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星空案内はこちらのPDFファイルと一緒にお読みください

 早いもので、もう今年の半分を過ぎようとしています。6月21日は一年の中で最も昼間の長さが長い夏至です。夏至や冬至・春分・秋分は、紀元前4世紀ごろに中国で使われていた二十四節季のうちのひとつです。二十四節季は、その当時に暦として使われていた太陰暦(月の動きを基準にした暦)とは別に、太陽の動きから季節ごとに起こる事象を綴った暦の一種です。

 天文学が発達した現代では、太陽の周りを回る地球の公転軌道を15度ずつに分けて計算し、その座標を通過する日にそれぞれの二十四節季を割り当てています。20世紀中ごろまでは、天文台の子午環と呼ばれる機械で天体を観測して、二十四節季を割り当てていました。このため、春分の日と秋分の日をはじめとした国民の祝日の日付を決めるのは、現在でも国立天文台の仕事で、前年の2月に次の年の祝日が発表されます(2026年の暦はこちら・2027年の暦はこちら)。天文学と言うと浮世離れした難しい学問のように思われがちですが、実は私たちの生活に密接な関係のある基礎学問のひとつなのです。

 この時期は一年の中でも最も日の入りの時刻が遅くなる時期ですが、太陽が沈んでしばらくすると、西の空の中ほどに2つの明るい星が見えてきます。明るいほうの星は宵の明星金星です。今月の金星までの距離は光の速さで約11分で、1月6日に地球から見て太陽の向こう側を通過する外合を過ぎ、ゆっくりと地球に接近してきています。
 今月中旬には、その金星より少し低い空に水星も見えるようになります。水星は金星よりさらに内側を公転しているため、地球からの見掛け上太陽から離れて見えるときにしか見ることができません。是非この機会に水星を見つけてみてください。
 水星と金星は地球より内側をまわっているので内惑星と呼ばれています。内惑星は、地球と太陽との位置関係により、見かけの大きさと明るさが変化します。その様子はこちらのページで解説しています。


天体望遠鏡で見た昼間の金星
Nexstar Evolution 6-J
MZT824RF ズームアイピース使用
マイクロフォーサーズミラーレスカメラ

 そして、その金星に負けじ劣らずすぐ近くに輝いているのが木星です。木星までの距離は、光の速さで約40分かかりますが、太陽系最大の惑星で、その直径は地球の11倍もあるため、望遠鏡でも表面の模様が良く見えるます。木星をはじめとした太陽系の天体の大きさが解る図がこちらのページにあります。

 木星を望遠鏡で見ると、本体にある縞模様や、まわりをまわるガリレオ衛星と呼ばれる4つの衛星を見ることができます。これは、1610年にイタリアの天文学者ガリレオ・ガリレイが初めて望遠鏡で木星を見たときに発見した衛星で、イオエウロパガニメデカリストという名前が付けられています。木星はその明るさと大きさから大神ゼウスのローマ神話での呼び名ユピテル(Jupiter=英語でジュピター)と呼ばれており、そこをまわる衛星には、ゼウスに仕えていたニンフなどの名前が付けられているのです。


セレストロン CPC1100-J撮影した木星
MZT824RF ズームアイピース使用
マイクロフォーサーズミラーレスカメラ
 今月16〜18日にかけての太陽が沈んですぐの西の空では、これらの水星・金星・木星に細い月も加わり、とても印象的な光景が見られるはずです。是非この時期の西の空に注目してみてください!。

 金星や木星が西の空に沈む午後9時ごろの星空のようすを見ると、天頂から西の空にかけて、おとなしめに輝く春の星座が輝いています。春の星座の方角は、太陽系のある天の川銀河の円盤状になっているちょうど薄くなった方角にあたるため、明るい星が少ないのですが、その中でも、北西の空の高いところにある北斗七星は、明るい星が並ぶ見つけやすい星の連なりです。北斗七星は星座ではなく、おおぐま座という星座の一部になります。おおぐま座には、 先月のこのページで紹介したM97M108や、2024年3月のこのページで紹介したM81M82など、小望遠鏡でも楽しめる銀河がたくさんあります。北斗七星の南には、春の夜空では数少ない一等星、しし座レグルスがあります。しし座というと、11月のしし座流星群で有名ですが、実際に宵の空に見えるのは春の季節になります。しし座には、4月のこのページで紹介したM65・66があります。

