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タイトル画像および背景画像:マーズオービターカメラ(MOC)システムで撮影した火星
Image from (C)NASA

星空案内はこちらのPDFファイルと一緒にお読みください

 今年1月に発生が確認された新型コロナウイルスが世界中に広がり、地球規模で不穏な空気に包まれている昨今ですが、そんな地上の雰囲気とは対照的に、夜空の方はいつもと何も変わらず美しい星空が広がっています。外出することが制限されているこの機会に、是非夜空を見上げてみてください。

 この春先から、太陽が沈んだ後の西の空に輝いていた宵の明星金星は、多くの方の目に留まっていたと思います。今月の金星までの距離は光の速さで約3分で急速に地球に接近していて、毎日の動きがとても早くなり、日に日にその高度が低くなっていきます。今月下旬には太陽と同じ方角にいってしまい、見えなくなってしまいます。その後、6月4日に太陽と地球の間を通過する内合を迎え、6月中旬からは明けの明星として輝くようになります。
 水星と金星は地球より内側をまわっているので内惑星と呼ばれています。内惑星は、地球と太陽との位置関係により、見かけの大きさと明るさが変化します。その様子はこちらのページで解説しています。

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天体望遠鏡で見た
昼間の金星
 その金星が西の空に低くなり、夜も深まる午後9時ごろの星空のようすを見ると、西の空の中ほどには、冬の星座のふたご座ポルックス(52光年)とカストル(32光年)が見えています。ふたご座には、先月のこのページで紹介したM35があります。

 西の空の冬の星座から目を空の高いところに移すと、おとなしめに輝く春の星座が輝いています。春の星座の方角は、太陽系のある天の川銀河の円盤状になっているちょうど薄くなった方角にあたるため、明るい星が少ないのですが、その中でも、北の空の高いところにある北斗七星は、明るい星が並ぶ見つけやすい星の連なりです。北斗七星は星座ではなく、おおぐま座という星座の一部になります。3月のこのページで紹介したM81M82や、2019年4月のこのページで紹介したM97M108など、小望遠鏡でも楽しめる銀河がたくさんあります。是非宇宙を延々と旅してきた星たちの光をあなたの目で確かめてみてください。

 北斗七星の南には、春の夜空では数少ない一等星、しし座レグルスがあります。しし座というと、11月のしし座流星群で有名ですが、実際に宵の空に見えるのは春の季節になります。しし座にも、先月のこのページで紹介したM65・66があります。

 北斗七星は、北極星をさがす目印にもされますし、また、柄の部分のカーブをそのまま延ばして、春の星の中で最も明るいうしかい座アークトゥルス(約37光年)を経ておとめ座のスピカへと続く春の大曲線の一部としても使われます。おとめ座には、2018年6月のこのページで紹介したおとめ座超銀河団があります。

りょうけん座の球状星団M3のシミュレーション画像
20cmクラスの望遠鏡で見るとこのように見えます

セレストロン Nexstar+での導入方法
「3」(Deep Sky)キー→メシエ
→「003」をキーパッドから入力

Sky-watcher Gotoドブソニアン
Sky Explorer SE-GTでの導入方法
「4」(メシエ Messier)キー→
→「003」をキーパッドから入力

Meade オートスターでの導入方法
Deep Sky→
Messier Object→
キーで「3」を入力

双眼鏡や天体自動導入機の無い望遠鏡での見つけ方はこちら

 その途中、春の大曲線の内側にあるりょうけん座という小さな星座には、M3という球状星団があります。M3は地球から32,300光年の距離にある天の川銀河(私たちの銀河系)の中の天体で、球状星団という名前の通り星がボール状に集まったもので、年老いた星がお互いのエネルギーをもとめて集まってきている様子と考えられています。天の川銀河(私たちの銀河系)の外側を取り巻くように存在する天体で、いまだに謎の多い天体のひとつです。

 M3の他にも、ヘルクレス座のM13や、いて座のM22、日本からは低空に見つけにくいですが、ケンタウルス座のω(オメガ)星団などが、良く知られた球状星団です。

 また、りょうけん座にはこのM3の他に2019年5月のこのページで紹介したM51M63といった銀河もたくさんあります。

 これまで、銀河や星雲や星団の名前に「M」の文字がついた天体をいくつか紹介してきましたが、これは、18世紀のフランスの天文学者シャルル・メシエが作った星雲星団のリストです。彗星の番人と呼ばれたメシエは、彗星と間違えやすい星雲や星団をあらかじめリストアップして、彗星探索をしやすくしようとしました。メシエ天体は全部110個あり、これらは18世紀の望遠鏡でも見ることができたことからもわかるように、現在の小望遠鏡でも容易に見ることができる天体ばかりです。

 しかし、そうは言っても肉眼では見ることができない天体ですから、望遠鏡の視野に入れるのはとても難しいものです。でも、天体自動導入望遠鏡なら、天体の名前を入力するだけで見つけることができます。

