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月は光の速さで1.2秒の距離にある
私達に最も近い「星」です。
望遠鏡で見ても、とても興味深い対象です。
 残暑お見舞い申し上げます。先月はじめまでは全国的に気温が高く良い天気の日が多かったのですが、後半に入ると雲が多くなり、なかなか星空が見られない日々が続きました。9月に入ると気温も落ち着いてきて、秋の高い青空が広がるようになります。

 秋の夜空といえばまず思い浮かぶのが仲秋の名月。「お月見」と呼ばれる風習は、旧暦(太陰暦)の8月の十五夜に出る「仲秋の月」と、9月の十三夜に出る「後の月」に、その年に収穫された農作物をお供えして、天の恵みに感謝をするものと考えられています。

 今年の旧暦の8月の十五夜は、9月17日になります。旧暦と呼ばれる太陰暦はカレンダー(こよみ=暦)の一種で、日本では、現在使われている「太陽暦」が使われはじめた明治6年より前に実際に使われていました。太陽暦が太陽のまわりを地球が一周するのを基準に作られたものであるのに対し、太陰暦は月の満ちかけを基準に作られたもので、同じ日付でも約1カ月のずれがあります。
 今年の9月の宵空では、太陽が沈んだ後の夕焼け空の中に宵の明星金星が見え始めています。金星を天体望遠鏡で見てみると、右の写真のように月のように欠けている様子がわかります。水星と金星は地球より内側をまわっているので内惑星と呼ばれています。内惑星は、地球と太陽との位置関係により、見かけの大きさと明るさが変化します。その様子はこちらのページで解説しています。金星は、このあと来年3月までは宵の明星として見ることができます。今月の金星までの距離は、光の早さで約13分で、しばらくは太陽の向こう側をゆっくりと地球に近づいてくるため、太陽が沈んだあとの低い空に見えています。 ????
 その金星が西の空に沈む午後9時ごろの星空のようすを見ると、金星が沈んでいった西の空には、まだ春の星座の名残のうしかい座アークトゥルス(約37光年)が見えています。その上には、2014年6月のこのページで紹介した球状星団M13があるヘルクレス座や、その南に見えるへびつかい座が、少しおとなしめに輝いているのをみることができます。さらに高いところには、明るく輝く白い3つの一等星で作る大きな三角形を見つけることができます。こと座ベガ・わし座のアルタイルはくちょう座デネブで作られる「夏の大三角」です。中国から伝わった七夕伝説の「織り姫」「彦星」は、それぞれベガとアルタイルだと言われています。こと座には、2015年7月のこのページで紹介したリング状星雲M57があります。また、はくちょう座付近には、アルビレオのすぐ近くにあるこぎつね座という星座の中には、先月のこのページで紹介した亜鈴状星雲M27や、や座の球状星団M71など、小望遠鏡で見つけられる星雲星団がたくさんあります。是非ご自分の目ではるか宇宙からの光を確かめてみてください。
 さらに目を南西の空に向けると、空の低いところに3つの一等星が三角形を作るように輝いているのが見られます。その中でもひときわ赤い光で不気味な存在感に輝いているのが火星です。火星は地球のすぐ外側をまわる惑星ですが、2003年8月の大接近のことは記憶にある方も多いのではないでしょうか。

 今月の火星までの距離は光の早さで約7分で、5月31日に最接近で地球が火星を追い越し、少しずつ離れて行っています。今回は「中接近」で、2003年8月の大接近ほどは近づきませんが、それでも天体望遠鏡で火星表面が見られるほどまで接近します。継続してみていると、その大きさや明るさが少しずつ変わっていく様子も見ることができます。この春の3月から5月の間だけでも、直径は2倍以上まで大きく見えるようになります。

Meade LX200-25で撮影した火星
 火星は、酸化鉄などを成分とした地表が太陽に照らされて、その反射した光が私たちの目に赤い色として見えています。表面には小望遠鏡でも見える細かい模様があり、また、地球の南極と北極にあたる部分には「極環」と呼ばれる白い部分も見られます。これは火星表面の二酸化炭素が凍ってドライアイスのようになっていると考えられています。ちょっと大きめの口径の望遠鏡で、毎日同じ時間に火星を見てみると、これらの模様が日に日に変化して行く様子も見ることができます。これは火星の自転周期が地球の時間で24時間37分と、地球よりちょっとだけ長いことから起こります。もちろん一日の中でもその様子は刻々と変化していきます。
火星の大きさの比較
3月から5月までで
これだけ変わります
 火星は、私たちの地球のすぐ外側を回っている惑星で、約2年2ヶ月ごとに地球に接近します。しかし、接近ごとにその距離が異なります。その理由は、火星の軌道が真円ではなくちょっとゆがんだ楕円をしているためです。
 右の図は、その軌道を上から見た図になります。地球軌道と火星軌道が接近している8月ごろに接近するときには大接近になり、反対に2月ごろに接近するときは小接近になるのです。
接近する日 距離 視直径
2016/05/31 0.50AU

18.6"

2018/07/31 0.38AU

24.3"

2020/10/06 0.41AU

22.6"

2022/12/01 0.54AU

17.2"

2025/01/12 0.64AU

14.6"

2027/02/20 0.68AU

13.8"

