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星空案内はこちらのPDFファイルと一緒にお読みください

 今年の春はとても暖かく穏やかな日が続き、草花が美しく芽吹く季節になりました。ゴールデンウイークには、山や高原など星空のきれいなところに出かけられる方も多いことでしょう。

 この季節は、季節風が弱まることや、中国大陸からの黄砂の影響もあり、晴れてもなかなかきれいな星空が見えない日も多いのですが、風向きが変わると空がとても青く、きれいな星空が見られるときがあります。午後9時ごろの星空のようすを見ると、西の空の中ほどには、冬の星座のふたご座ポルックス(52光年)とカストル(32光年)も見えてきています。ふたご座には、2月のこのページで紹介した散開星団M35があります。

 ふたご座から目を空の高いところに移すと、おとなしめに輝く春の星座が輝いています。春の星座の方角は、太陽系のある天の川銀河の円盤状になっているちょうど薄くなった方角にあたるため、明るい星が少ないのですが、その中でも、北の空の高いところにある北斗七星は、明るい星が並ぶ見つけやすい星の連なりです。北斗七星は星座ではなく、おおぐま座という星座の一部になります。おおぐま座には、先月のこのページで紹介したM81M82や、2021年4月のこのページで紹介したM97M108など、この他にも小望遠鏡でも楽しめる銀河がたくさんあります。是非宇宙を延々と旅してきた星たちの光をあなたの目で確かめてみてください。
 北斗七星の南には、春の夜空では数少ない一等星、しし座レグルスがあります。しし座というと、11月のしし座流星群で有名ですが、実際に宵の空に見えるのは春の季節になります。しし座にも、2020年4月のこのページで紹介したM65・66があります。
 北斗七星は、北極星をさがす目印にもされますし、柄の部分のカーブをそのまま延ばして、春の星の中で最も明るいうしかい座アークトゥルス(約37光年)・おとめ座スピカ(約260光年)へと続く春の大曲線の一部としても使われます。おとめ座には、2020年6月のこのページで紹介したおとめ座超銀河団があります。

りょうけん座の球状星団M3のシミュレーション画像
20cmクラスの望遠鏡で見るとこのように見えます

セレストロン Nexstar+での導入方法
「3」(Deep Sky)キー→メシエ
→「003」をキーパッドから入力

Sky-watcher Gotoドブソニアン
Sky Explorer SE-GTでの導入方法
「4」(メシエ Messier)キー→
→「003」をキーパッドから入力

Meade オートスターでの導入方法
Deep Sky→
Messier Object→
キーで「3」を入力

双眼鏡や天体自動導入機の無い望遠鏡での見つけ方はこちら

 その途中、春の大曲線の内側にあるりょうけん座という小さな星座には、M3という球状星団があります。M3は地球から32,300光年の距離にある天の川銀河(私たちの銀河系)の中の天体で、球状星団という名前の通り星がボール状に集まったもので、年老いた星がお互いのエネルギーをもとめて集まってきている様子と考えられています。天の川銀河(私たちの銀河系)の外側を取り巻くように存在する天体で、いまだに謎の多い天体のひとつです。

 M3の他にも、ヘルクレス座のM13や、いて座のM22、日本からは低空に見つけにくいですが、ケンタウルス座のω(オメガ)星団などが、良く知られた球状星団です。

 また、りょうけん座にはこのM3の他に2019年5月のこのページで紹介したM51M63といった銀河もたくさんあります。

 これまで、銀河や星雲や星団の名前に「M」の文字がついた天体をいくつか紹介してきましたが、これは、18世紀のフランスの天文学者シャルル・メシエが作った星雲星団のリストです。彗星の番人と呼ばれたメシエは、彗星と間違えやすい星雲や星団をあらかじめリストアップして、彗星探索をしやすくしようとしました。メシエ天体は全部110個あり、これらは18世紀の望遠鏡でも見ることができたことからもわかるように、現在の小望遠鏡でも容易に見ることができる天体ばかりです。

 しかし、そうは言っても肉眼では見ることができない天体ですから、望遠鏡の視野に入れるのはとても難しいものです。でも、最新の天体自動導入望遠鏡なら、スマートフォンやタブレットの画面の星図からタップするだけで見つけることができます。