 この時期になると、夜半前にはもう夏の星座が顔を出してきます。空の高いころには、はくちょう座デネブこと座ベガわし座アルタイルで作られる夏の大三角が見え、南の空にはさそり座アンタレスも見えています。

 そして、この春の明け方の空には、惑星たちがたくさん集まってとても賑やかになっています。南東の空でいちばん明るく輝いて目立っているのは木星です。


海から昇るさそり座と夏の天の川・火星・木星・土星
20mmF1.7レンズ→F2.2 + APS-Cカメラ 15秒露出
千葉県勝浦市にて撮影
4時間半のタイムラプスムービーはこちら
 木星までの距離は光の速さで約40分かかりますが、木星は太陽系最大の惑星で、その直径は地球の11倍もあるため、望遠鏡でも表面の模様が良く見えるます。木星をはじめとした太陽系の天体の大きさが解る図がこちらのページにあります。
 木星を望遠鏡で見ると、本体にある縞模様や、まわりをまわるガリレオ衛星と呼ばれる4つの衛星を見ることができます。これは、1610年にイタリアの天文学者ガリレオ・ガリレイが初めて望遠鏡で木星を見たときに発見した衛星で、イオエウロパガニメデカリストという名前が付けられています。木星はその明るさと大きさから大神ゼウスのローマ神話での呼び名ユピテル(Jupiter=英語でジュピター)と呼ばれており、そこをまわる衛星には、ゼウスに仕えていたニンフなどの名前が付けられているのです。

Meade LX200-25で見た木星
デジタルビデオカメラで撮影
 さらにその木星と並んで少し東には土星も見えてきます。土星までの距離は光の速さで約80分かかります。土星を望遠鏡で見ると、右の画像のようにくるっとドーナツ状の輪が取り巻いている様子を見ることができます。

 金星・火星・木星・土星などの惑星たちは、そのまわりの星座の星々と毎日少しずつ位置関係を変えています。その様子を毎日スケッチしていくと、私たちの地球やこれらの惑星が、太陽のまわりをまわっていることが理解できるようになります。15世紀ポーランドの天文学者コペルニクスがはじめて唱えた地動説以後、世界中の天文学者が現在まで宇宙を見つめ続けて、現在も様々な角度から研究が進められています。そして2006年には、冥王星が惑星から除外されました。その太陽系宇宙の変遷をこちらのページにまとめています。


20cmクラスの望遠鏡で見た土星
デジタルカメラで撮影

 さらに夜半を過ぎて1時ごろになると、東の空からもう一つ赤く鈍く光る星を見つけることができます。この星が火星です。火星は地球のすぐ外側をまわる惑星ですが、約2年2ヶ月ごとに地球に接近します。しかし、接近ごとにその距離が異なります。その理由は、火星の軌道が真円ではなくちょっとゆがんだ楕円をしているためです。

 下の図は、その軌道を上から見た図になります。地球軌道と火星軌道が離れている2月ごろに接近するときには小接近になりますが、軌道が接近している8月ごろに接近するときには大接近になるのです。


Meade LX200-25で撮影した火星


2016年から2029年までの地球と火星の接近する位置
地球の軌道を鉛直方向から見た図
2020年10月6日の大接近は大変良い条件になります
接近する日 距離 視直径
2016/05/31 0.50AU

18.6"

2018/07/31 0.38AU

24.3"

2020/10/06 0.41AU

22.6"

2022/12/01 0.54AU

17.2"

2025/01/12 0.64AU

14.6"

2027/02/20 0.68AU

13.8"

2029/03/30 0.65AU

14.5"

2031/05/12 0.55AU

16.9"

2016年から2029年までの地球と火星の接近する日とその距離・大きさのシミュレーション
最遠のときは太陽の向こう側にあるので、地球からはみることができません。
 今月の火星までの距離は光の速さで約9分で、まだ望遠鏡で見ても小さいですが、これから10月6日の大接近に向けて、少しずつ地球に接近してきます。今月と10月6日の火星の見かけの大きさは約3倍・明るさにすると約10倍も変わります。是非毎月火星を観察して、その変化をご自身の目で確かめてみてください。

2020年の火星の見かけの大きさ(視直径)の変化の様子
右下の数値は地球から火星までの距離
1AU(=Astronomical Unit 天文単位)は地球と太陽の平均距離

宇宙から見た2020年の地球と火星の接近の様子
Java scriptの関係で上の図が見られない場合はこちら
緑が地球の軌道・赤が火星の軌道
その内側の水星と金星の動きにも注目してみましょう。
各惑星の大きさはわかりやすいように大きくしてあります。
地球が火星に接近して、離れていく様子がわかりますね。
 このページで紹介している星雲星団や惑星の様子は、口径7cmクラスの望遠鏡から見ることができるようになります。当社オンラインショッピングで紹介している望遠鏡も、最も小さなもので口径7cmですから、充分見ることができます。是非あなたの目で確かめてください!。

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