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タイトル画像および背景画像:マーズオービターカメラ(MOC)システムで撮影した火星
Image from (C)NASA

星空案内はこちらのPDFファイルと一緒にお読みください

 早くも1月が過ぎてしまいました。今年は冬型の気圧配置が続き、日本海側を中心になかなか良い空が見られない日々が続いている地域もありますが、晴れた夜には明るい星の多いにぎやかな冬の星空が広がっています。

 この冬の宵空では、太陽が沈んだ後の西の空の高いところに、宵の明星金星が見えています。今月の金星までの距離は光の速さで約4分で、昨年8月に太陽の向こう側を周ってから急速に地球に接近してきているところです。このあと今年の3月ごろまで、宵の明星として見ることができます。

 水星と金星は地球より内側をまわっているので内惑星と呼ばれています。内惑星は、地球と太陽との位置関係により、見かけの大きさと明るさが変化します。その様子はこちらのページで解説しています。


天体望遠鏡で見た昼間の金星
Nexstar Evolution 6-J
MZT824RF ズームアイピース使用
マイクロフォーサーズミラーレスカメラ
 その金星から少し視線を低い空に落とすと、ぽつんと黄色っぽく輝く星が見えます。この星が土星です。土星までの距離は光の速さで約80分かかります。土星を望遠鏡で見ると、右の画像のようにくるっとドーナツ状の輪が取り巻いている様子を見ることができます。

  この輪は、土星の直径(約116,000km)に対してわずか20mの厚さしかない円盤のため、地球からの見掛け上真横になったときと太陽に対して真横になったときには、見かけ上輪が消えたように見える現象が起こります。

 土星は太陽の周りを約30年かけて公転しているので、その現象は約15年おきに起こり、今年3月24日と5月7日にその現象が見られます。是非、天体望遠鏡で輪の細くなった土星をご自身の目で確かめてみてください。


Nexstar Evolution 6-Jで撮影した土星
MZT824RF ズームアイピース使用
マイクロフォーサーズミラーレスカメラ
2024年8月3日撮影 
同時に撮影したMP4動画はこちら(7.4MB)

 その金星や土星が西の空に沈み、夜が暮れてくる午後9時ごろの星空のようすを見ると、まだ秋の星座のアンドロメダ座見えています。アンドロメダ座には、昨年11月のこのページで紹介したアンドロメダ大銀河M31NGC8912022年10月のこのページで紹介した二重星アルマク・2008年10月のこのページNGC752など、双眼鏡や望遠鏡で見て楽しい天体がたくさんあります。
 アンドロメダ座の北側には小学校の教科書にも載っているカシオペヤ座があります。アンドロメダは、ギリシャ神話のカシオペヤの娘で、父はカシオペヤの西となりにいるケフェウス・夫となったのが東隣のペルセウス・・・という具合に、この季節の星座たちはひとつの神話でつながっています。もし興味のある方は、図書館やインターネットで調べてみてはいかがでしょう。
 そのペルセウス座とカシオペヤ座の中間付近を見ると、空のきれいなところであれ、ば天の川の中に肉眼でもなにやらぼーっとした光のしみのようなものを見つけることができます。これが昨年12月のこのページで紹介した二重星団です。

 さらに南の空に目を向けると、明るい星が多い冬の星座が見えています。今年の冬の宵空では、天頂付近に最も目立って金色に輝く星が見えます。この星は木星です。木星までの距離は、光の速さで約40分かかりますが、太陽系最大の惑星で、その直径は地球の11倍もあるため、望遠鏡でも表面の模様が良く見えるます。木星をはじめとした太陽系の天体の大きさが解る図がこちらのページにあります。

 木星を望遠鏡で見ると、本体にある縞模様や、まわりをまわるガリレオ衛星と呼ばれる4つの衛星を見ることができます。これは、1610年にイタリアの天文学者ガリレオ・ガリレイが初めて望遠鏡で木星を見たときに発見した衛星で、イオエウロパガニメデカリストという名前が付けられています。木星はその明るさと大きさから大神ゼウスのローマ神話での呼び名ユピテル(Jupiter=英語でジュピター)と呼ばれており、そこをまわる衛星には、ゼウスに仕えていたニンフなどの名前が付けられているのです。