 この時期になると、夜半前にはもう夏の星座が顔を出してきます。東の空の中ほどには、明るく輝く白い3つの一等星で作る大きな三角形を見つけることができます。こと座ベガ(25光年)・わし座のアルタイル(17光年)・はくちょう座デネブ(2600光年)で作られる「夏の大三角」です。中国から伝わった七夕伝説の「織り姫」「彦星」は、それぞれベガとアルタイルだと言われています。こと座には昨年8月のこのページで紹介したM57が、はくちょう座には昨年9月のこのページで紹介したM39があります。また、ベガよりさらに高い空には、2020年7月のこのページで紹介したヘルクレス座のM13も見えています。


海から昇るさそり座と夏の天の川・金星・火星
20mmF1.7レンズ→F2.2 + APS-Cカメラ 8秒露出
福島県いわき市にて撮影
2時間半のタイムラプスムービーはこちら
 さらに、南の空にはさそり座アンタレス(620光年)も見えています。さそり座には、アンタレスのすぐ東にある球状星団M4や、2012年7月のページで紹介したさそりのしっぽの毒針の先あたりにあるM6M7という2つの散開星団があり、いて座にも2014年8月のこのコーナーで紹介したM11M8など、たくさんの星雲星団があります。

 そして、この春の明け方の空には、惑星たちがたくさん集まってとても賑やかになっています。午前2時ごろ、最初に東の空から昇ってくるのは、土星とです。土星までの距離は光の速さで約80分かかります。土星を望遠鏡で見ると、右の画像のようにくるっとドーナツ状の輪が取り巻いている様子を見ることができます。


20cmクラスの望遠鏡で見た土星
デジタルカメラで撮影

 その土星より低いところには鈍く赤く輝く星があることに気づくでしょう。この星が火星です。今月の火星までの距離は光の速さで約13分で、12月1日の再接近に向けて、ゆっくりと地球に近づいています。是非この機会に火星を観察して、日に日に大きくなる火星の様子をご自身の目で確かめてみてください。

 その土星や火星を追いかけるように、3時ごろになるともう一つ明るい星が昇ってきます。この星が木星です。木星までの距離は光の速さで約40分かかりますが、木星は太陽系最大の惑星で、その直径は地球の11倍もあるため、望遠鏡でも表面の模様が良く見えるます。木星をはじめとした太陽系の天体の大きさが解る図がこちらのページにあります。
 木星を望遠鏡で見ると、本体にある縞模様や、まわりをまわるガリレオ衛星と呼ばれる4つの衛星を見ることができます。これは、1610年にイタリアの天文学者ガリレオ・ガリレイが初めて望遠鏡で木星を見たときに発見した衛星で、イオエウロパガニメデカリストという名前が付けられています。木星はその明るさと大きさから大神ゼウスのローマ神話での呼び名ユピテル(Jupiter=英語でジュピター)と呼ばれており、そこをまわる衛星には、ゼウスに仕えていたニンフなどの名前が付けられているのです。


セレストロン CPC1100-Jで見た火星
マイクロフォーサーズミラーレスカメラで撮影


セレストロン CPC1100-Jで見た木星
マイクロフォーサーズミラーレスカメラで撮影

 さらに木星と並ぶように明けの明星金星も昇ってきます。今月の金星までの距離は光の速さで約8分で、少しずつ地球から遠ざかっているところです。これから今年の秋まで、明けの明星として見ることができます。
 金星は地球より内側をまわっているので内惑星と呼ばれています。内惑星は、地球と太陽との位置関係により、見かけの大きさと明るさが変化します。その様子はこちらのページで解説しています。

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天体望遠鏡で見た
昼間の金星
 今月24〜27日の明け方には、これらの惑星にさら月が加わって、とてもにぎやかな様子を見ることができます。是非早起きしてみてみてください。

 このページで紹介している星雲星団や惑星の様子は、口径7cmクラスの望遠鏡から見ることができるようになります。当社オンラインショッピングで紹介している望遠鏡も、最も小さなもので口径7cmですから、充分見ることができます。是非あなたの目で確かめてください!。

●このコーナーより商品をお申し込みの場合、代金のお支払いはクレジットカード・Amazonアカウント・Yahoo!ウォレット・代金引換・銀行振込・郵便振替・コンビニ決済(NP後払い)・ショッピングクレジット(分割払い)がお選びいただけます。はじめてご利用の方や、決済方法など詳しいことをお知りになりたい方は、こちらのページをご覧ください。

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各マークについての解説はこちら
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