2029/03/30 0.65AU

14.5"

2031/05/12 0.55AU

16.9"

これから15年間の地球と火星の接近する日とその距離・大きさのシミュレーション
最遠のときは太陽の向こう側にあるので、地球からはみることができません。
 その火星とまるで明るさを競うかのように、少し西よりの低い空に赤く輝いているのは、さそり座の一等星アンタレス(550光年)、そして、アンタレスの左上に黄色っぽく輝く星が土星です。土星も6月3日に「衝」を迎え、今が最も良く見える時期です。土星までの距離は光の速さで約80分かかります。土星を望遠鏡で見ると、右の画像のようにくるっとドーナツ状の輪が取り巻いている様子を見ることができます。

 下の画像は、この春から秋にかけて、さそり座付近を移動していく惑星のシミュレーションです。アンタレスの付近を、火星が行ったりきたりする様子が見られます。古代の人々は、このように予測のつかない動きをする星たちのことを、ラテン語で「プラネタ」=放浪者と呼んでいました。これが欧米に現在まで伝わって、英語の「Planet」になりました。ラテン語を語源とする欧米各国では、どの言語でもほぼ同じ名前で呼ばれています。

 当時の人々は、そんな惑星の動きと星座たちの神話を関連して考えるようになります。この赤い星を戦争の神に見立て、「さそり座の中にあの赤い星がいるから、今年は戦争が起きるだろう」というように、現実の想像へとつながっていくようになりました。これが、後に占星術へとつながっていくことになるのです。


20cmクラスの望遠鏡で見た土星
デジタルカメラで撮影

 このように、惑星たちは、そのまわりの星座の星々と毎日少しずつ位置関係を変えています。その様子を毎日スケッチしていくと、私たちの地球やこれらの惑星が、太陽のまわりをまわっていることが理解できるようになります。15世紀ポーランドの天文学者コペルニクスがはじめて唱えた地動説以後、世界中の天文学者が現在まで宇宙を見つめ続けて、現在も様々な角度から研究が進められています。そして2006年には、冥王星が惑星から除外されました。その太陽系宇宙の変遷をこちらのページにまとめています。

3月から9月のさそり座付近の様子
火星とアンタレスの大接近は8月24〜25日

2016年6月3日 23:00ごろ ほぼ同時刻(10分以内)に
  撮影した火星・木星・土星 当社事務所前にて

セレストロン COSMOS 90GT Wifi架台 + 10cmF13マクストフカセグレン + MZT824RFアイピース(8mm側) マイクロフォーサーズミラーレスデジカメにて撮影した1分間の動画からコンポジット(合成)処理

 今年の火星は中接近なのですが、大接近の1シーズン前の中接近は、日本からは南に低い位置になるため、気流の条件があまり良くありません。また、梅雨の時期とも重なって、なかなか晴れない日が多くなります。それでも、梅雨の合間の晴れ間は気流が落ち着いてよい条件になることが多く、惑星を観察するには良い時期でもあります。
 この写真は、距離と大きさが比較しやすいよう、すべて同じ拡大率で撮影をしています。小口径の望遠鏡で直接眼で覗いたときに見える像とほぼ同じ程度の解像度になっていますが、気流の条件や口径の大きさよっては、もっと明るさや解像度が高くなる時もあります。
 このときの距離は、火星まで光の速さで4分10秒(0.50AU)・木星まで光の速さで44分15秒(5.33AU)・土星まで光の速さで74分45秒(9.01AU)。火星は木星の約1/10の距離なに、見かけの大きさは木星の半分にも満たないのです。
 街中の夜空ではなかなか見ることができませんが、この時期に都会から離れた山の上や海辺などで夜空を見上げると、夏の大三角を貫いて南の地平線にむかって、淡い光の帯を見ることができます。これが「天の川」です。実際に見たことが無いという方も多いと思いますが、夏の天の川は他の季節に比べて濃くはっきりと見えます。
 その天の川が特に濃く明るく見えるのが、さそり座いて座のある方向。ちょうど今の時期の真夜中ごろに真南の空に見えてきます。この方角が、私達の天の川銀河の中心の方向になります。私達の地球がある太陽系は、天の川銀河の中心から少し離れたところにあります。このため、中心方向を見ると、たくさんの星が集まっている様子を見ることができるのです。さそり座には、アンタレスのすぐ東にある球状星団M4や、2013年7月のページで紹介したさそりのしっぽの毒針の先あたりにあるM6M7という2つの散開星団があり、いて座にも2008年7月のこのコーナーで紹介したM11M8など、たくさんの星雲星団があります。

4月6日朝のさそり座の様子 埼玉県堂平山にて撮影
 このページで紹介している星雲星団や惑星の様子は、口径7cmクラスの望遠鏡から見ることができるようになります。当社オンラインショッピングで紹介している望遠鏡も、最も小さなもので口径7cmですから、充分見ることができます。是非あなたの目で確かめてください!。

●このコーナーより商品をお申し込みの場合、代金のお支払いはクレジットカードでの決済または代金引換・銀行振込・郵便振替・コンビニ決済(NP後払い)・ショッピングクレジット(分割払い)がお選びいただけます。はじめてご利用の方や、決済方法など詳しいことをお知りになりたい方は、こちらのページをご覧ください。

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