セレストロン CPC1100-J撮影した木星
MZT824RF ズームアイピース使用
マイクロフォーサーズミラーレスカメラ
 その木星から東の空に目を向けると、明るい星が多い冬の星座が見えています。木星の左下に赤っぽく輝くのはおうし座アルデバラン(65光年)です。この付近は、ヒアデス星団という散開星団Mel25の一部で、この付近を双眼鏡で見てみると、40個程度の星が広く散らばっているのを見ることができます。さらに、アルデバランやヒアデス星団よりもう少し空の低いところに、都会の明るい空でも肉眼でも数個の星がごちゃごちゃっと集まっているのを見ることができます。これがが昨年12月のこのページで紹介した「すばる」ことプレアデス星団M45です。


50倍くらいの望遠鏡で見たM35

セレストロン Nexstar+での導入方法
「3」(Deep Sky)キー→メシエ
→「035」をキーパッドから入力
Sky-watcher Gotoドブソニアンでの導入方法
「4」(メシエ)キー→
→「035」をキーパッドから入力
Meade オートスターでの導入方法
Deep Sky→
Messier Object→
キーで「35」を入力

双眼鏡や天体自動導入機の無い望遠鏡での見つけ方はこちらのページ

 そのおうし座より空の高いところには、黄色く輝くぎょしゃ座カペラ(42光年)が見えています。ぎょしゃ座には、昨年1月のこのページで紹介したM36M37M38の3つの散開星団があります。

 さらにぎょしゃ座の東には、ふたご座ポルックス(52光年)とカストル(32光年)も見えています。このふたごは、ギリシャ神話では大神ゼウスとスパルタ王妃レダとの間に生まれた双子の兄弟と言われています。

 そのふたご座のお兄さんのカストルの足もと、オリオン座との境界付近に、M35という散開星団があります。地球からの距離は2570光年と比較的遠い星団ですが、いろいろな明るさの星がたくさん集まって、望遠鏡はもちろん双眼鏡でもとてもきれいに見える星団です。

 そのポルックスとカストルと並んで、不気味に赤く輝く星があります。この星が火星です。火星は、1月12日に地球に最接近し、今が最も見やすい時期になっています。今月の火星までの距離は光の速さで約6分です。火星は、これから少しずつ地球から遠ざかって、だんだん小さく見えるようになります。是非地球に接近した火星をご自身の目で確かめてみてください。
セレストロン CPC1100-J撮影した火星
MZT824RF ズームアイピース使用
マイクロフォーサーズミラーレスカメラ
 金星・火星・木星・土星などの惑星たちは、そのまわりの星座の星々と毎日少しずつ位置関係を変えています。その様子を毎日スケッチしていくと、私たちの地球やこれらの惑星が、太陽のまわりをまわっていることが理解できるようになります。15世紀ポーランドの天文学者コペルニクスがはじめて唱えた地動説以後、世界中の天文学者が現在まで宇宙を見つめ続けて、現在も様々な角度から研究が進められています。そして2006年には、冥王星が惑星から除外されました。その太陽系宇宙の変遷をこちらのページにまとめています。

冬の天の川
マイクロフォーサーズミラーレスカメラ
7.5mmF2魚眼レンズ 15秒露出
長野県野辺山高原にて撮影
 一方、南の空には、冬の星座の代表オリオン座ベテルギウス(約600光年)・全天で最も明るい恒星のシリウス(8.7光年)のあるおおいぬ座・そしてこいぬ座プロキオン(11.2光年)が冬の大三角を形作っています。オリオン座には、先月のこのページで紹介したオリオン座大星雲M42があります。また、おおいぬ座には、2014年の2月のこのページで紹介した散開星団M41があります。

 周囲に街灯等がなく、空のきれいな場所に行くと、天頂付近のぎょしゃ座から冬の大三角を貫くように、淡い光の帯が続いているのを見ることができます。これが天の川です。私たちの太陽系は、私たちの天の川銀河の中心から少し離れたところに位置していますが、冬の天の川は、円盤状になっている天の川銀河の中心とは反対の方向を見ていることになり、中心方向にあたる夏の天の川より細く淡く見えます。それでも、双眼鏡や望遠鏡で見てみると、これまで紹介してきたもの以外にも、たくさんの星雲や星団を見ることができます。

