

 一方、ペガススの四辺形の北東の辺から、明るい星が4つ、やや広い間隔で並んでいるのを見つけることができます。この付近がアンドロメダ座です。ペガススの四辺形とアンドロメダ座との接点の星は「アルフェラッツ」という星で、アラビア語で「馬の中心」という意味があります。天馬ペガススのちょうどおなかの部分にあたる星なのです。


アンドロメダ大銀河のシミュレーション画像
夜空の暗い場所で10cmクラスの望遠鏡を使って
30倍くらいで見るとこのように見えます
街あかりのある場所でも望遠鏡を使えば星雲の存在はわかりますが、
銀河の光は街のあかりと同じ成分が多く含まれているので、
街あかりにかき消されてあまり良く見えません。
なるべく空の高いところに見えるこの時期に見るようにしてください。

 そのアルフェラッツから、ちょっと暗めの3等星をはさんでアルフェラッツと同じくらいの明るさの2等星を見つけることができます。空のきれいなところで、この星からちょっと北側に行ったところにを見ると、肉眼でもなにやらぼーっとした光のしみのようなものを見つけることができます。これがアンドロメダ大銀河です。理科の教科書にも載っている有名な星雲ですね。

 アンドロメダ大銀河は、私達の太陽系がある銀河系の外側、距離にすると光の速さで230万年の距離にあるとされている銀河です。しかし、この距離は実のところだんだん近くなっています(笑)。というのは、実際に銀河系とアンドロメダ大銀河が遠ざかっているわけではなく、観測技術の向上により、その距離がだんだん正確にわかるようになってきたためです。天体望遠鏡の技術は、まだまだこれから進歩していくのですね。

 この銀河を実際望遠鏡で見てみると、左のシミュレーション画像のように、その両側に小さな銀河を伴っていることもわかります。私達の銀河系にも、日本からは見ることができませんが「大マゼラン銀河」「小マゼラン銀河」と呼ばれる小さな銀河系が伴っています。是非あなたの目で230万年のかなた(と考えられている)からの銀河の輝きを確かめてみてください!。

 さらに、先ほどのアンドロメダ座の2等星の並びのいちばん先端、ペルセウス座に近いところに輝く2等星アルマクは、とても美しい二重星として知られています。少し高めの倍率にしてみると、右の画像のようにオレンジ色の2.3等星と、ブルーの少し控え目な4.8等星がよりそっている様子を見ることができます。

 明るいオレンジの星は、私たちの太陽系から42光年と比較的近いところにある星ですが、ブルーの星はそのさらにずっと遠くの約250光年の距離にあり、地球からの見かけ上たまたま近くに寄り添って見えている星なのです。望遠鏡を通してみてもその距離感をつかむことはできませんが、宇宙を見る目として、2つの星の距離を意識することは重要なことかもしれませんね。

 このほかにもアンドロメダ座周辺には、さんかく座の銀河M33や、2008年10月のこのページで紹介したNGC752など、双眼鏡や望遠鏡で見て楽しい天体がたくさんあります。


100倍くらいでみたアンドロメダ座γ星アルマクの
シミュレーション画像

 そして、アンドロメダ座の北側には小学校の教科書にも載っているカシオペヤ座がます。アンドロメダは、ギリシャ神話のカシオペヤの娘で、父はカシオペヤの西となりにいるケフェウス・夫となったのが東隣のペルセウス・・・という具合に、この季節の星座たちはひとつの神話でつながっています。もし興味のある方は、図書館やインターネットで調べてみてはいかがでしょう。
 そのペルセウス座とカシオペヤ座の中間付近を見ると、肉眼でもなにやらぼーっとした光のしみのようなものを見つけることができます。これが2008年11月のこのページで紹介した二重星団もあります。

 もうひとつ、11月というと、毎年11月17〜18日に見られるしし座流星群で有名ですね。2001年の大出現ほどの数は見られませんが、それでも1時間に30〜40個の流れ星を見ることができるかもしれません。今年は2時ごろまでは西の空に月がありますが、その空は暗くなりますから、たくさんの流れ星を見ることができそうです。

 右の画像(クリックすると拡大します)は、11月18日の午前2:00頃の東の空をシミュレーションしたものです。「放射点」と書かれたところを中心に、流星が四方八方に飛ぶ様子を見ることができるかもしれません。今年は放射点近くに火星が見えていますから、それを放射点の目安にするとよいでしょう。

 流れ星は夜空さえ見えればどこでも見えるはずですが、実際には夜空が明るくて見えない場所もあるかもしれません。そこで、なるべくたくさんの流れ星を見るために、次のポイントに注意して、場所を選んで眺めてみてください。

●大きく空が開けている場所を選ぶ
 流れ星は空のどこに飛ぶか解りません。ですから、なるべくたくさん「空」が見える場所のほうが、よりたくさんの流れ星を見ることができます。例えば山の上とか川の土手の上・ビルやマンションの屋上などが良いでしょう。今回のしし座流星群では、とくに東の空が開けている場所を選ぶと良いでしょう。
●周囲に明るいものが無い
 流れ星は、短いと1秒足らず、長くても数秒ととても早くて、暗いものも多く流れます。まわりが街灯やネオンなどで明るい場所では、星の光を消してしまって、一瞬で消えてしまう流星を見つけることができなくなってしまいます。なるべくまわりに光を出すものが無くて、空の暗い場所を選ぶようにしましょう。そのかわり、懐中電灯を必ず用意することや、ひとりで行動したりしないように注意しましょうね。また、どうしても光りがある場所で見る場合には、直接その光が目に入らないように、木や建物・車などの影に入るようにして見ることも大切です。
●なるべく多くの時間空を見上げる
 流れ星はいつ流れるか解りません。ですから、なるべくたくさんの時間空を見ている方が良いことになります。でも、一晩中星空を見上げるのはなかなか大変です。なるべく楽な姿勢で星空を見上げられるように、安全な場所で寝袋などにくるまって見上げるのがいちばん良い方法です。どうしても一晩中星を見ることができないという場合は、11月18日(木)の明け方(17日(水)の深夜)2:00〜4:00が最も流れ星が多く見られると予想されている時間ですから、なるべくその時間には夜空を見上げるようにしましょう。でも、あえてもう一度書いておきますが、いつ流れ星が流れるかは、ほんとのところはわかりません(笑)から、なるべく多くの時間空を見るようにしましょう。
●天体望遠鏡は必要ない
 望遠鏡の販売店がこういうことを言って良いのかわかりませんが(笑)、流星群を見るのには、天体望遠鏡は必要ありません。いままでも書いてきたとおり、流星はいつどこに現れるか解りませんから、望遠鏡で狭い視野を狙っていても見ることはできないのです。皆さんの目でそのまま夜空を見ていただき、たくさんの流れ星を見つけてください。でも、それだけでは長い夜は飽きてしまうという方は、是非望遠鏡や双眼鏡を使って星空を楽しんでくださいね。宇宙の広さをきっと実感していただけると思います。
●一人では外出しない
 近年、深夜に流星群を見ていた人を恐喝して金品を脅し取るという事件がときどき発生しています。決してひとりでは外出しないようにしてください。

 秋の夜空には、たくさんのロマンときれいな星空が広がっています。秋の夜長に、是非星空を眺めてみませんか?。もちろん、今年の秋のおいしい味覚をいっしょに楽しみながら・・・(笑)。

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