星空案内はこちらのPDFファイルと一緒にお読みください
早いもので、もう今年の半分を過ぎようとしています。6月21日は一年の中で最も昼間の長さが長い夏至です。夏至や冬至・春分・秋分は、紀元前4世紀ごろに中国で使われていた二十四節季のうちのひとつです。二十四節季は、その当時に暦として使われていた太陰暦(月の動きを基準にした暦)とは別に、太陽の動きから季節ごとに起こる事象を綴った暦の一種です。 天文学が発達した現代では、太陽の周りを回る地球の公転軌道を15度ずつに分けて計算し、その座標を通過する日にそれぞれの二十四節季を割り当てています。20世紀中ごろまでは、天文台の子午環と呼ばれる機械で天体を観測して、二十四節季を割り当てていました。このため、春分の日と秋分の日をはじめとした国民の祝日の日付を決めるのは、現在でも国立天文台の仕事で、前年の2月に次の年の祝日が発表されます(2025年の暦はこちら・2026年の暦はこちら)。天文学と言うと浮世離れした難しい学問のように思われがちですが、実は私たちの生活に密接な関係のある基礎学問のひとつなのです。 |
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北斗七星の南には、春の夜空では数少ない一等星、しし座のレグルス(約79光年)があります。しし座というと、11月のしし座流星群で有名ですが、実際に宵の空に見えるのは春の季節になります。しし座には、4月のこのページで紹介したM65・66があります。また、そのしし座より低いところには、3月のこのページで紹介したかに座の散開星団M44プレセペがあります。 そのしし座とかに座の間に、赤く不気味に輝く星が見えます。この星が火星です。今月の火星までの距離は光の速さで約15分で、1月12日に地球に最接近したあと、ゆっくりと地球から遠ざかっています。 |
![]() セレストロン CPC1100-J撮影した火星 MZT824RF ズームアイピース使用 マイクロフォーサーズミラーレスカメラ |
また、北斗七星は北極星をさがす目印にもされますし、柄の部分のカーブをそのまま延ばして、春の星の中で最も明るいうしかい座のアークトゥルス(約37光年)・おとめ座のスピカ(約260光年)へと続く春の大曲線の一部としても使われます。 その途中、春の大曲線の内側にあるりょうけん座という小さな星座には、先月のこのページで紹介した球状星団M3や、2019年5月のこのページで紹介したM51やM63といった銀河があります。 |
このりょうけん座を含む春の大曲線の内側は、他の季節の星空と比べると明るい星が少ないのですが、この付近を望遠鏡にカメラを取り付けて撮影してみると、たくさんの銀河が見つかります。 その中でも特に銀河が集まっているのが、かみのけ座とおとめ座付近です。この銀河の集団はおとめ座銀河団(Virgo Cluster)と呼ばれていて、私たちの天の川銀河から3000万〜6000万光年程度の距離にあると考えられています。 おとめ座銀河団の周辺のりょうけん座やかみのけ座にも、同じくらいの距離にある銀河がたくさん存在していて、最近の研究では、これらの銀河と私たちの天の川銀河も含め直径約2億光年の範囲に銀河が密集した場所があることがわかっていて、おとめ座超銀河団(Virgo Supercluster)と呼ばれています。私たちの天の川銀河は、おとめ座超銀河団の一端にあると考えられています。 |
おとめ座超銀河団の銀河たち セレストロンCPC1100-J + HyperStarIII (560mmF2) APS-Cミラーレスデジカメ すべて30秒露出 埼玉県堂平山で撮影