 その冬の天の川の中、おおいぬ座のシリウスの少し東にあるのが、とも座にあるM46M47です。東側(右の写真の左側)の暗い星がたくさん集まって見えるのがM46で、地球から約5,300光年の距離にあります。西側(右の写真の右側)の比較的明るい星がざらざらと集まって見えるのがM47で、地球から約1,600光年の距離にあります。この距離の差が、見かけの明るさや広がりと大きく関係しています。

 さらにM46の中を良く見てみると、星団の中の上(北)のほうに、魚のめだまのように見える小さな星雲があるのに気づくでしょう。これはNGC2438という惑星状星雲です。約2,900光年の距離にあり、M46よりずっと手前にある天体なので、M46を構成する星とは直接関係はなく、たまたま星団の手前に見えているわけです。

 このようにして、宇宙を立体的に考えながら天体を見てみると、私たちの地球が置かれている状況を目で感じ取ることができるのではないと思います。

とも座散開星団M46・M47
セレストロン Nexstar Evolution 6-J + Hyperstar
マイクロフォーサーズミラーレスカメラ 15秒露出
栃木県太平山にて撮影
8倍クラスの双眼鏡で見てみると、
ちょうど2つの星団をひとつの視野に
見ることができます

セレストロン Nexstar+での導入方法
「3」(Deep Sky)キー→メシエ
→「046・047」をキーパッドから入力
Sky-watcher Gotoドブソニアンでの導入方法
「4」(メシエ)キー→
→「046・047」をキーパッドから入力
Meade オートスターでの導入方法
Deep Sky→
Messier Object→
キーで「46・47」を入力

双眼鏡や天体自動導入機の無い望遠鏡での見つけ方はこちら

 一方、冬の大三角をずっと南にいった、水平線ギリギリに見えるカノープスという星をご存知でしょうか?。全天で最も明るいおおいぬ座のシリウス(-1.6等星)に次いで2番目に明るい-0.7等星で、地球からの距離は310光年。シリウスは8.7光年とかなり近い星なので、それと比較するとカノープスは絶対等級(実際の星の明るさ)は-5.48MV(シリウスは+1.47MV)と、とても明るく質量の大きな星です。
 ここまで書くと、ただの明るい星じゃん?という感じですが、この星はりゅうこつ座という日本からはほとんど見えない星座にあるため、実は見るのがとても難しい星です。理論上は東北以北ではまったく見ることができず、関東では南の空が水平線近くまで開けている場所で、なおかつ透明度が良い日でなければ見ることができないのです。


富士山とシリウスからカノープス
30mmF2.5 + APS-C一眼レフカメラ 4秒露出
富士山の右に見える山並みの上の
富士山山頂より少し低いところに
輝いているのがカノープス
その下に広がっている光は甲府盆地
長野県野辺山高原にて撮影

 カノープスは、中国南部などの道教の地域では、「南極老人星」と呼ばれています。水平線から赤みがかった色でよろよろと昇ってくるように見られることや、見られる時期と時間が限られていることから、このような神格された名前が付けられているようです。この星が見られると長生きできるなどという言い伝えもあるそうです。

 左の写真は、長野県の野辺山高原で撮影したカノープスです。この日は空気が乾燥していて、地平線近くまで透明度が高かったのでとてもよく写っていますが、この場所でも大気の状態が悪いとなかなか見つけることができません。緯度が低い四国や南九州・沖縄地方なら、もっと簡単に見つかります。

 カノープスを見るには、最も高い位置に来る南中の前後に探す必要があります。2月中旬なら、関東では夜9時・大阪では20分後・福岡では40分後に南中します。オリオン座やおおいぬ座からカノープスを見つけるためのチャートがこちらにあります。是非皆さんもカノープスをご自身の目で探してみてください。

 このページで紹介している星雲星団や惑星の様子は、口径7cmクラスの望遠鏡から見ることができるようになります。当社オンラインショッピングで紹介している望遠鏡も、最も小さなもので口径7cmですから、充分見ることができます。是非あなたの目で確かめてください!。

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