 また、北斗七星は北極星をさがす目印にもされますし、柄の部分のカーブをそのまま延ばして、春の星の中で最も明るいうしかい座アークトゥルス(約37光年)・おとめ座スピカ(約260光年)へと続く春の大曲線の一部としても使われます。 その途中、春の大曲線の内側にあるりょうけん座という小さな星座には、先月のこのページで紹介した球状星団M3や、2019年5月のこのページで紹介したM51M63といった銀河があります。
 このりょうけん座を含む春の大曲線の内側は、他の季節の星空と比べると明るい星が少ないのですが、この付近を望遠鏡にカメラを取り付けて撮影してみると、たくさんの銀河が見つかります。
 その中でも特に銀河が集まっているのが、かみのけ座とおとめ座付近です。この銀河の集団はおとめ座銀河団(Virgo Cluster)と呼ばれていて、私たちの天の川銀河から3000万〜6000万光年程度の距離にあると考えられています。
 おとめ座銀河団の周辺のりょうけん座やかみのけ座にも、同じくらいの距離にある銀河がたくさん存在していて、最近の研究では、これらの銀河と私たちの天の川銀河も含め直径約2億光年の範囲に銀河が密集した場所があることがわかっていて、おとめ座超銀河団(Virgo Supercluster)と呼ばれています。私たちの天の川銀河は、おとめ座超銀河団の一端にあると考えられています。

おとめ座M86・M84他

りょうけん座MGC4627・4631

かみのけ座NGC4559

かみのけ座NGC4565

おとめ座超銀河団の銀河たち
セレストロンCPC1100-J + HyperStarIII (560mmF2)
APS-Cミラーレスデジカメ すべて30秒露出
埼玉県堂平山で撮影

セレストロン Nexstar+での導入方法
「3」(Deep Sky)キー→「メシエ」または「NGC」
→各天体の番号をキーパッドから入力

Sky-watcher Gotoドブソニアン
Sky Explorer SE-GTでの導入方法
「4」(メシエ)または「5」(NGC)キー
→各天体の番号をキーパッドから入力

Meade オートスターでの導入方法
Deep Sky→
Messier ObjectまたはNGC Object
→各天体の番号をキーパッドから入力

 さらに視線を東の空に向けると、もう夏の星座が顔を出してきています。東の空の低いところには、明るく輝く白い3つの一等星で作る大きな三角形を見つけることができます。こと座ベガ(25光年)・わし座のアルタイル(17光年)・はくちょう座デネブ(2600光年)で作られる「夏の大三角」です。中国からわった七夕伝説の「織り姫」「彦星」は、それぞれベガとアルタイルだと言われています。こと座の中には、2024年8月のこのページで紹介したM57があります。また、夏の大三角のほぼまん中、はくちょう座のくちばしにあたるところには、昨年8月のこのページで紹介したアルビレオという星があります。そのアルビレオのすぐ近くには昨年8月のこのページで紹介したM27と呼ばれる星雲や、2023年9月のこのページで紹介した球状星団M71もあります。さらに、ベガよりさらに高い空には、昨年7月のこのページで紹介したヘルクレス座の球状星団M13も見えています。南の空にはさそり座アンタレスも見えています。


海から昇るさそり座と夏の天の川
20mmF2.2 + APS-Cカメラ 15秒露出
千葉県勝浦市にて撮影
4時間半のタイムラプスムービーはこちら

 夜が更けて深夜1時ごろになると、東の空の周りに明るい星がないところに、ぽつんと黄色っぽく輝く星が昇ってきます。この星が土星です。土星までの距離は光の速さで約80分かかります。土星を望遠鏡で見ると、右の画像のようにくるっとドーナツ状の輪が取り巻いている様子を見ることができます。
 この輪は、土星の直径(約116,000km)に対してわずか20mの厚さしかない円盤のため、地球からの見かけ上真横になったときと太陽に対して真横になったときには、輪が消えたように見える現象が起こります。土星は太陽の周りを約30年かけて公転しているので、その現象は約15年おきに起こるのですが、昨年がちょうどその時期にあたり、これからは少しずつ輪が開いて見えるようになります。是非、天体望遠鏡で土星の輪の変化をご自身の目で確かめてみてください。

Nexstar Evolution 6-Jで撮影した土星
MZT824RF ズームアイピース使用
マイクロフォーサーズミラーレスカメラ
2024年8月3日撮影 
同時に撮影したMP4動画はこちら(7.4MB)
 さらに、朝の太陽が昇る少し前の明け方3時ごろには、東の空の土星よりさらに低いところに、赤く不気味に輝く星が昇ってきます。この星が火星です。今月の火星までの距離は光の速さで約17分で、来年2月の再接近に向けて、ゆっくりと地球に近づいてきます。

 このページで紹介している星雲星団や惑星の様子は、口径7cmクラスの望遠鏡から見ることができるようになります。当社オンラインショッピングで紹介している望遠鏡も、最も小さなもので口径7cmですから、充分見ることができます。是非あなたの目で確かめてください!。

セレストロン CPC1100-J撮影した火星
MZT824RF ズームアイピース使用
マイクロフォーサーズミラーレスカメラ

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