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さらに視線を東の空に向けると、もう夏の星座が顔を出してきています。東の空の低いところには、明るく輝く白い3つの一等星で作る大きな三角形を見つけることができます。こと座のベガ(25光年)・わし座のアルタイル(17光年)・はくちょう座のデネブ(2600光年)で作られる「夏の大三角」です。中国から伝わった七夕伝説の「織り姫」と「彦星」は、それぞれベガとアルタイルだと言われています。こと座の中には、昨年7月のこのページで紹介したM57があります。また、夏の大三角のほぼまん中、はくちょう座のくちばしにあたるところには、昨年7月のこのページで紹介したアルビレオという星があります。そのアルビレオのすぐ近くには2022年8月のこのページで紹介したM27と呼ばれる星雲や、2023年9月のこのページで紹介した球状星団M71もあります。さらに、ベガよりさらに高い空には、2022年7月のこのページで紹介したヘルクレス座の球状星団M13も見えています。 |
![]() 海から昇るさそり座と夏の天の川 20mmF2.2 + APS-Cカメラ 15秒露出 千葉県勝浦市にて撮影 4時間半のタイムラプスムービーはこちら |
その夏の大三角の南には、さそり座のアンタレス(550光年)も見えています。さそり座には、アンタレスのすぐ東にある球状星団M4や、2012年7月のページで紹介したさそりのしっぽの毒針の先あたりにあるM6とM7という2つの散開星団があり、その東にあるいて座にも2014年8月のこのコーナーで紹介したM11やM8など、たくさんの星雲星団があります。 |
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さらに夜が更けて深夜1時ごろになると、東の空の周りに明るい星がないところに、ぽつんと黄色っぽく輝く星が昇ってきます。この星が土星です。土星までの距離は光の速さで約80分かかります。土星を望遠鏡で見ると、右の画像のようにくるっとドーナツ状の輪が取り巻いている様子を見ることができます。 この輪は、土星の直径(約116,000km)に対してわずか20mの厚さしかない円盤のため、地球からの見かけ上真横になったときと太陽に対して真横になったときには、輪が消えたように見える現象が起こります。土星は太陽の周りを約30年かけて公転しているので、その現象は約15年おきに起こるのですが、5月7日に太陽に対して輪が真横になり、この前後数日はほとんど輪が見えない状態になりました。是非、天体望遠鏡で輪の細くなった土星をご自身の目で確かめてみてください。 |
![]() Nexstar Evolution 6-Jで撮影した土星 MZT824RF ズームアイピース使用 マイクロフォーサーズミラーレスカメラ 2024年8月3日撮影 同時に撮影したMP4動画はこちら(7.4MB) |
そして、明け方の3時ごろになると、その土星より低い東の空から、ひとつ明るい星が昇ってくるのが見えます。この星が明けの明星の金星です。3月21日に太陽と地球の間を通過する内合を過ぎ、だんだんと地球から遠ざかっているところです。これから今年いっぱい、明け方の東の空に見られるようになります。 水星と金星は地球より内側をまわっているので内惑星と呼ばれています。内惑星は、地球と太陽との位置関係により、見かけの大きさと明るさが変化します。その様子はこちらのページで解説しています。 |
![]() 天体望遠鏡で見た昼間の金星 Nexstar Evolution 6-J MZT824RF ズームアイピース使用 マイクロフォーサーズミラーレスカメラ |
金星・火星・木星・土星などの惑星たちは、そのまわりの星座の星々と毎日少しずつ位置関係を変えています。その様子を毎日スケッチしていくと、私たちの地球やこれらの惑星が、太陽のまわりをまわっていることが理解できるようになります。15世紀ポーランドの天文学者コペルニクスがはじめて唱えた地動説以後、世界中の天文学者が現在まで宇宙を見つめ続けて、現在も様々な角度から研究が進められています。そして2006年には、冥王星が惑星から除外されました。その太陽系宇宙の変遷をこちらのページにまとめています。 このページで紹介している星雲星団や惑星の様子は、口径7cmクラスの望遠鏡から見ることができるようになります。当社オンラインショッピングで紹介している望遠鏡も、最も小さなもので口径7cmですから、充分見ることができます。是非あなたの目で確かめてください!。 |
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